第43話 色々やりたいことも出てきました

「しかし、広大なブドウ畑ですね」


 作業着に身を包んだマリアはセクシー差が半減するけど、これはこれで真面目系の雰囲気も出て良いな。

 眼鏡をかければ知的なセクシーお姉さんだろう。


 実は俺は、汗くさい工事現場とかにいる……本社から現場視察のために派遣されてきた建築士みたいな、場の雰囲気にちょっと似合わない系の女には萌える派だ。

 と、そんなことはどうでもいいか。


 ともあれ、農作業で流れた汗を布で拭くマリアはとっても綺麗だ。


「ああ、酒を造る予定だからな」


「お酒ですか?」


「実は我が家の家計はピンチなんだ」


「……え? 手乗りウサギが供給する超上級素材と、私とソーニャが狩ったサイクロプスで……とんでもない金額になっているはずですよ?」


「設備の増改築にアホみたいに金がかかってるし、後は調味料にもアホみたいに金がかかっている。それに……何より……」


「それに?」


「お前らの宴会がエグい」


 そうなのだ。

 結構な頻度で酒を地球から取り寄せているから、本当にエグいことになっている。

 特にみんなは缶チューハイがお気に入りみたいで、グビグビ呑む。そりゃあもうグビグビ呑む。

 五百ミリ缶の一ケースで五千円くらい……つまりは金貨五千枚だ。


 基本的にはエルフの里とかドワーフの里から酒を取り寄せてはいるんだが、パーティー的な時はやっぱり地球産の酒が一番美味いので、そっちをついつい使っちゃうんだよな。


 これはみんなが悪い訳じゃなくて、取り寄せる俺も悪いんだけどさ。

 とりあえず、賽銭箱の残高が二千円を切っているので猛省しているのだ。


「で、とりあえずはワインと日本酒を作ろうと思っているんだ。だから、今はブドウ畑を超拡張している。この作業が終われば次は米田を拡張予定だ」


 だから水路は必須なんだよな。

 米は少量だけ今までも作っていたが、農栽培スキルと僅かな水で無理やりになんちゃって水田にしていただけなんだよ。


「タツヤ様の作るブドウであれば、それはそれはとんでもないワインができそうでございますね」


 まあ、糖度から何から何まで種創造で自由自在だからな。

 半分発酵させた状態のジュースワイン的な感じにすると、酒の苦手なカティアあたりでもすんげえ喜ぶかもしれない。


「後、ワインビネガーも作る予定だけどな。エルフもドワーフも酒はすげえ好きな連中だろ?」


「基本的にはそうでございますね。特にドワーフはザルで……カティアのようなのは稀ですね」


「それを売るだけで結構な利益になると思うんだよな。もちろん、基本は俺達の自家消費分もあるけど」


「後、コーネリア様もワインはお好きですよ?」


「あ、そうなんだ?」


 カレーとワインって合うんだろうか……。

 っていうか、そもそもカレーと酒って合うのかな?

 今度、カツのカレー煮でも作ってやろうか。

 カレー丼風に卵と絡めて、米無しだったら酒のツマミには良いだろう。

 と、まあ、そんな感じで今後の農業の方針も固まったな。

 とりあえずは酒だ。


 後、パンも食べたいから小麦畑も作っておこうかな。

 ピザとかは絶対にみんな大好きなはずだしな。

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