第25話 誰か構ってよ〜

 ヴィティとルアルと一緒に過ごして、数日が経った。この数日間はすごく暇だった。お母様とお父様はお仕事があっていなかったし、ノア兄も比較的一緒にはいてくれたけど、ずーっと寝て起きて寝て起きてヴィティとルアルと戯れるくらいしかしてない……。それに寂しいよー!そろそろ暇過ぎて誰か構って欲しいよー。


 そんな事思いつつヴィティとルアルと戯れる。


「ねぇ~、暇だね~」


「ニー」(ほんとだね~)


「ほんとだね~」


 くわぁ~っとみんなであくびをする。また今日も寝るだけかぁ……。


 思いっきりだらけているとバンッと扉を開けて誰かが入ってきた。入ってきたのは……。


「エイミー!」


「ノア兄!」


 わあーい!ノア兄が来てくれた!数日前よりちゃんと歩ける様になった足でノア兄に駆け寄る。


「ノア兄! 寂しかった~。暇だった~」


「エイミー、ごめんね……」


 ぎゅうっとノア兄に抱きつく。もう!普通はこんなに幼児を放置したらダメだよ!神だから大丈夫なんだからね!と思いながらぎゅうぎゅう抱きつく。


「エイミー、ごめんな……」


 うん?この声は?


 ノア兄しか見えなくて急いで抱きついたけどもう1人いた様だ。ノア兄に抱きついていた顔を上げると、なんと!ディーお兄様がいた!


「ディーお兄様!」


「エイミー、久しぶりだね」


「お久しぶりです!」


 そう言って私はディーお兄様にも抱きついた。するとディーお兄様は私を抱っこした。


「ごめんな、すぐ会いに来るつもりが私の世界で少々面倒くさい事が起きてな……。来るのがこんなに遅くなってしまったよ」


 ディーお兄様の世界で何かあったんだ……。お仕事ならしょうがないよね。


「お仕事ならしょうがないです。でもちょっと寂しかった……」


「! エイミー!」


 ディーお兄様は私をぎゅっと抱きしめてくれた。やっぱりちょっと寂しかった。あれから会いに来てくれるのはノア兄くらいしか来てくれないし、みんな忙しいのは分かっているけどもうちょっと構ってほしかった……。


 だから私もぎゅっとディーお兄様に抱きついた。すると、ヴィティもルアルも心配したのか声をかけてくる。


「ニー……」(あるじさま……)


「エイミーさま、だいじょうぶ?」


 はっ!心配させちゃった!ディーお兄様に会って安心したのか本音が出ちゃった!せっかくディーお兄様とノア兄が来てくれたから明るくしなきゃね!


「ヴィティとルアル、大丈夫だよ! ディーお兄様とノア兄に会えて安心しちゃった……」


「そっか! ならよかった!」


「ニー!」(よかった!)


 さて、ディーお兄様とノア兄が来てくれたけど何しようかな?そんな事考えているとノア兄が言った。


「今日はね、ここのところエイミー部屋から出れなかったでしょう? だからお仕事が一段落した兄上にお願いして一緒にエイミーのところに来てもらったんだ! それでこの前約束していたお城探検に行こう!」


「お城探検! できるの!?」


 エイミーのが輝く。すごくキラキラだ。


「うん! 兄上もいるから大丈夫だよ!」


「ああ、私もいるから大丈夫だぞ?」


「お城探検行く!!」


 わあーい!!すごく気になっていたんだよね~。私、この部屋と、おばあ様とおじい様の部屋しか分からないからすごく、すごーく楽しみ!!


「ヴィティ! ルアル! お城探検だって! 楽しみだね!」


「わあ~ぼくもおしろなかたんけんするのたのしみ~♪」


「ニー♪ ニー♪」(たのしみ♪ たのしみ♪)


 ヴィティとルアルはお城探検すると言うとぴょんぴょんジャンプして喜びを表現している。私もディーお兄様に抱っこされているけどぴょんぴょんっとディーお兄様の腕の中で暴れている。


「エイミー、危ないぞ?」


「ディーお兄様、ごめんなさい。でも! 嬉しくて!」


 ディーお兄様が笑って私に注意してきますが、ディーお兄様の抱っこはあんなに暴れても安定しています。


「エイミー、楽しみにしてたもんね!」


「うん!」


 テンション爆上がりです!


「早く行こう! 早く行こうよ!」


「待ってエイミー、最初におめかししようよ!」


「ああ、もしかしたら誰かと会うかもしれないからな」


 そう言うとディーお兄様は一度私を降ろしました。

 

 確かに今の私はパジャマみたいな恰好でした。身嗜みは大切だもんね!


「分かりました! でも何着ていこう?」


「今日は私が……」


 ディーお兄様がそう言って指をパチンっと鳴らす。するとまた子供用の豪華なドレスに変わった。ディーお兄様の髪の色と同じネイビーのドレス。袖のところがチュールになっていて、ふわっと広がるスカートは前が少し短くて後ろが長い。それにキラキラ光るビジューみたいなのが付いていてまるで星空のドレスみたい!


 変身した私はクルリっと回って見せる。


「可愛いドレス! ディーお兄様! ノア兄! 似合いますか?」


「すごく可愛いよ! エイミー!」


「ああ、すごく似合っているぞ! エイミーはネイビーが似合うと思った通り、可愛いらしい」


 すごく褒めてくれる……。照れるけど嬉しいな!


「ニー!」(あるじさまかわいい!)


「エイミーさま! すごくにあっています♪」


「ありがとう♪」


 ルアルとヴィティが近寄ってきたので、なでなでする。


 するとすかさずディーお兄様にまた抱っこされてしまいました。


「ルアルとヴィティを撫でるのいいが、そろそろ行こうか。ノア、エイミー」


「はい! 行きましょう!」


「行こー!」


 ワクワクのお城探検にレッツゴー!!

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