第47話 音を立てて、動き出す④

 精霊さんのポーション摂取が満足げに終わった後、残ったポーションを瓶に詰める。

 随分減ったけど売る分くらいは残っているから、ポーション作りはここまでにしておこう。


 魔力にもまだまだ余裕があるから、早速魔石に魔法を入れよう。

 さっき貰ったばかりの透明な魔石。

 これを手のひらに乗せて、結界の魔法を使い、魔石に入れていくイメージをする。

 アイネを守ってくれるように。アイネを攫おうとする妖精に見つからないように。

 …………。

 …………。

 …………この魔石、容量すごいな。

 結構魔法を入れていってるのにまだ入るし、割れる気配が全然しない。魔石自体はそんなに大きくないのに。

 練習に使っていたゴブリンの魔石とは比べものにならない。月とスッポンと評しても過言ではないほどだ。

 やがて透明だった魔石がキラキラと光り出す。このくらいかな。随分多く、結界魔法が入ったと思う。

 まずは魔石を鑑定してみる。




精霊王の魔石

アイネ専用結界魔法




 待って。確かにアイネのことを考えてはいた。いたけど。でもこれは、何だアイネ専用結界魔法って。恥ずかしい。

 いや、うん。……うん……。

 しかもこれ、アイネも鑑定スキルを持っているから、確実に本人にバレるな。

 上手くいって嬉しいけど、それよりも羞恥心の方がやばい。

「……あ、そういえばあんまり疲労感はないな」

 水の魔法の入った魔石を作り上げた時より全然楽だ。

 ステータスを見てみる。




月立 壱弦  ツキタチ イヅル

十七歳 男

体力 143/148

魔力 7592/15251

スキル 隠蔽∞

    鑑定∞

    全魔法∞

    無詠唱∞

    錬金術∞

    弓A

    運∞

固有スキル

    精霊の愛し子

    異世界人(全言語自動翻訳)

    精霊の加護(みんなイヅルが大好きだよ!)




 おお、結構魔法を使ったし、何ならポーションも作った後なのに、あれだけ魔石に結界魔法を注いでもまだ魔力に余裕がある。

 やっぱり何もないところから作り出すのは大変なんだなあ。

 魔石は何回も利用可能のはず。

 使い続けると劣化していくみたいだけど、この魔石はとても澄んでいるし、まだまだ新しいものだろう。

 中に入っている結界魔法がなくなる前に、時々補充するようにすれば良い。

 簡単に言えば充電式の電池のようなものだね。

 良かった、結界魔法を魔石に入れることが、僕には出来るみたいで。


 あとはこの魔石を普段から持ち運んで使いやすいように加工してもらうわけだけど、どういう形だと良いんだろう。

 どのみち僕には装飾品とかの加工は出来ないし、使いやすい形をまずアイネに聞いて、それから考えた方が良いかな。

 渡す時には、喜んでくれるだろうか。楽しみだ。

 ひとまず、この透明な魔石と、まだ何の魔法も入れていない白い魔石は、収納バッグに入れておく。

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