第18話 不安になりました

 

「おじい様、もう大丈夫?」


 あれからおじい様はシクシクと涙が止まらなく心配になりました。


 どれだけ子供に怖がられてたんだ……おじい様。


「すまんな……。もう大丈夫だ、ありがとうエイミー」


 私はおじい様に精一杯手を伸ばし、よしよしってしてあげる。


「なんて幸せなんだ……」


「よかったな、いつもは泣き叫ばれるのにな」


「父上のあんな顔初めて見たよ」


「お父様、エイミーは可愛いでしょ?」


「ああ、すっごく可愛いな」


 やめてー照れるー。昨日と今日で何回可愛いと言われたか。あっ、これもチートか。


「ニー、ニー」(あるじさまー、そのひとだいじょうぶなの?)


 そういえば、ルアルは怯えていたんだ。


「ルアル大丈夫だよ~。 おじい様は怖くないよ」


「エイミー、なんていい子なんだ!」


 おじい様、これでいい子ならみんないい子ですよ?とりあえず、おじい様は置いといて……。


「ニー……」(うーん、あるじさまがいうなら……)


 そう言うと、ルアルはノア兄の腕からぴょんっと飛び降り恐る恐るこちらへ、おじい様に抱っこされている私の元へ来た。おじい様の足元をクンクンと鼻を動かしてビビりながらおじい様の足に体を擦り付けた。


「に~」(ほんとだ~、大丈夫そ~)


 ルアルはおじい様が大丈夫なのを確認すると怯えた感じはなくなった。しかし、今度はおじい様が固まった……。


「これはどうすればいい?」


「おじい様、ルアルを優しく撫でてください」


 私がおじい様にそう言うと、おじい様は私を抱っこしたまましゃがんでルアルを恐る恐る撫でた。


「……可愛いな」


「はい! ルアルは可愛いです!」


「ニー♪」(うわぁ~、大きな手だね♪)


 おじい様もルアルも2人とも、もう大丈夫そうだね!


「さて、そろそろ立ち話もなんだ座ろうか?」


 おばあ様がそう言うとソファーとテーブルが出てきた。


 何回見てもすごいね!いつか私も出来る様になるかな?


 私はおじい様に抱っこされたまま座った。おじい様の隣におばあ様が座り、反対側の隣にルアルがちょこんと座った。ルアルお行儀いいね!向かいのソファーにノア兄を挟んでお母様、お父様が座っている。


「エイミーは珍しい力に目覚めた様だな」


「はい、お母様。 初めての力ですわね」


「しかし、納得の力だ! こんなに愛らしいからな!」


「父上も虜になりましたね」


「当たり前だ、泣かなかった子はエイミー以外にいないぞ。みんな子供達は可愛いが狂った様に泣き叫ばれるとな……」


 おじい様はまたしょんぼりしてきました。これは良くないです。


「おじい様、大丈夫?」


「っ! ああ、大丈夫だ。エイミー」


 おじい様はハッとして大丈夫だと笑顔で言いました。


 初めておじい様の笑顔を見たよ。笑っていればちょっとは強面な顔が和らぐかな?


「ふむ、エイミーはもう一つ力が覚醒するな」


 おじい様に問い掛けてる間におばあ様は私のことをじっと見ていました。おばあ様の方を見るとキラキラ色が変わる瞳に全てを見られている感覚になる。何故か目を逸らしてはいけない様な気がして私もじっとおばあ様を見つめる。


「ほぅお、なるほどな。しかし、エイミーは偉いな!」


「なんでですか?」


「普通の幼い神は私に見つめられたら目を逸らすぞ? さすがリテを怖がらないだけあるな!」


 それは褒められているのかな……?


「お母様、何か分かりましたの?」


「ああ、エイミーのもう一つの力か?」


「ええ、まだ私達には感じられません」


「まあ、そうだろうな。覚醒はしてないからな」


 愛されチートのほかになんの力があるのでしょうか?気になります!


「それで、母上。なんの力の可能性ですか?」


「可能性ではなく、限りなく確実だな。 エマリーバ、私達と同じ力を持っているぞ?」


「「「!?」」」


 お母様、お父様、おじい様の3人はおばあ様の言葉にびっくりしてました。私とノア兄、ルアルは、いまいち、よく分からない。


「お母様、それは……」


 なんかお母様とお父様の顔があまり良くないな……。なんかまずい力なのかな……?なんか不安になって来た。


「お母様、お父様、私のもう一つの力は悪いものなの……?」


 言葉にしたらもっと不安になって、泣きそうだ……。涙が溢れる寸前だ。


「ふえっ……」


「あぁ、エイミー、ごめんなさい。ちょっとびっくりしただけなの!」


「ごめんよ、エイミー。そんなつもりはなかったんだ」


「エイミー、泣かないで」


(あるじさま、なかないで……)


 うぅ、泣き止みたいけど泣き始めると中々止めれないよ……。


「エイミー、大丈夫、大丈夫だ」


 今度はおじい様が私を慰めてくれます。あやす様に背中をポンポンと軽く叩いて大丈夫って言ってくれます。


「ひっく……。ひっく……」


「エイミー、大丈夫だそ? 不安になる事はない」


 おばあ様は私の頭を撫でてくれます。


「エイミーの力は悪いものじゃない。寧ろ凄い力だぞ?」


「……ひっく、す、すごい、ひっく、力……?」


「ああ、エイミーは賢いから教えるな」


 そう言うとおばあ様は教えてくれた。


「もう一つの力はな、創造と破壊の力。私達と同じ様に世界を作り管理する事が出来る」


「……創造と破壊」


「しかし、その力はまだ覚醒してない。それにエイミーはまだ幼い。だからそんなに気にしなくても大丈夫だ」


「グスッ、はい」


 止まらなかった涙もおばあ様の話を聞いて止まった。でも、悪い力じゃ無くて良かった……。

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