第10話 ボッタクリされてるらしい。アッタマキタので街に行きます

「アリサがボッタくりな商売をしているだって?」


 今日、デスホークの代金を受け取ってからアリサが帰った後、サキュバスのマリアがそんなことを言いだした。


「そうでございますわ。デスホークと言えば……冒険者ギルドで言えば金貨千五百枚程度で取引されるようなシロモノなのでございます」


 俺が受け取ったのは金貨で七百五十枚だった。

 確かに『手数料は差し引いとくでっ!』と、ニコやかに言われたが……事実とすれば中抜き半分はやりすぎだろう。


「それでタツヤ様? 一体どうなさるおつもりで?」


「うーん……」


 あんまり人を疑いたくはない。

 だけど、とりあえず、事実関係を明らかにする必要はあるだろう。


「なら、行くか」


 丁度、今手乗りウサギがデスホークを狩猟してきたことだしな。


「どちらまで行かれるのです?」


「一番近くの街の冒険者ギルドで買い取り価格を確かめるんだよ。ここから歩いて半日くらいの場所なんだろう?」


 と、そこで手乗りウサギのクイーンであるソーニャが食いついてきた。


「うふふっ! 街ですかーっ! 私も行くですー♪」


「ああ、付いてきたいならくれば良い」


 今現在、金貨七百五十枚……正確に言えばオリハルコン通貨七枚と金貨五十枚もってるしな。

 日本円で言えば七百五十万円だ。

 街がどんな感じかも知りたいし、生活雑貨や物資も色々と見てみたい。


「お買い物♪ お買い物♪」


 と、ソーニャが嬉しそうにそこらを――ぴょんぴょんとスキップを始めてしまった。

 こいつは嬉しいことがあると尻尾を振りながらぴょんぴょん跳ぶ癖があるんだよな。


「あ、それなら私も行きますでございますわ」


「おう、付いてくるなら好きにしろ。服や小物くらいなら買ってやるぞ」


 そういうと、マリアは目の色を変えて俺の右腕に自分の腕を絡ませてきた。


「優しい殿方は……好きでございますよ。魅力的なのは夜だけではないのですね」


 艶っぽい視線が……なんだか痛い。


「うふふー。オヤツにニンジン三十本持っていくですよー」


 おいおい、予定では日帰りなんだからな。


「一日で全部食べるつもりなのか?」


「はいですー♪」


 どう考えてもニンジン食い過ぎだろ……。

 と、そんなこんなで俺達は街に向かうことになったのだ。


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