第17話 おばあ様とおじい様

 お母様がトントントンっとノックします。


「お母様、お父様、エマリーバですわ」


「お入り」


「失礼します」


「失礼します」


 お母様と一緒に失礼しますと言って入る。こんなに大きな扉どうやって開くのかなって思っていたらお母様が軽く触っただけで開き始めた。


 すごい!お母様の力?かは分からないけど、自動で開いた。


 もうすでにお父様とノア兄がいて、ノア兄に抱っこされているルアルが心なしか怯えている様に見える。


 ルアル、どうしたのかな?


「おばあ様、遅れてすみませんわ」


「いや、いい。 理由はオーディンからなんとなく聞いているし、エマリーバが独り占めしたかったのも分かっておる」


「お母様にはお見通しですわね」


「して、その子がエイミーか?」


「はい、この子がエイミーです。可愛らしいでしょう?」


「エイミーです! おばあ様、遅くなってしまいごめんなさい……」


「まあまあまあ! 愛らしい! エマリーバそっくりだな! 妾はアリアユニエステレラと言う」


 おばあ様そう言ってニッコリ笑ってた。


 よかった~。おばあ様遅れたこと怒って無かった……。


 どんな人かも分からなかったからちょっとだけ不安だったが優しそう感じで良かった!


 おばあ様の見た目は銀髪のストレートロングの髪で瞳の色は七色かな?見た角度で色が変わる。宝石ならアレキサンドライトみたいな感じ。しかもおばあ様って言っているけど全然おばあちゃんじゃない……。30代位の見た目だよ。おばあ様って言うの申し訳ない気がする……。


「おばあ様って呼んでいいぞ? エイミー」


「!?」


 心を読まれてる!?


「妾の前では隠し事など無駄だよ」


 おばあ様はニヤリと笑った。


「母上、エイミーを揶揄わないでくださいよ」


「すまんな、ちょっとした悪戯だ。 エイミーいつもは心を読まないから安心しろ。それに妾の見た目が気になるのなら、婆さんになろうか?」


 そうおばあ様言うとパチンっと指を鳴らした。するとおばあ様の見た目がおばあちゃんになった!?


「どうじゃ? この方がいいか?」


 首を横に振る。おばあちゃんでも良いけど最初に会った見た目から変わったからちょっと違和感がある……。


「エイミー、見た目など神にとっては些細な事だ。 妾にとってはエイミーは孫。そしてエイミーにとって妾はおばあ様だ。それだけのこと」


「はい、おばあ様」


「うむ」


 おばあ様はまたパチンっと指を鳴らして、元の姿に戻った。


「それで、お母様。 お父様はどちらに?」


「妾の隣に居るぞ。結界を張って気配と姿を隠して」


 おばあ様は隣を指差してここに居ると言う。何も見えないけど姿を消してるってなんで?


「何故? そんな事をしているの、お父様?」


「オーディンとノアが来た時、ノアに抱っこされている小虎が怯えて怯えて、それでエイミーも同じ様に怯えて泣かせるかも知れないから自分は姿を隠しておくと言っておった」


「確かに、お父様のお顔は迫力がありますものね」


 だからか!ここへ着いた時ルアルが怯えてたの。そんなにおじい様怖いのかな?私が泣かない様に気を使ってくれたのでしょう?私は会ってみたいな~と思ったので言ってみる!


「私は、おじい様と会ってみたいです!」


「おお! そうか! ほれ、エイミーが会いたいって言うておるぞ!」


「お父様、姿を現してくださいな?」


「父上、ずっと姿を見せないつもりですか?」


「おじい様、エイミーは大丈夫ですよ!」


 なんか、ちょっとだけ笑えて来た。隠れて出てこないおじい様……。子供か!ふふっ。


 すると、何も見えなかったはずのおばあ様の隣がぐにゃっと空間が歪むとスーッと人影が見えて来た。


「エイミー、一応覚悟しておいてね?」


 お母様がボソッと私の耳元で言いました。えっ?覚悟とは??


 そして、現れたのはかなりお顔が怖い、強面な男の人がこちらを見ていた。睨まれているかの様な感じがする。


 一瞬ビクッとなるが泣くまでではない。まあ、普通の子供なら泣くだろうけど……。何も言わずにじっと見ていたら、益々顔が怖くなっていく。今にも殺されそうな雰囲気が漂ってくるが頑張って言おう……!


「初めまして、おじい様。 エイミーです! よろしくお願いします!」


「っ!!」


 私が自己紹介すると、おじい様は突然泣き始めた!?えっ!?おじい様が泣いている!なんで?


「うぅ、こんな事は初めてだ……。 グスッ」


「なんじゃ、急に泣き出しおって。 びっくりするわ!」


「グスッ。 しかし、アリア。 初めてだぞ、泣き出さないで話しかけて来てくれたのは……」


「それでもじゃ! エイミーが困惑してるじゃないか! 早くエイミーに話かけろ!」


 絶賛困惑中です。強面のおじい様は涙脆いのでしょうか?


「エイミー、自己紹介をありがとう。 我はオスキュリテコースマスという。急に泣いてすまなかったな……。これからよろしくなエイミー」


「はい! おじい様」


 うん、顔はかなり怖いけど優しいおじい様みたい!長い黒髪におばあ様と一緒の瞳。体型もゴツい。多分2メートル以上あるし、筋肉もめっちゃついている。これは威圧感半端ないね……。そんなおじい様だけど、中身は繊細なのかな?って思ったりする。


「エイミー、その抱っこしても良いだろうか……?」


「……? いいですよ?」


「そうか! それじゃあ……」


 おじい様にそう言われてお母様がおじい様に私を渡します。おじい様は私を抱っこすると、また感極まった様に泣いてしまいました。

 

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