第10話 実験と検証②

「まずは同じ薬草から違うものが作れるか試そう」

 先日品質Dのラチカ草で作った体力回復ポーションは、品質Cのパンケーキ(バター乗せ)味になった。

 なので今度はその同じ品質Dのラチカ草で、パンケーキのチョコレートソースがかかっていてバナナが添えてあるやつを作れるかを試してみる。

 アイネさんのリクエストにはパンケーキの他の味もあったけど、そっちはあまり食べたことがないから味や食感の想像がしにくい。だからまずははっきり思い出せるチョコとバナナで試作だ。

「えーっと、パンケーキ、ふわふわなそれに……ほんのり甘いチョコレートソースがかかっていて、パンケーキと一緒にチョコレートソースがかかったバナナも添えてある。うんうん、やっぱりチョコとバナナは相性が良いよね。お腹もいっぱいになるし、結構好きだなあ」

 魔力を注ぎながら想像する。……食べたくなってきた。

 煮詰めてからこして、冷ますのは自然にでいいだろう。冷めるのを待つ間に、他のポーションを作ることにする。鑑定と試飲はあとでまとめてだ。

 精霊さんは出来たてのポーションが待ち遠しいらしく、そわそわしながら香りをかいでいた。

 うん、香りはパンケーキ。それにチョコレート。うまく出来ている気がする。


 次は、同じパンケーキでも味の想像が出来ないものを作れるかどうか。

 先ほどと同じ品質Dのラチカ草を使って、これまで数えるほどしか食べたことのないパンケーキのベリーソースがけを想像する。

「ふかふかのパンケーキ、はすぐに味も食感も浮かぶけど……ベリーソース。確かストロベリー、ブルーベリー、ラズベリー……とかだったかな?あの時食べたのって。果肉も入っていた気がする。ううん、でも食べたのだいぶ前だしなあ。少し酸味のあるソースだったかな」

 魔力は充分注がれて、煮詰まった。けど、こちらからは香りがしない。

 失敗かな。

 とりあえず、こして冷ます。


 次は、甘味系の薬草から醤油ラーメン味が作れるかどうか。

 これも同じ品質Dのラチカ草で作る。

「醤油ラーメンは好きだし、中々の頻度で食べてたからね。味の想像は完璧だ。何回聞いても絶対に教えてくれなかった秘伝の激うまスープ……」

 近所の親戚が営んでいたラーメン屋さんの醤油ラーメンは、本当に美味しかった。

 結局何でだしを取っているかさえまったくわからなかったけど、味はしっかり覚えている。

「麺は細め、スープはあっさり。だけどコクがあって、あとチャーシューも分厚くて美味しかった。うう、また食べたいな」

 想像はばっちりだ。しかし無情にも香りはしない。

 うーん。とりあえず、こして冷ます。


 まずはこんなものかな。


 それじゃあ、作った順番どおりに鑑定と試飲をしていこう。

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