第27話 お城探検??


 ちょっとだけがっかりしているディヴァインのことなどつゆ知らず、エイミーはニコニコご機嫌だ。


 ノアと手を繋ぎ元気にお城を探検。


 そんな可愛らしいエイミーの姿にディヴァインも徐々に気分が戻っていく。


「エイミー、母上の許可が出たら一番最初に私の世界に来るんだよ?」


 しかし、約束はしっかり取っておくディヴァイン。そんなディヴァインを不思議そうに見ながらエイミーは言った。


 うん?一番最初に?そんなこと言わなくても行っていいってお母様に言われたらすぐに行くのに。ちょっと疑問が残るけどディーお兄様が真剣に言ってくるからちゃんと言っていた方がいいかな?


「?? はい、ディーお兄様のお城を探検します」


「うん、約束な」


「? 約束します?」


 約束しますと私が言うとディーお兄様な満足げに笑った。


 うわぁー!イケメンなディーお兄様の笑顔はやばい!!


「……兄上」


 そんなディヴァインをノアは呆れた様に見ていた。


「ノアはいいさ。エイミーと今は同じ城で過ごしているのだからな。私は私の管理する世界にいることが多い。だから、エイミーとの約束は大事だ!」


 ディヴァインはそう開き直りノアに言った。


 エイミーはそんなディヴァインの様子に心の中で苦笑いをしつつ、思った。


 ディーお兄様は、もっとクールな人かなって思っていたけど、本当は寂しがり屋なのかな?ディーお兄様の管理する世界にいることが多いってことは、みんなと一緒にいる事が少ないもんね……。


 本当はディヴァインにはみんなと一緒にいることが無くても寂しいという感情は全く無い。ただし、エイミーだけは一緒に居たいと思うようだが……。


 そんなことをエイミーは知らずに思う。


 私だって少しみんなと居れないだけですごく寂しかったもん……。


 すると、エイミーはディヴァインの元へちょこちょこと近づいて行く。手を繋いでいたノアは不思議そうにエイミーを見ている。


「エイミー、どうした?」


「ディーお兄様、抱っこして下さい!」


 エイミーはディヴァインのことをあざとく上目遣いで見上げてそう言った。


 さっきは歩きたいと言って降ろしてもらったけどディーお兄様が寂しいなら抱っこくらいいいかな!本当は自分で歩きたいけどね!


 ディヴァインはエイミーから可愛くおねだりされた上に抱っこしてというお願いに、もう、ハートは撃ち抜かれてばかりだった。


「も、もちろんさ!」


 ディヴァインはすかさずエイミーを抱っこする。先程のエイミーの態度からは想像もつかない願いにディヴァインは少しだけ驚きつつ、それ以上に幸せだった。


 まさか、エイミーからこんなに可愛らしく抱っこしてと言われるとは……。可愛すぎる!!!!


 ディヴァインがエイミーの可愛さに悶えている間にノアは不機嫌になっていた。


 せっかくエイミーと手を繋いで歩いていたのに……。それにエイミーから抱っこしてなんて言うお願いされるのずるい……。


 ノアはディヴァインを恨みがましく睨む。


 そんなノアの視線など気にもせず、ディヴァインはエイミーを抱っこしていることに満足していた。


「エイミー、兄上の抱っこが嫌になったらいつでも僕が代わりに抱っこするから言ってね!」


「う?」


 エイミーはノアに話しかけられてノアの方を見る。すると、ノアは爽やかな笑顔を見せているがその笑顔には黒いオーラも感じる。


 うん?なんかノア兄機嫌悪い?ノア兄、その笑顔はその容姿でするものじゃないよ!


 少しだけ怯えつつ、エイミーは言った。


「はい、後でノア兄にも抱っこしてもらいます」


「うん! 兄上、と言うことなので邪魔しないで下さいね?」


「そうだな。……あとで、だがな」


 見えないバチバチがディヴァインとノアの間で巻き起こる。


 そんな様子を飽きたようにエイミーは見ている。


 いくら小さい子が珍しいと言ってもそろそろ飽きたよ。それにルアルもヴィティも飽きてあくびしているよ。


 そんなエイミー達に気づかずにバチバチしている2人。いつまで待っても多分終わらないと思いエイミーは声をかける。


「ディーお兄様、ノア兄、そろそろ行こうよ。いつまでここにいるの……?」


「「!!」」


 エイミーに声をかけられてハッとする2人。そしてエイミーがこの状況に呆れていることに気づいた。


「すまない、エイミー」


「ごめんね、エイミー」


 今度はしょんぼりする2人。そんな2人を見てエイミーは思う。


 神様って意外に感情豊かなんだね〜。


 それはエイミーだけへ向けられた感情。エイミーが生まれる前まではこんなことは無かった。


 そのことにエイミーが気づくのはもう少し後のこと。


「大丈夫! じゃあ、お城探検再開! レッツゴー!」


 エイミーはディヴァインに抱っこされた状態で再び張り切って言った。


 そんな可愛らしいエイミーに先程までのバチバチが嘘のように和らぎほっこりとした雰囲気なった。


 そんな雰囲気にルアルもヴィティも安心したように歩き出す。


 ディヴァインに抱っこされたことにより城を探検するスピードは格段に上がった。


 やっぱり、抱っこされて移動すると早いなぁ〜。幼児の脚じゃしょうがないか。


 エイミーはあまり変わらない景色を見ながらそう思っていた。


 もうちょっと色んな面白いところがあるかなぁと思っていただけに飽きそうだった。


「エイミー、ここは何も面白いところは無いが、今から行くところはとても楽しいと思うぞ?」


「本当?」


「エイミーも気にいると思うな!」


 ディーお兄様とノア兄はニコニコしながら言う。


「それはどこなの?」


「ふふっ、もうすぐ着くからお楽しみだよ!」


 ノア兄は内緒だと言う。それならと思い、ディーお兄様の顔を見る。


「エイミー、お楽しみだよ」


 ディーお兄様にもお楽しみと言われてしまった。秘密にされると余計に気になってしまうが、2人の兄は教えてはくれないみたいだ……。


 どこに行くのだろう?とても楽しいところってどこだろう?気になる!すっごく気になる!!


 気になって仕方がないエイミーはウズウズとしてしまう。


 そして、目的の場所に着いた。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る