───戸惑い。染まる頬は…
「それで、ようやく言ったってわけね」
「はい。冷静になると恥ずかしすぎて死にたいです。風花さん殺してください」
「勢いで付き合えばこんなことになってないのに…冬馬って時々バカよね──前言撤回、いつもバカね」
昨日のなんなの俺!過去に戻れるなら言ってやりたい、気取るな!カッコつけるな!明日のお前が泣いているってな!!
お陰様でルカとは朝から気まずいしさ!穴があったら入りたいわ…もちろん埋めろ!
「本気になって欲しくて言ったんでしょ〜?」
「やめろぉ!あ"あ"あ"死にたいぃぃ…やめてくれぇ!!」
「決め台詞なんてやるじゃない」
「絶対褒められてないよな?煽られてんだよな?」
「私からしたら遅いくらいよ。ルカも朝から思い出したようにニヤニヤするし…」
「冬馬の名前だすと顔真っ赤にするのよ?」
「なにそれ可愛い…」
「そして振った相手に相談なんて、幼馴染の私じゃなきゃあなた最低よ?」
「ほんっっとにごめん!」
「いいわよ。玉砕したんだから」
「粉砕と大喝采は?」
「殴るわよ?」
「本当ごめんなさい…」
目がマジなんだが!?殴るどころか滅びのバーストストリーム飛んでくる勢いで!
「もうそろそろルカが来るんじゃない?珍しく冬馬が寝てなくてビックリするでしょうね」
「ルカといい、風花といい、俺をナマケモノか何かと勘違いしてない?」
「違うの?」
「違うわ!昨日から一睡もできてないわ!」
「いつも死んだ目してるから隈に気付かなかったわ」
「眠い身体に毒が突き刺さるんだけど…致死性100%ですか?」
「誰が毒タイプよ!」
**
「ほら、彼女さんが来たわよ」
「いや…彼女さんがじゃっ…!」
「お兄ちゃん!早速浮気ですか!?」
現れたのはいつもより数倍テンションの高いルカだった──スーパーハイテンション。
「お姉ちゃん!お兄ちゃん借りますから!行きますよ!」
「ちょ…おい!」
強引に手を引っ張られ教室を後にする。ルカのやつ俺の目を一度も見てないな…
「さぁお兄ちゃん!今日のご飯ですよ!」
「ルカ?」
「ふぇ…!?どうしましたか?」
「恥ずかしいから無理しなくてもいいぞ」
「うぅ…だってぇ…元気じゃないと恥ずかしいのバレるじゃないですか!」
「大丈夫だ!俺も恥ずかしい!」
「まさかのお揃いですか!?主人公の台詞言っていたので余裕かと思ってました!」
「やめろ!掘り返すな!」
「昨日のって夢じゃないんですよね?」
「俺も夢だと思った。ほっぺが腫れるくらいつねったけど夢じゃないぞ?」
「そ…それで…いつ頃言ってくれるのですか?」
ルカはソワソワしながらチラチラと俺の目を見てくる。これは…絶対に俺が待っていてって言ったやつだよな。
「実はゼクシィがここにあります!」
「待て待て!早まるな!俺は17歳だから結婚できないから!」
「昔みたいに拒否はしないんですね。えへへ」
「う…うるさい!」
二人の間に甘酸っぱい空気が流れる。時折目が合うとどちらからともなく目を逸らし、小さく笑いあう。
「私、自分の思ってる以上に浮かれてるのかもしれません!」
「俺だって初めてなんだ…昨日なんて眠れなかったぞ」
「えへへ…お揃いですね!お兄ちゃんが平然としてたらどうしようかと思ってました」
「我、17歳童貞ぞ?そんな大人な対応できるわけないだろう!」
「言葉がカッコよくない!?そこは馬鹿…お前にカッコ悪いところ見せられないだろ…とか言ってくださいよ!」
「少女漫画の読みすぎだ!」
「私女の子ですよ!?」
ここだけの話なんだが最近はミオから借りた少女漫画を読み漁るのが趣味になってる。知識はラブプラスしかなかったから初めて選択肢式じゃない恋愛を見たぞ!
「ちなみに一番キュンキュンしたのは何でしたか?」
「ハニワの小説。ひなちゃんには幸せになって欲しいと思える人生だったなー」
「またそうやって妹キャラばっか!その内ミオちゃんに手を出しそうです…」
「否!俺はミオの幸せを願っているからな!けど彼氏は認められる気がしない…本当に連れてきた日にはショック死しそう」
「ではその横でイチャイチャしましょう!間違い起こして二人で駆け落ちラブストーリーです!」
「頭悪そうなシナリオだな!就職するまでは間違いは起こさないから!」
「お兄ちゃんってもしかして…不全ですか?」
「そんなことはない!男子たるもの定期的な発散をすべし!」
「ちなみに私はしたことが無いので優しくしてくださいね!あ、お姉ちゃんで練習とかしたら許しませんから!」
「そんなエロ同人みたいな展開は断じて無い!リアルに無いものがあるから興奮するんだろ!」
「私が巫女服着て抱きついてきたらどうしますか?」
「は?愛でるに決まってるだろ!」
「来年の冬は神社で巫女さんやります!お兄ちゃん参拝しにきてくださいね!」
「他のやつに見せたく無いんだが…」
「独り占めですか〜?ルカちゃんの巫女服はみんなのものですよ?」
「やだ…もし人気なんて出たら妬くだろ…」
「冗談ですよ!お兄ちゃん可愛い反応しちゃって!」
「小悪魔系後輩女子みたいなムーブとるな!本当に妬きそうになっただろ!」
想像しただけで胸の辺りがモヤモヤして苦しくなった。俺、自分の思ってる以上にルカの事が───
「安心してください!私は一生お兄ちゃんのものです!」
「てことでここに契約書があります!サインしてください!」
「分かった───ってこれ婚姻届じゃねぇか!」
「ばれちゃいましたか…後ちょっとだったのに!」
「悪知恵働かせるな!」
「早く私を迎えにきてくださいね?待ち疲れちゃったら私から行っちゃいますからね!」
「俺にカッコつけさせてくれよ!」
「切実な願い!?私、我慢強く無いですから!」
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