第39話 大団円はちゃんこ鍋ですよー♪ その1




 と、そんなこんなで住居改築のための職人を我が家に招き入れたという訳だ。

 トンテンカンとトンカチの音が鳴り響く。


 ドワーフの少女……見た目十二歳のカティアの腕は確かで、見る間に小屋が改築されていく。

 エルフの作業員も十名程度雇っているので作業スピードも半端ではない。

 金属はドワーフの里から持ってきたし、材木はそこらにいくらでも生えているので、後は作るだけって奴だな。


「ようやく私の部屋ができるですよー♪」


「私も冒険者暮らしが長くて集団生活は慣れているとはいえ……まあ、やはりプライベートは大事でございますから」


「ご主人様……私のようなメイドにまで部屋を与えてくれるなんて……」


 なんかみんなが感動している。

 まあ、ただの掘っ立て小屋だったからな。

 そりゃあ今までは手狭で大変だった訳だ。



 キッチンもちゃんとしたのを作って貰う予定だから食事にも幅が広がる。

 今までは外で飯を食ってたが、リビングだって広いのを用意してもらう予定だ。

 解体作業小屋も併設する予定だから、アリサも喜ぶだろう。

 それに井戸も作る予定なので、飲み水にも困らなくなる。勿論、風呂だってみんなで入れる規模のものを作る予定だ。



 で、恥ずかしながらトイレは今までは外だったんだが、完成すれば家の中だ。

 雨漏りだって酷かったし、辟易してたんだよな。

 更に言うと、神棚も改造してもらって立派なのにしてもらう。ゼニゲバ神が言うには、そうすれば取り寄せ費用を少しマケて貰えるってことだ。

 今後は酒とかも造る予定だから多目的用の作業小屋もいくつか作ってもらって……。



 まあ、かなりの大規模工事になるから工期は長いが、母屋の個室程度は数日中に住めるように急ピッチで作ってくれるらしい。 

 ともあれ、これで一気に生活のレベルも上がるし、ヘビとか食ってた時代のことを考えると非常に感慨深い。



 それに、みんなも言っているが個室ってやっぱり良いよな。

 なんせ、今まではみんな同じベッドで寝てたレベルだからな。

 これで、夜は俺としてもようやく一人で体を休めることが……と、思っていたらソーニャがこんなことを言い出した。


「で、みんなで寝る寝室のベッドは頑丈に作ってもらえるのですかー?」


「……え?」


「今まではソーニャがピョンピョンするものでしたから、いつ壊れるか心配でしたものね」


 確かに、ソーニャは俺の上に乗って小刻みにピョンピョンしていたが……。

 いや、ピョンピョンどころか上になってピョンピョンピョンピョンピョンピョンしてたが……。


「って、まだみんなで一緒に寝るのか? それぞれの個室を作るのに?」


 何言ってんだコイツ風に三人が俺に視線を送ってきた。

 ああ、なるほど。

 あくまでも個室は個室なだけで……寝る時はみんな一緒の前提なのね。

 これはどうにも大変だなと思いながら俺は苦笑した。


「ってことで作業はその辺りにして晩飯にしよう」




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