第12話 名付けました!

 エマリーバはエイミーを降ろそうとしたが、そこに待ったが掛かった。


「エマ! 待って! 今絨毯用意するから!」


 そう言うとお父様はパチンっと指を鳴らして真っ白い毛が長い絨毯を出した。


「おとうしゃま! しゅごい!」

 

 おぉー!すごーい!と思わずパチパチと拍手をする。するとお父様はニッコリ笑ってくれた。


「エイミー、これで大丈夫だよ。 できるだけ絨毯から出ない様にね? 怪我したら大変だから」


「オーディン、過保護ね~。 神なんだからちょっとやそっとで、怪我なんかしないわよー」


「一応さ! 安全は確保しなきゃね」


「母上、父上の言う通りです。 怪我をしてからでは遅いのです」


 お父様とディーお兄様の言葉に他のお兄様、お姉様も『うん、うん』と頷いています。


「エイミー、過保護なお兄様とお姉様達だね~♪」


「ふふふっ、あい!」


「ニー!♪」


 エイミーが笑った事に小虎も嬉しそうだ。


 エマリーバはエイミー事を絨毯に降ろした。エイミーはふわふわの絨毯の感触に気持ちがそちらにいこうとしたが小虎の突撃によって意識は小虎に戻った。


「ニー!!」


「わっ!」


「「「「「エイミー!!」」」」」


 小虎はエイミーが降りた途端、エイミー向かって行った。もちろんエイミーはまだ小さいので小虎が来た衝撃で後ろに転んだ。しかし、絨毯がふわふわなので痛みは全く無い。ちょっとびっくりしただけ……。


「エイミー、大丈夫かしら?」


「これ! 少し落ち着かんか!」


「……おい! そこの虎何してる?」


「エイミーが転んでしまったじゃないか?」


 セレネお姉様が小虎を少し離してくれて、エイミーはお母様に起こしてもらった。その間にディーお兄様とフィーお兄たまが小虎に向かって威圧して脅している。小虎は震えて尻尾が下がっている。


「わたしはだいじょうぶでしゅ! ディーおにいしゃまとフィーおにいたま! 小虎をいじめちゃだめでしゅ!」


「「……エイミー」」


「ことらくん、こっちにおいで?」


「ニー……」


 エイミーが小虎を呼ぶとさっきとは違い、ゆっくり近づいて来た。そしてエイミーの目の前まで来た。


「ことらくん、だいじょうぶでしゅよ?」


 そう言ってエイミーは小虎の頭を撫でた。小虎の毛はふっわふわだった。小虎の方もエイミーに撫でられて幸せそうだ……。


「なんて可愛い光景なの~」


「本当和みますわ♪」


「エイミーも小虎も可愛いですわ!」


「なんか癒されるね~」


「うむ! 愛らしいのじゃ!」


 お姉様達がエイミーと小虎の光景に癒されている中、エイミーは小虎の毛皮に夢中にだった。

 

 うわぁ、すごいふわふわのモフモフ!ずっと撫でていられる~。


 小虎の方もエイミーに撫でられて喉をゴロゴロ鳴らし、ご機嫌に尻尾をゆっくり振っていた。

 

「セレネおねえしゃま、ことらくんのおなまえはなんでしゅか?」


「まだ名前は無いのじゃ」


「おなまえないでしゅか?」


「あぁ、名前はこの子が主人と決めた神に決めてもらうのじゃ」


 何でも白虎の一族はそうやって名を決めてもらうという。大体は親の使える神に決めてもらって同じ様に使えるのだとか。でも、この小虎は親と属性が違うから名前を決める前にセレネお姉様のところに来て、まだ決まってないのだそうだ。


「じゃあセレネおねえしゃまがおなまえをつけてあげるの?」


「いいや、この子は自由に自分の主人を決めてもらうさ」


「でも、おなまえがないのはかわいそうでしゅ……」


 名前が無いのは可哀想だし、呼ぶ時に不便じゃ無いかなぁ……。ちょっとしょんぼりしてしまう。


「ニー!、ニー!」


「ことらくん、どうしたの?」


 ちょっとしょんぼりしていると小虎くんが突然訴える様に「ニー!、ニー!」と鳴いている。


「お! これは、決まった様じゃ」


「ふふっ、そうね~」


「まだ、早く無いか?」


「いいじゃない、相棒がいた方がエイミーも楽しいわよ」


「うーん、そうかな……」


「過保護ね~」


 何やらお母様達が話しているが、何の話?それよりも小虎くんずっと鳴いてるよ!どうしたらいい!?


「セレネおねえしゃま! ことらくん、どうしたんでしゅか!?」


「ハハハッ! 大丈夫じゃ、エイミー。こやつはエイミーに名前をつけて欲しいみたいじゃ」


「ニー!」


 小虎くんはセレネお姉様が私に名前をつけて欲しいと伝えると私に頭を擦り付けて甘えて来た。


 可愛い!!めっちゃ可愛い!!私と同じくらいの大きさなのにちゃんと手加減して頭をスリスリしてくる!私が名前つけていいのかな??


「おかあしゃま、おなまえつけてもいいの?」


「えぇ、大丈夫よ。あなたの最初のお友達ね♪」


「でも、セレネおねえしゃまのところにいなくてもだいじょうぶ?」


「大丈夫じゃ! この城の方が居心地が良いじゃろ。母上もそれでいいか?」


「いいわよ」


「だからエイミー、つけてやっておくれ」


「あい!」


「ニー♪」


 うーん、なんて名前にしようかな?小虎くんは虎と言っても柄はほぼ見えない。薄っすら見えるけどほぼ黒。瞳はアンバー。『琥珀』?はそのまま過ぎるか……。黒にアンバー、夜と月みたい……。月光……。あっ!それなら……。


「ルアルはどうでしゅか?」


「ニー! ニー♪」


「あら、素敵な名前ね!」


「ルアル、うん良い名前だな」


「うむ。 いい名前じゃ!」


 良かった!小虎改め、ルアルも気に入ってくれたみたい!お母様とお父様、セレネお姉様にも褒められたし、良かった!


「ルアル! これからよろしくね♪」


(あるじさま! おなまえありがとう♪)

「!?」


 えっ……。ルアル、喋った……?

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