第13話 もふもふは可愛いです!
えっ……。今、絶対、ルアルが喋ったよね……?
突然固まったエイミーをルアルは不思議そうに見た。そして、それを見ていたエマリーバ達も不思議そうにエイミーを見ていた。
「エイミー、どうした? 急に固まったが……」
「……何か、……あった?」
ディーお兄様と、ヴェルお兄様が聞いてくる。
(あるじさま、どうしたの??)
ルアルはエイミーにそう言うとコテンっと頭を傾げた。やっぱり、この幼い声はルアルのものだ。
「ルアル、しゃべれるの?」
(しゃべれるよー! あるじさまがおなまえくれたから!)
「エイミー、神獣は話せるんだよ」
「僕達はニーとしか聞こえません」
「ルアルはまだ幼いから私達には聞こえないわ。 名をつけてくれた神にしか話せないわ」
「ある程度成長し、力をつけたら、皆と話せる様になる」
「「へぇ~」」
ノア兄も分からなかったのか、私と一緒に反応している。まあ、普通の動物じゃ無いもんね……。話せて当たり前か、と1人で納得する。
(あるじさまー! 頭撫でてー!)
「あい」
撫でて催促に応えて、ルアルの頭を撫でる。ルアルは実に幸せそうだ。
「でも、白虎の一族から成り行きとはいえ、エイミーと一緒にいる事になったけど、大丈夫かしら……?」
「あぁ、フェンリルの一族か……」
「あ~、何もしなかったら一波乱ありそ」
「あの一族は我々に対して忠誠心がすごいからな……」
何の話?フェンリルってあの狼の?
「うーん、フェンリルにルアルと同じくらいの子いないか?」
「……いる」
「うん? インヴェルノ知っているのか?」
「……雪属性の子が産まれたから、……挨拶来た」
「インヴェルノお兄様、あの子ですわね?」
「……そう」
「ルチアーノも知っているの?」
「ええ」
なんでも、フェンリルも幼い子が産まれたらしい。と言っても、もうルアルよりは大きいらしいとルチアお姉様は言う。それにその子は光と雪の属性を持つんだってー。だからルチアお姉様のところにも挨拶に来て分かっていたみたい。フェンリル一族は私達家族に忠誠心がすごくて、必ず子供が産まれるとその子の属性に合わせてその属性を持つお兄様やお姉様達に挨拶にくるのだとか。
「その子をエイミーに会わせてみるか……」
「そうね、そうしないとフェンリル一族、私達の前で嘆くわよ……」
「だよね……。面倒くさくなりそう」
何やらお父様とお母様は考え込んでいるようだが、私はルアルと一緒に遊ぶ。といってもルアルが戯れて来たり、私が頭をなでなでしたり、2人でゴロゴロしたり、ノア兄が起こしてくれたり、絨毯の上で遊んでいた。
「とりあえず、エイミーにその子を会わせてみたらどうです?」
「お兄様の言う通り、そうしてみたらどうでしょうか、お母様?」
「そうね、そうしましょう」
「それならフェンリルも納得するかな?」
すると、お母様とお父様が近づいて来た。
「エイミー、フェンリルの子とも会ってみない?」
「とりあえず、会うだけでいいからね」
「う? フェンリルって狼しゃんでしゅか?」
「そうだよ」
「会いたいでしゅ!」
狼と聞いて目がキラキラする。人だった時ずっと犬が飼いたかったが、親がダメだと言って結局飼えなかった……。しかも、狼みたいなカッコいい犬に憧れがエイミーにはあった。
「あら? エイミー目がキラキラしているわ」
「エイミー、狼好きなの?」
「あい! しゅきでしゅ!」
(……あるじさま、ぼくはおおかみじゃないけどすき?)
ルアルが不安そうに聞いてくる。耳も尻尾も下がっている。エイミーはそんな様子のルアルを見て、思った。確かに猫派よりも犬派だけど、そもそも動物は好きだ。特にカッコいい系の動物。もちろん虎も好き。
「ルアルもしゅきでしゅよ!」
(そっか! ぼくもあるじさますきー!)
「……はぁ~、可愛い……」
「癒しですわ……」
ルアルは好きと言われて復活した。耳も尻尾も元通り。そして思わぬところで癒しも提供していたみたいだ。
「じゃあ、フェンリルの子と会うっていうことで!」
「あい!」
どんな子なのか楽しみだ!!
「あと、ルアルの親には妾が伝えておく」
「多分、ルアルの親もエイミーに会いに来ると思うよ?」
「すぐにって訳じゃないけどね」
ルアルの親は白虎なんだよね?大きいのかな?今からワクワクが止まらない!!
「ふふっ、エイミー、ずっとキラキラしているよ?」
「楽しそうで何よりだ」
その後、ルアルとまた戯れて遊んだり、していたらいつの間にか寝ていた様だ。
「エイミー、ルアルを抱きしめて寝ちゃったわ」
「いっぱいお兄様とお姉様に会ったし、ルアルともいっぱい遊んだからね」
「可愛い寝顔だ……」
「……可愛い」
「ルアルも一緒に寝ちゃいましたわね」
「こんなに愛らしい子だとは思わなんだ」
「セレネお姉様の言う通りですわ」
皆、エイミーとルアルが寝ている姿を穏やかに見ていた。
「今日はもうこのままずっと寝ていそうな感じね」
「そうだね、じゃあ今日はこれで解散だね」
「えー、エイミーともっと一緒にいたーい!」
「こればかりはデスティノと同じ意見だ」
「……僕も」
「妾も来たばっかり」
「私もですわ」
それぞれ、まだエイミーといるだの、ずっとここにいたいだの、グズグズ言い出したのでエマリーバはニッコリ怖い笑みで言った。
「それぞれ仕事があるでしょ? それに今日はもうエイミーは寝てるの。うるさくしないで一度戻って仕事して来なさい。そして、暇なら明日また来なさい。分かったかしら……?」
エマリーバに言われて反論しようとしたが、威圧混じりに言われ、大人しく皆従った。すごく、すごーく後ろ髪引かれながら……。
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