第3話
入学して1週間。つまり俺が風花天花と付き合い始めて1週間が経った。天花は、学年でもトップクラスの美少女で、すでに他学年でも噂になっているらしい。しかし、入学初日、俺のクラスでの出来事がいろんな人に拡散された結果、俺と付き合っていることも広まっており、彼女にアタックしようという男もいないらしい。
「しっかしお前の彼女は本当にかわいいよなー。羨ましいよ。どうやったら入学初日にあんな美少女と付き合えるんだ?そのコツをぜひ伝授していただきたいぜ。」
そう話しかけてきたのは、この1週間で仲良くなったクラスメイトの太田多禰呉(おおたたねこ)。席が俺の後ろで、入学2日目に初日のことを聞かれて話すようになった。飄々とした性格で、いろんな女の子と仲がいいらしい。
「うるせえ。コツなんてねーよ。そもそも、お前の場合はそのいろんな女の子のところにフラフラ行くのがダメなんじゃねーの?まだ高校始まって1週間なのに、何人女の子に声かけたんだよ?」
「いやー、そんなこと言われてもかわいい子が多いんだからしょうがないわ。うーん、ちゃんと数えてねーから分かんないけど、隣とその隣のクラスの女の子にはほとんど声かけたんじゃねーかな?」
「ほら、そういうところだぞ?てゆーか、まだ1週間しか経ってないのはそんなに声かけたの?なに、お前は大奥でも作りたいの?バカなの?」
「なかなかストレートに人のことバカにしてくるよなー。でも、大奥って憧れるよな。いつかは作ってみたいわー」
「うわー、とことんクズだー。ほんと、それでよく女の子と仲良くなれるよ。ある意味尊敬だわ」
「やー、そんか尊敬なんてー。多禰呉嬉しくて泣いちゃうわー」
「はいはい感動感動。じゃ、俺天花と帰るから行くわ。お前も女遊びはほどほどになる」
「はいよー!じゃあまた明日なー」
「おう!また明日!」
そう言って教室から出ると、天花の教室の前まで向かい、出てくるのを待つ。付き合って1週間。大体いつも俺は帰りに天花を教室まで迎えにいっている。天花はクラス内での評価が高く、どうしても放課後になるとクラスメイトに話しかけられて教室を出るのが遅くなる。そのため、自然とこの形になったのだ。
俺の乗り換えの駅について、彼女と別れ電車を降りる。1人東横線に乗って神奈川方面へと進んでいく。ふと、背筋に何か冷たいものを感じた。最近、より細かくいうなら天花と付き合い始めたあたりからふとした時に背筋が凍るような感覚が襲ってくることがある。ただ、体調を崩しているとかそういうわけではなく、本当にただただ寒いのだ。この感覚は一体何なのか。そんなことを考えながら外の景色を見続けていた。
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