第14話 滑舌良くなりました!

 次の日、エイミーはベット上で起きた。


「あっ! エイミー起きた! おはよう!」


「ノア兄、おはよう」


 寝起きの頭でぼぉーっと周りを見る。近くにはノア兄と私の横で寝ているルアルだけだ。お母様もお父様もお兄様、お姉様達もいない……。あれ?と覚醒してきた頭で考える。

 

 そうえば、私、ルアルと遊んでいて途中で眠くなって寝ちゃったんだ……。


「ノア兄、みんなは?」


「母上と父上は、おじい様とおばあ様のところへ行ったよ。 兄上、姉上達はみんなお仕事だよ」


「そっか……。 私、寝ちゃってちゃんと挨拶して無いよ……」


「大丈夫だよ、エイミー。 多分みんなすぐ来るから」


 ノア兄はそう言って笑ってた。


「だって、エイミーが寝ちゃった後、みんなエイミーの寝顔ずっと見ていたいって言ってたし、もっと一緒に居たいって言ってたんだよ? だけど母上がもう今日は解散って言ってそれぞれ仕事に戻りなさいって怒られてた」


「そ、そうなんだ……」


 まさか寝ている時にそんな会話があったなんて……。照れるな~。


「僕はまだ、お仕事してないからエイミーと一緒に居られるよ!」


「ノア兄が一緒に居てくれて嬉しい!」


 えへへと2人で笑いあった。すると、ルアルも起きた。


(ふぁ~、あるじさま、おはよう)


「ルアル、おはよう」


「おはよう」


 ルアルは身体を伸ばして、あくびをした。そして私にスリスリする。うん、可愛い。私もルアルをなでなでする。ルアルは幸せそうに目を細めた。


「エイミー、昨日より滑舌良くなったね」


「えっ?」


 こてんっと首を傾げる。滑舌?良くなった?……そうえば昨日より話しやすいかも……と思った。


「ノア兄、ルアル、お母様!」


「!? エイミー、急にどうしたの!?」


「あるじさま!?」


「あっ、滑舌良くなったこと確かめるために呼んでみただけー!」


 ノア兄とルアルを見てニコニコ笑う。ノア兄もルアルも安心した様でニッコリ笑ってくれた。


 確かに話しやすい!嬉しいな!でも、まさか昨日の今日で滑舌が良くなるとは思わなかったな……。神の成長恐るべし……。あっという間に大人なったりして?とちょっと思った。


「あと、身体も成長したね! 歩けるかな……?」


「??」


 改めて自分の身体を見た。

 本当だ~。成長してる!見た目は多分一才くらいかな?でも、まだまだふくふくの小さい手足だ。


「母上と父上がもう少しで来ると思うからそれまで歩いてみる?」


「!!、うん!」


 お母様とお父様来るまで歩ける様になってびっくりさせよう!そう思って思わずクスクス笑ってしまう。


「ふふっ、エイミーなにか企んでるね?」


「ノア兄、お母様とお父様来るまでに歩ける様になってびっくりさせたいなっ!」


「それは面白いね! じゃあ僕と一緒に歩く練習しよ!」


(ぼくもー! おてつだいするよ!)


「ありがとう! ノア兄、ルアル!」


 まず、ベットからノア兄に降ろしてもらい、ノア兄に抱っこされて、昨日の絨毯の上に移動する。お父様はまたそこで遊べる様に出したままにしてくれていたみたい。ここなら転んでも痛く無いし大丈夫だね!


「よし! ここなら安全に練習できるね!」


「うん!」


「じゃあ、頑張ろ!」


 そう言うとノア兄は絨毯の上に私を降ろした。


「まずは、立ってみよう。 支えているからね」


「うん」


 ノア兄に支えてもらって立ってみる。少しフラフラするが立てないこともない。まだノア兄支えてもらっているが……。


「このままゆっくり歩いてみよう」


「うん!」


(あるじさまーがんばれー!)


 ルアルが応援してくれる中、ノア兄に支えられ一歩、一歩、歩き始めた。よちよちとも言えない本当に一歩一歩。


「そうそう、エイミー上手だよ」


(あるじさまーじょうずー!)


 2人が褒めてくれるが自分で歩けるまでは喜ばないぞ!と気合を入れ、エイミーは練習に励んだ……。








 時は少し戻りエイミーがまだ寝ていた頃……。


 エマリーバとオーディンは神々の頂点、最高神である母と父に会いに来ていた。


「お母様、お父様。 お時間を頂きありがとうございます」


「いや、会いに来てくれて嬉しい、エマリーバ、オーディン」


「久しいな、2人とも」


「ええ、お久しぶりです」


 ここはエイミーの住む城と同じだが、神の城に相応しく、恐ろしく大きいし広い……。エイミーは部屋から出ていない為まだ知らないが……。その城の一角にいる2人の最高神は2人が来るのを楽しみに待っていた。


「して、妾達の新しい孫はどうだい?」


「はい、元気いっぱいに生まれましたわ。 お母様」


「すごく愛らしい子ですよ」


「そうか」


 2人とも頬を緩める。まだ会ったことのない孫に早く会いたいものだ。


「いつ、会えるのだ?」


「エイミーが起き次第、連れて来ようと思います」


「できるだけ早く会いたいでしょう? お母様、お父様?」


「そうだな、早う会いたいぞ!」


「私もいてもいいのか……?」


「父上……」


 最高神の1人、エマリーバとオーディンの父は最高神である威厳とその厳つい強面な顔が他の神々に恐れられていた……。幼い者達からは会うとぎゃん泣きするか、逃げられるかのどちらかだ……。


「お父様、エイミーは大丈夫ですわ。 絶対お父様の顔を見ても泣かないわ♪」


「そ、そうか……」


「そんな、不安そうな顔をするな」


「とりあえず、エイミーが起きたら連れて来ますね」


「ああ、待っておるぞ!」


 エマリーバとオーディンは2人にそう言い、エイミーとノアのいる部屋へと戻って行った。

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