短編集 色々編

男とか女とか。

　※一人称が「俺」となっているのは、現在花空の中の一人称が「俺」となっているためです。

「花空は女の子なんだから、もっと女の子らしくしなさいよ。まるで男の子みたいだよ？」

「お兄ちゃんと花空、性格が性別とまるっきり逆よね」

　そんなことを、小さい頃から母親に言われてきた。

　あなたは女だから、あの子は男だから。そういう理由で、こういう性格じゃなきゃいけない。

　それがよく、俺には分からない。

　俺が女として生まれたから、おしとやかでいるべき、騒ぐな。

　兄が男として生まれたから、もっと遊べばいい、騒げばいい。

　そう言っているようにしか思えなかった。

　そもそも女の子らしくって何？　男の子みたいって？

　俺が生まれてきた性別が女だからって、周りの俗に言う「女らしく」生きなきゃいけないのか？

　日常生活でも、「お前」と相手を呼んだり、口調が少し荒くなることもある。

　それは確かに悪いことだと思う。

　だけどそれを、「あなたは女なんだからそういう言葉使いしちゃだめなのよ！」と怒るのは、やっぱり分からない。

　俺が女だからなんだ。男子よりきれいにしなさいとか、もっと丁寧にしゃべりなさいとか。

　そういうことが、嫌い。

　性別に関して思うことは、まだまだある。

　恋愛のことに関してだったり、内面的なことだったり。

　俺の両親は「正直、花空が女性のことを好きになったら悩む」みたいなことを言っていた。

　女性は男性を好きになって、男性は女性を好きになる。そういう考え方も分からないし、両親の考えも今の俺にはよく分かっていない。

　大人になったら分かることなのか、分からないのか。

　ただ思うのは、性別の壁はなくなって欲しいと言うことだけ。

　本人たちがよければ、納得すればそれでいいじゃないかと思うのは、俺がおかしいのかな。