後輩女子は頑張りたいそうで!

「コトハン、ナイス!」

「コトハン、ナイス―!」


 私にそう言ってくるのは亜紀ちゃんと夢ちゃん。

 他のメンバーもスパイクを決めた私に賛辞の言葉を送ってくれる。


 私たちのチームはバレーの決勝をしている。

 中学でもバレー部マネージャーをしてきたけど、体育の授業を除いて実際にプレーをするのは初めてだ。


(バレーってやるのも楽しいんだな)


 みんなでボールを繋いで、それも相手がチームで繋いで。

 そうやってバレーの試合は成立している。


 そんなことを想いながらも試合は続いている。

 決勝は25点マッチの2セット先取で勝利。私がいつも見ている試合と同じルールだ。


「おりゃあー!」


 亜紀ちゃんの気の抜けた掛け声、それでもいつもよりかは気合いが入った声を同時にサーブは飛んでいった。

 それから、相手のチームはボールを打ってきた。

 それを「イタッ」と嫌がるそぶりを見せながら夢ちゃんがレシーブをして繋ぐ。

 それはセッターの子に返って、私にトスがあがった。

 わたしは『あの』先輩のように助走をして跳んだ。それを『あの』先輩がやるように腕を鞭のようにしならせてスパイクを打った!


 パンッ!


 という軽やかな音と同時に体育館の床にボールは落ちた。


「コトハン、ナイス―!」

「コトハン、ナイス!」


 さっきも聞いた賛辞がそれと同時に飛んでくる。

 正直に言ってここまで上手くできるとは思っていなかった。


 女子にしては力強いスパイク。

 バレーをするにはかなり小さい体格。


 私は本当に上手くバレーを出来ているのだと思う。

 だけど『上手く』やっているその程度。


 本当にバレーにすべてをかけてきた人を私は知っている。

 バレーが好きで好きでたまらなくて、諦めきれていない人を私は知っている。

 自分自身でも気が付かないうちに、笑いながらバレーをしている人を私は知っている。


——だから私は……そんなあの人の後押しとなるように、勇気を出してもらえるように、本気で楽しくバレーをしたい!

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