第15話 びっくりさせました!

 しばらく経ち、エイミーの練習成果を見せる時がやって来た!


「エイミー、そろそろ母上と父上が帰ってくるよ」


「うん! ちょっとだけ歩けるようになったところお母様とお父様に見せる!」


(あるじさまがんばったー!)


「そうだね♪ エイミーよく頑張ったね」


「お母様、お父様、びっくりするかな~?」


 そうあれからノア兄と猛特訓した。側から見たら幼児の微笑ましい光景だけど……。本人としては頑張った!ちょー頑張った!その成果がよちよち歩きまではいった。まだ、長い距離は歩けないが、少しならいける!これでお母様とお父様を驚かせるのだ!


「あっ! 母上、父上の気配がするよ。エイミー頑張れ!」


「うん!」


(あるじさまー、ふぁいとー!)


 よし、お母様、お父様が来る!気合を入れる。

 

 ーーーそして、ドアが開いた……。


「あら、エイミー起きてたの? 2人ともおはよう」


「ノア、エイミー、おはよう」


「母上、父上、おはようございます」


「お母様、お父様、おはようございます!」


 お母様とお父様に元気に挨拶をする。挨拶は大切だもんね!


 そしてノア兄の顔を見る。ノア兄も私の顔を見て頷く。


「母上、父上、その場から動かないで下さい」


「えっ? どうしたの? ノア?」


「ここから動いたらいけないのかい?」


「ちょっとだけ待っていて下さい。 さっ、エイミー出番だよ?」


「うん!」


 よし、まずは立つ! ちょっとフラフラするがノア兄の足に掴まって安定させる。……そして、お母様とお父様目掛けて一歩、一歩、よちよち歩きで目指す。


 お母様とお父様もエイミーが何をするのか気づいたらしく、しゃがんでエイミーのことを待ってくれている。


「エイミー、頑張れ!」


「エイミー、もう少しよ!」


 お父様とお母様が応援してくれている。もうちょっとで2人のところへ着く。エイミーは確実に一歩、一歩、歩いていく。そしてついに、2人の元へ!


「お母様!お父様!」


 2人の元に着いて、エイミーは2人に抱きしめてもらう。


「エイミー! すごいわ!」


「本当! びっくりしたよ!」


「えへへっ」


「母上と父上に歩けるようになった姿を見せたいと、エイミーすごく頑張りましたよ?」


「ニー!」


 ノア兄がお母様とお父様に説明する。その話を聞いて2人はエイミーを見て優しく微笑んだ。


「エイミー、頑張ったわね♪ 偉いわ」


「エイミーが私達のために頑張ってくれた事がすごく嬉しいよ」


「ふふふっ、お母様とお父様を驚かせたかったの!」


「すごく驚いたわ~」


 2人はエイミーを褒めながら頭を撫でてた。エイミーは照れながらもお母様とお父様に褒めてもらい頭を撫でられ幸せそうに笑った。


「そうえば、エイミー歩ける様になったし、滑舌も良くなったかな?」


「そうね、昨日は舌足らずな感じだったものね~。 それも可愛かったわ♪ 成長は嬉しいけどもうちょっと舌足らずな口調も聞きたかったわ~」


「母上……」


「お母様……」


 お母様がそう言うが私は舌足らずな口調はもういいです。言い難いので……。ちゃんと喋れる様になって私は満足です!!


「それは、置いといて……。 エイミー、今日はおばあ様とおじい様さまのところに会いに行くわよ!」


「おばあ様? おじい様?」


「そうだよ、2人ともエイミーに会いたがっているよ」


 おばあ様とおじい様、すなわちこの神の世界のトップ。最高神。


 今から、会うの!?どうしよ、作法とかあるのかな……!?


 オロオロしているエイミーにお母様とお父様、ノア兄とルアルは不思議そうだ。


「エイミー、おばあ様とおじい様に会いたくないの?」


「ノア兄、違います! だって、おばあ様とおじい様は偉い人なんでしょ? なんか作法とかあるのかなって思って不安になっちゃったの……」


「なんだ、そんな事か~」


 あははっとノア兄は笑う。お母様とお父様も笑っている。ルアルだけ私に寄り添って心配してくれている。


「なんで笑っているの?」


「エイミー、ごめん。 だって考え過ぎなんだもん。 大丈夫だよ、おばあ様もおじい様も優しいから! ……ちょっとおじい様はお顔が怖いけどね」


「そうよ~、普通に会いに行けばいいのよ♪」


「そうそう、気楽にね!」


「うぅ」

 

 なんか考え過ぎたみたい……。確かに最高神と言えど私にとってはおばあ様とおじい様なんだよね。そう思うと気楽になる。しかし、ノア兄が気になる事を言っていた気がする……。おじい様の顔がどうとか……。まあ、会いに行けば分かるか!


「それでエイミー、会いに行くの大丈夫かしら?」


「うん! おばあ様とおじい様に会いに行きます!」


「じゃあ、少し、おめかししましょうか」


「……??」


 お母様がそう言うと今まで着ていたシンプルなワンピースから豪華な子供用のドレスに変わった。ドレスは青色の光沢感が美しい生地に花柄のレースが重なっていてスカートの部分はソフトチュールでふんわり広がっている。ウエストの部分にはリボンがついている。可憐な印象のドレスだ。


 そして、髪型も可愛らしくハーフアップにされていてゴムのところがリボンになっている。


 とびきりおめかしして、まるでどこかのお姫様だ。


「エイミー、可愛いよ!!」


「エイミー! なんて可愛いんだ!! さすが私の娘だ!!」


「ニー♪」(あるじさまー、かわいい~♪)


「うん! 完璧ね♪」


 みんなベタ褒めしてくれる。お父様は可愛い、可愛いと私を抱っこしてクルクル回ります。私も楽しくて、きゃっきゃしちゃいます。


 しばらくきゃっきゃしてるとパンパンっとお母様が手を叩き、言います。


「オーディン、エイミー、そろそろおばあ様とおじい様に会いに行くわよ?」


「おっと、そうだね。 ごめんよ、エイミーがあまりにも可愛らしくて」


 そう言ってお父様からお母様の抱っこに変わり、おばあ様とおじい様のところへ行きます!

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