第6話 家族とご対面 〜3〜

 エイミーは温かい気持ちでスヤスヤ眠っていた。心地良くふわふわ包まれる様に眠っているところになんか自分のことを見ている知らない気配を感じた。エイミーは自分の側から動かない気配に不安に思いつつ、目を開けてみた。


「あ! 起きた!」


「起きましたね」


「目は父上と同じアメジストですね」


 エイミーは寝起きのせいかちょっとボケーっとしている。少しボケッとしていたけど、お母様の姿を探す。でも視界を占領しているのは3人の男の人。お母様を呼ぼうとした瞬間、1人の男の人に抱っこされた。


「やっと、起きた! 起きた! 初めまして! 俺はデスティノ! ねぇ何して遊ぶ?」


「……」


 デスティノとか言うこの人、急に抱っこされてびっくりしたし、なんかもう遊ぶ事になってるし、見た目、赤髪のセミロングの髪ににエメラルドみたいな瞳。身長は3人の中だったら低いけど175センチくらいは多分あると思う。もちろん美形だけど、残念な感じ。うん、普通に大人なのに言動子供。なんかこの人に抱っこされてるの不安になってきた。泣きそう……、お母様。


「うぅ、おかあしゃま……、どこ?」


「わぁっ! 母ーー! エイミー泣きそうだよ!」


「デスティノが急に抱っこするからでしょ」


「エイミー、お母様はここよ」


 やっとお母様を見つけました。お母様に両手を伸ばす。そしてお母様に抱っこしてもらうとぎゅっとしがみつきました。これで安心です。


「エイミー、ごめんよ……。 急に抱っこして……」


 お母様にしがみついてお母様の胸に顔を埋めていた顔をあげて、デスティノの方をみた。すごくシュンっとしている。なんか頭に垂れた犬の耳が見えてきそう。起きてすぐお母様が見えなくて不安になっただけだから今はお母様に抱っこされて安心だから余裕がある。


「だいじょうぶでしゅ、わたちもだっこちてくれたのにごめんなちゃい……」


「エイミーが謝る事はないよ! また抱っこしてもいいかな……?」


「あい! してくだちゃい! えっと、でしゅ、ての、? でしゅ、ての……」


 ああ!!デスティノって言えない……!


「デスティノって言えないか…、うーんスティ兄ちゃんは言える?」


「シュテイにいちゃん」


「うーんちょっと違うけどちゃんと言えるようになるまではそれでいいよ!」


 うぅ、ごめんよスティ兄ちゃん。ちゃんと言える様に頑張るから!そう心の中で決心していると……。


「おい! お前ばかりエイミーと話してるな! 俺たちも話させろ!」


「えー!」


「デスティノ、そろそろいいかな?」


「あ、兄上。 ……どうぞ」


 何やら3人で話していたみたいだけど……。


「初めましてエイミー、私は1番上の兄、ディヴァインという。 よろしくね」


「ディヴァインは私とオーディンの最初の子供よ」


 おお!長男さんでしたか!だからなんか他のお兄様お姉様達と違って貫禄?威厳?みたいな感じがあるのか!見た目はもう慣れてきたけど美形。ネイビーの髪色で長い髪を緩く編んでいる。瞳の色は深い青。身長は高い。お父様と同じくらいかな?


「私の名前も言いにくいと思うからディーでいいよ」


 ディーお兄様はそう言って私ににっこり笑ってくれた。はい!美形の笑顔の破壊力!思わず赤面する。


「まあ! あの兄様が!」


「びっくりだね~」


「お兄様はわたくし達にはなんとでも呼べばいいと適当だったのに!」


 お姉様達はびっくりしている。なんでだろう?と疑問に思ったけど、私も自己紹介しなきゃ!


「エイミーでしゅ! よろしくおねがいしましゅ、ディーおにいしゃま」


「!、ああ、よろしくね」


 そう言うとディーお兄様は頭を撫でてくれました。もちろん嬉しいので笑顔になります。ニコニコしてると、多分もう1人のお兄様が近づいてきます。


「エイミー、初めまして。 俺はアンフィニ、よろしくね!」


「あい! よろしくおねがいしましゅ!」


「俺のことはうーんなんて呼んでもらおうかな?」


 そう言ってアンフィニお兄様は悩み始めました。そんなに悩む事なのか?と思いながらお兄様をじっと見ていました。私と同じ銀髪で肩につかないくらいのちょっと長い髪。瞳も銀で全体的に色素が薄い感じ。身長もディーお兄様より少し低いくらい。


 じーっとアンフィニお兄様のことを観察していたらいつの間にかディーお兄様に抱っこされていました。あれ?ナチュラルに移動していた。ふとディーお兄様の顔を見ると優しく微笑んでくれた。釣られて私も笑う。そんな事をしていると。


「よし、決めた! フィーお兄たまだ!」


「……それ、本気で言ってんの?」


「なんだよ、別にいいだろ! ノアが小さい時お兄たまって呼んでくれてたんだよ! 今は兄上になったけど……」


「アンフィニ兄上、お兄たまと呼んだ方いいでしょうか?」


「ノアは兄上の方がいいんだろう? 無理に変えなくていいぞ」


「はい、兄上の方がなんかカッコいいから」


 スティ兄ちゃんは引いていた。だけどノア兄とフィーお兄たま……は、ノアの頭をフィーお兄たまが撫でていて、ノア兄も甘えてるみたいだ。


「エイミー、フィーお兄たまと呼んでくれるか?」


「あい! フィーおにいたま!」


 そう言って私は片手をフィーお兄たまに手を伸ばした。握手をするつもりだ。フィーお兄たまは気付いてくれたみたいで人差し指を出してきたので、その指を握って上下にちょっと振る。そしてにっこり笑った。


「!!!!。 か、可愛い過ぎるよ! 癒される」


「エイミーは可愛いですよね! アンフィニ兄上!」


「あぁ! そうだな! 兄上、俺にもエイミーを抱っこさせてくれ」


「……」


 あれ?なんか不穏な空気感。ディーお兄様の顔を見るとにっこり笑顔だけど、なんか威圧感のある笑顔だ。ちょっと怖い……。見なかった事にしよ。フィーお兄たまは抱っこさせてくれとキラキラな目でこっちを見ている。どうしたらいいの?と焦る。ちょっとオロオロしてたら、お父様が言った。


「ほら、エイミーが困惑してるからやめなさい。 とりあえずソファーに座ろうか」


「そうね、エイミーあなたに力の事も話さないといけないし、あと、いっぱい兄弟姉妹を紹介されて混乱すると思うからまだ会ってない子達も含めて生まれた順に教えておくわ」


 お父様とお母様がそう言ってソファーのある隣の部屋に移動する。結局私はそのままディーお兄様に抱っこされたままだった。

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