第26話 お城探検開始! 〜1〜
お部屋の外へ出ていざお城探検と思いましたがディーお兄様に抱っこされたままでした。探検なんだから自分の足で歩かなきゃと思いディーお兄様に言います。
「ディーお兄様、探検なので自分で歩きます!」
すると、ディーお兄様はすごく寂しそうな、悲しそうな顔をします。
「エイミー、それは絶対か? ディーお兄様が抱っこしながらの探検でもいいじゃないか?」
「私、自分の足で歩いて探検したいです!ディーお兄様に抱っこされるのもいいけど今日は自分で歩きたいです。……ダメですか?」
我ながらあざといと思うが上目遣いでディーお兄様を見る。ちょっと目をうるうるさせて。
「うっ! 可愛いな……」
ディーお兄様は片方の手で顔を覆いました。
あれ?ちょっとやり過ぎた?
ディーお兄様は大きく息を吐くと私に言った。
「分かった。でも疲れたりしたらすぐにお兄様に言うんだよ? 分かったかい、エイミー?」
「はい! 分かりました! ディーお兄様ありがとう♪」
ディーお兄様はぎゅっと私を抱きしめると名残惜しそうに私を降ろします。
ふっふっふっ!この数日間、放置されていた時間を使って歩く練習をしていたのさ!もうスタスタ歩けるもんね!
エイミーは不敵に笑って自信満々だが、実際はスタスタではなく、まだよちよちだが……。そんなエイミーの様子をディヴァインとノア、ヴィティとルアルは首を傾げて見ていた。
「さあ、そろそろ出発しようね!」
「はい!」
「それじゃあ、僕と手を繋いでね。迷子になると困るからね~」
そう言ってノア兄は私の手を取って繋いだ。ディーお兄様はちょっと羨ましそうに見ている。
「エイミー、私とも手を繋ぐか?」
「兄上はエイミーと手を繋いだら歩きづらくなるのではありませんか?」
「そんなことをないぞ? むしろエイミーを抱っこ出来ないから手を繋ぎたいよ」
ディーお兄様はそう言ってくれるけど絶対歩きづらいよ……。だからここは、ねっ?
「ディーお兄様、多分歩きづらいから今度でもいいですか? それにディーお兄様には疲れたら抱っこしてもらうから!」
再びあざとい上目遣い!今度はキラキラお目目にした。
「うっ……。分かったよ、エイミー」
「エイミーはすごいね」
ディーお兄様が納得した。そしてノア兄、すごいとは何かな?
さて、今度こそお城探検に出発です!
部屋から一歩出ると、そこはシンプルな真っ白い廊下。やっぱり、神様の城だからよく物語で出てくる様な豪華な城ではないのかな?
「ディーお兄様、ノア兄、お城の廊下はどこも真っ白いシンプルなものなの?」
「そうだな、この城は大体がこんなもんだぞ? なんせ、おばあ様とおじい様はそんなにゴテゴテした城は好まないからな」
「それならこの城はおばあ様とおじい様が作ったの?」
「確か、この城はおばあ様と母上が創造したんだよね? 兄上?」
「ああ、そうだ」
「へぇ~そうなんだ! お母様とおばあ様すごいね!」
シンプルだけどお城を創造するなんてさすが神様だね!
「エイミーも、もう少し大きくなったら作れるぞ」
「っ!? ディーお兄様、本当に!?」
「ああ、母上から聞いたが、エイミーは創造と破壊の力をまだ覚醒はしていないが持っていると。だから、その力が覚醒さえすれば創造出来ると思うぞ?」
ま、まさか、自分がお城を創造出来るとは……。まだ覚醒していないから出来ないけどね。でも、すごいや……。
「エイミーは自分でお城創造したいの?」
「いや、別にお城を創造したい訳じゃないよ! ノア兄」
「お城に興味を持っていたから創造したいのかと思っていたよ」
「確かにお城には興味があるけど、自分で創造したいかは別だよ……」
「あははっ! そうだよね。僕もお城を創造したいとは今は思わないもん」
そうえば、ノア兄も創造の力を持っているんだっけ?あと、お城を創造したいと思ってもどこにっていう話になるよね!
「だが、2人とも自分の管理する世界を創造した時は自分の住処くらいは創造しないとな」
「「?」」
自分が管理する世界??
「2人ともいまいちピンっと来ていない様だが、自分の世界を管理するとなったら一緒に管理する他の神達もいるだろう? その者達が住みやすくするのも上級神としての役目だよ。だからおのずと城を創造することになるよ」
なんだか、神の世界も人間と似ているね。仕事をする上での福利厚生みたいな?
「じゃあ、ディーお兄様も自分のお城あるの?」
「ああ、あるよ」
「っ! 見たい!」
思わず目がキラキラしてしまう。色んなお城なんて見たことがないし、子供に戻っているのか好奇心旺盛で色んなところを探検したい!
ディヴァインはエイミーからのキラキラお目目攻撃にやられてしまった。なんて、可愛い妹なのかと……。
「いいよ! エイミーならいつでも歓迎するよ!」
「やったぁ!」
「か、可愛い」
エイミーはディヴァインのお城に来ていいと言われテンションが上がった。それからエイミーはまだ自分の住んでいるお城探検の最中だが頭の中はディヴァインのお城でいっぱいになった。
ディーお兄様のお城はどんな雰囲気なんだろう? ここはシンプルで無駄の無い雰囲気のお城だけど、ディーお兄様みたいに青系の色で統一しているとか?ふふっ、楽しみだなぁ~。
エイミーが想像を膨らませる中で、ノアが言った。
「エイミー。兄上のお城も興味あると思うけど、今はこのお城を探検するんでしょう?」
エイミーはノアに言われてハッと想像の中から意識を戻した。
「そうでした!」
「もう、エイミーったら。それに兄上?」
「なんだい?」
「エイミーにメロメロなのは分かりますが、エイミーはまだ幼いですし、なにより兄上の世界に行くには母上の許可が必要ですよ……」
「それは……、そうだな……」
「全くもう……。兄上らしく無いですよ!」
「すまない……」
「エイミーもだから、しばらくはまだ兄上のお城には多分行けないよ……」
「大丈夫です! そんなに早く行けるとは思っていなかったから!」
確かに楽しみで想像に夢中になっていたけど、すぐに行けるとは思っていなかった。
その反対にディヴァインはエイミーを連れて自分の世界に行ったら仕事の合間にもエイミーに会えると思い、楽しみにしていただけにちょっとだけ、がっかりしていた。
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