第30話 デラフトはすごい存在……?


 エイミーの誰なんだよ!という思いが伝わったのかデラフトが自己紹介をする。


「僕はデラフト。この世界樹の精さ。小さな女神様、よろしくね!」


 全くもって調子がいい、このデラフトという男は……。


 そんな思いを思いつつ、エイミーもまた自己紹介する。


「エイミーです。よろしく」


 今までで1番テキトーに。しかも最初から敬語なし。


「いや〜、まさか新しい女神様がこんなに小さくて可愛い子だとは思わなかったなぁ〜。エイミー様いつでも遊びに来ていいよ!」


 エイミーのテキトーさに気づいているのか、いないのか、デラフトは明るくエイミーに話しかける。


 それよりも、このデラフトは世界樹の精とか言わなかった?


「世界樹??」


「そうさ、僕は原始の世界樹の精さ!」


 やっぱりこの大樹は世界樹だったのね……。予想は当たってた!


 だけど、原始とは??


「原始の世界樹とはね、そのまんまの意味だよ!」


「デラフトは相変わらず雑ですね……」


「ああ、そうだな」


 また、デラフトが私の思っていることを当てているし……。でも、レンヌが言う通りに雑だな、説明。ディーお兄様も同意しているし。


「エイミー、私達神が管理する世界が沢山あることはもう理解しているな?」


「うん、いっぱいあり過ぎて管理が大変ってお母様が言ってた!」


「そうだな。そして沢山ある世界の中でここにある様な世界樹が存在する」


「へぇ〜」


 世界樹が存在している世界なんて多分ファンタジー要素がいっぱいの世界なんだろうな〜。


「その世界樹は元を辿れば全てデラフトから生まれている」


「えっ!?!?」


 思わずデラフトを凝視してしまうエイミー。


 そんなデラフトはエイミーを見てヘラッと笑った。


「そうだよ〜。僕は全ての世界樹のパパなんだよ〜」


 うわー、マジか……。全然パパって感じじゃないわ。原始のとかいうから、もっとこう、威厳?みたいなものがあると思うのに……。


 なんともまあ、ゆるい。すっごくゆるい……。各世界の世界樹全てこういう精ではないよね? ……そうだよね? ……きっとそうだよね?


 エイミーは心の中でそう何度も自分に言い聞かせていた。


「エイミー、こんなゆるい感じのデラフトだが、原始のというのは伊達では無いぞ。それなりに力はある」


「そうそう! 僕はそれなりに力はあるからね〜」


「そうなの? こんなにゆるいのに?」


 思わず本音が出てしまったエイミー。


「エイミー様ひどいな〜」


 と言いながらも笑っているデラフト。


「まあ、デラフトの本領はここではすぐに見れるものじゃ無いけどな……」


「とりあえず、世界樹の中に入ってみればエイミーも驚くと思うよ!」


 デラフトがすごいところはすぐには見れないとディーお兄様は言う。とりあえず世界樹の中に入れば私は驚くらしいとノア兄は言う。


 一体、世界樹の中はどうなっているのだろうか? ノア兄が驚くと言うくらいなのだからきっとすごいのだろう。


 そう思うとワクワクして来た! 早く世界樹の中を見ていたい!


 そんなことを思うと自然とお目々は輝く。


「エイミー様のお目々キラキラしていて眩しいよ」


「なんてお可愛らしいエイミー様」


 すると、側にいた妖精達もテンションが上がる。


「エイミー様楽しい!?」


「楽しい!?」


「お目々キラキラ〜♪」


「キラキラ〜♪」


「楽しい〜♪」


 妖精達はもう大合唱だ。


 早く世界樹の中へ案内して欲しい。そんな思いでエイミーはデラフトのことを見た。


「デラフト、早く中に入って見たいの!!」


「それじゃあ〜」


「デラフト、エイミーがこう言っているから早くしろ」


「……はい」


 デラフトがエイミーに何か言おうとしたが、ディヴァインからの圧力ですぐに行動した。


 デラフトはディヴァインに抱っこされているエイミーの目の前まできて、握手を求めた。


「エイミー様、僕と握手して」


「握手?」


「そう、僕と握手すれば世界樹の中へいつでも入れる様になるよ!」


 ふーん、握手ねぇ〜。そんなことでいいの?


 とりあえず、ディーお兄様も握手することに反対してないから握手しよ。


 エイミーはデラフトが差し出した手を握り、握手した。


 すると、ふわっと暖かい風が体を包んだ様な気がした。


「今のは……?」


「ふぅ〜これでエイミー様はいつでも世界樹の中に入れるよ!」


「わたくし達もエイミー様ならいつでも歓迎致しますわ!」


 デラフトとレンヌは嬉しそうに言う。


「エイミー様いつでも来る?」


「いつでも?」


「いつでも!」


「やった! やった!」


「うれしい♪ うれしい♪」


 妖精達も嬉しそうだ。


「本来ならエイミーはそんなことをしなくても入れるけどな」


「ディーお兄様、私入れたの?」


「ああ、だけどエイミーはまだ幼すぎるからな。……念の為だ」


 そう言ってディーお兄様は私の頭を撫でる。


「兄上はエイミーには過保護だからねぇ〜」


「そうそう、僕の許可って言ったけどエイミー様を含め、アリア様とコースマス様のご家族は僕よりもはるかに格上の存在だからね〜。力を使えば勝手に入れるよ〜」


「だけど、過保護な兄上は念の為にデラフトの許可を取ったっていう訳。でも、僕でもデラフトに許可を取ったかな〜」


 エイミーはディヴァインとノアの顔を見る。


 ディーお兄様とノア兄、私に対して過保護だね……。でも、まあ、他のお兄様もお姉様も過保護そうだな……。


 エイミーは少しだけくすぐったい思いだった。


「さて、それでは世界樹の中へと入りましょう。わたくし達、妖精の住処もエイミー様に早くご案内したいことですし」


 レンヌはニッコリ笑ってそう言った。





 

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