第40話 大団円はちゃんこ鍋ですよー その2
と、そんなこんなで晩飯だ。
エルフ達とカティアは一日働いていたので、物凄く腹が減っている様子だ。
ちなみに、代金を取るなんていう野暮なことはしない。
元々、日本にいる時から俺は引っ越し屋さんにジュースとお菓子の差し入れはする派だしな。
我が家の世話をしてもらうんだから、それくらいはやってあげたほうが良いだろう。
で、エルフの連中はやはり野菜が主食ということで、かといって俺達は基本は肉食だ。
ドワーフは割と何でも食べると言うことで……。
さあ、どうすればみんなが美味しく食べることができるのか。
昼過ぎから色々と考えていたんだが、やっぱりこれしかないだろう。
俺は賽銭箱で、とあるアイテムと取り寄せた。
――ちゃんこ鍋の素っ!
そう、みんな大好きなお鍋だ。
野菜も大量に美味しく食べることができるし、肉も食べることができる。
更に言ってしまえば、野菜だけでも肉だけでも食べることができる。
とりあえず、洞窟内で手乗りウサギが仕留めたS級レア食材のイノシシ肉をぶち込んで、畑で採れたモヤシと白菜を大量にぶち込む。
人数が十人超えてるから結構な分量だったが――。
「ちょっとキミ? ボクはこんな美味しいものを食べたことがないよ!?」
「森の精霊の御業っ!? この白菜もモヤシもとんでもないですが……それ以上にスープが……美味しすぎますっ!」
「肉・肉・ニンジン♪ 肉・ニンジン~♪」
「うんめえですよー。こいつはうんめえですよー」
「おいお前様よ? せめてカレー鍋にしてくれんかのう……」
「流石ですタツヤ様っ!」
「うまうまなのですー♪」
「ご主人様の作る料理は最強ですね!」
飛び入り参加の魔王コーネリアだけが不満そうだったが、後は概ね好評だ。
っていうか、このイノシシ肉やっぱりマジで美味い。
脂が甘くて、めちゃくちゃ肉がジューシーで、なおかつ噛めば噛むほどに肉の旨味がとめどなくあるふれてくる感じだ。
これでちゃんこ鍋屋さんとか開いたら……日本でも絶対流行るぞ。
だって俺、こんなに美味い鍋を喰ったことないもん。
やっぱり鍋は大量の具材を一気に煮込むのが一番美味いよな。
色んな具材からダシが出て、全てが相乗効果をうみだしてとんでもないことになる。
で、鍋は寸胴鍋で作ったんだが、あっと言う間になくなってしまった。
っていうか、手乗りウサギはメシ食いすぎなんだよな。小さい体のどこに入るのかサッパリわかんねえ。
で、手乗りウサギ連中は最近米の美味さが分かったようで、残ったスープに炊いた白米とニンジンをぶちこんで雑炊を作り始めた。
「うんめえですよー。雑炊うんめえですよー」
「うまうま♪」
「神のスープなのですよー」
あまりにも手乗りウサギ達が美味しそうに食べるものだから、みんなが雑炊を少しずつ分けてもらって……。
「キミっ!? お米って言うのはこんなにも美味しいのかいっ!? 初めてばかりで驚きだよっ!」
「森の精霊様でもこのような料理は作れませんよ?」
「米・米・ニンジン♪ 米・ニンジンー♪」
「雑炊はすするようにして食べるのが美味しいのれすよー」
「おいお前様よ? せめてカレー雑炊にしてくれんかのう……」
「雑炊は初めてですが、これも美味しゅうございますねタツヤ様」
「ご主人様。私はそろそろ食事を終えようと思います。私は後片付けの準備をしないと……」
と、そんなこんなでやっぱり魔王様を除いて、我が家の食事は今日も大好評に終わったのだった。
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