───聖夜。プレゼント交換会…
「メリークリスマス!」
「さあお兄ちゃん!聖なる夜改め性なる夜ですよ!」
「冬馬?」
「大丈夫だから!ケーキ用のナイフを下ろせ!」
「お兄ちゃん…ミオは犯罪者になっても味方だよ」
「何もしてないから!冤罪だ!」
「このペースじゃ俺の体力がもたないわ…八門を開くしかないな」
「無事に四人でクリスマスを迎えられて嬉しいです!」
「一番危うかったのはルカだけどな」
「そ…それは…お兄ちゃんが中々帰してくれなかったからですよ!」
「人聞き悪い言い方をするな!公式を覚えないからだろうが!」
「ちなみにお姉ちゃんとミオちゃんは大丈夫でしたか?」
「私は学年18位で赤点は無いわよ」
「ミオは学年2位だよ。赤点は中学生だから無いよ」
「俺は6位」
「何なんですか!?私が一番低いんですか!?」
「ルカは我々四天王の中でも最弱ってことだな!」
「私を噛ませ犬にしないでください!」
「そうね。冬馬は良くても三番手ね」
「最強は誰なんだ?」
「って…聞くまでもなかったな」
三人の目線が風花へと集まる。
「その目線は癪なんだけど…」
「最強は風花ちゃんだよ。ミオは認めるよ」
「あぁ!俺も文句ないぜ!」
「異論なしです!」
「それにしても凄い料理ね。どこかから取り寄せたの?」
「違うよ。これミオとルカちゃんで作ったの」
「全く…我が妹ながら圧巻だよな。俺たちの立場がなくなるわ」
「愛情たっぷりですよ!お兄ちゃんあ〜んしてあげますからね!」
「自分で食べるから!恥ずかしい事させるな」
「お兄ちゃん、ミオのあ〜んなら食べられるよね?」
「あぁもちろんだ!早く口に運んでくれ!」
「酷いです!私と言う妻がいながら……浮気ですか!」
「正真正銘の妹だ!合法!」
「お兄ちゃん!世の中には妹がヒロインの作品がありまして…」
「沙霧神は義理の妹だし、千尋神も同じくだ!」
「とにかくお兄ちゃん!私のあ〜んも食べてくださいよー!」
「わかったわかったから!斜め四十五度で上目遣いをするな!」
「どこで覚えたの?」
「花崎さんに教えてもらいました!」
「ミオの分からない人がでてきた…」
**
「プレゼント交換会ー!!」
「い…いぇーい?」
「今から音楽を流すので止まった時に手元にあるのがプレゼントです!」
「よーいスタート!」
ルカの掛け声と共に音楽が流れる。クリスマスの王道──誰しもが知っているあの音楽だ。
去年まではミオと2人で過ごしていたから今年は賑やかでいいな。ミオの笑顔も見れるし良かった。
「ストップ!お兄ちゃんから開けてみてください!」
「これは…マフラーか?誰からだ?」
「ミオからだよ。ルカちゃんじゃなくて残念だったね」
「一生使わせてもらう!ありがとな!」
「やっぱりシスコンね…」
「続いてはお姉ちゃん!」
「これ回してる時から思ってたんだけど重いのよね。って…ダンベル!?」
「それは俺からだ!是非筋トレに使ってくれ!」
「確かに最近体重が……って言ってましたもんね!」
「ルカ!余計なこと言わないでよ!」
「次はミオだね。わぁ…!可愛いハンカチだ」
「それは私からです!この前見つけてからずっと狙っていたんですよ!」
「ルカちゃんありがとね」
「最後は私です!お姉ちゃんは何を入れたんでしょうね!」
「これ、パジャマですか?」
「誰に渡ってもいいように大きい着ぐるみタイプを買ったわ。その…冬馬だったら笑ってたかも」
「どういう意味だ!俺がピ○チュウだったら変ってか!?」
「お兄ちゃんにはカイリキーのパジャマを買ってあげますね!」
「変態にしか見えないし家での立場が危うくなるからやめてくれ!」
4本腕のパンイチとか本当ポケモンじゃなかったら変態扱いされるよな。
ちなみにあれはパンツじゃなくて模様らしいぞ!豆知識な!
その後も4人はUNOやトランプをして遅くまでクリスマス会を楽しんだ。
時刻は23時半を廻り24日を終わろうとしていた。
「ルカ、帰るわよ…って寝てるわね」
「ミオもだな。二人とも疲れたんだろ。このままミオの部屋まで運ぼうか?」
「泊まらせるのは悪いし起きるまで待つわ。少し話しましょ?」
「そうだな。コーヒー入れてくるから俺の部屋にでも行っててくれ」
「お言葉に甘えさせてもらうわ」
冬馬の部屋かー。何年ぶりかしらね。
風花は冬馬の部屋に入るとベランダに出て夜風に当たる。
「流石に寒いわね。一気に目が冴えちゃったわ」
「ベランダなんか出てどうしたんだ?寒いだろ」
風花は冬馬からコーヒーを手渡されると手の中でカップ越しに温かさが沁みてくる。
「ねえ冬馬。もしも…もしも私が冬馬を振ってなかったら…」
「あなたは私を好きでいてくれた?」
「藪からにどうした。そうだな…きっとそうだったと思うぞ。ルカは風花の妹って認識から変わらなかっただろうしな」
「そう。私ね、少しだけ後悔してるのよ?」
「俺がいい男だからか?皆まで言うなよ…分かりきってるさ」
「それはないから安心して」
「ひでぇ……せめて少しは肯定して欲しかったな」
「私の事を一番分かってくれるのは冬馬…あなたでしょ?」
「逆もしかり、俺たち幼馴染だからな。ある程度の事は分かるな」
「たまに考えるのよ。違う世界線があったらどうなんだろうって」
「その気持ちは分かるぞ。ロードができれば後悔のない選択ができるのにって思うしな!」
「人生一回きりなんて難しすぎるものね」
もしも人生がロードできたら……私は間違いなく冬馬──あなたを選ぶわ。
この先、私が欲張りになっちゃったらこの関係はもう続かないでしょうね。友達以上恋人未満…私たちの関係を表すならこの言葉に尽きるわ。
二人きりの今は少しだけ甘えてもいいかしら。クリスマスなんだしいいわよね。
「お…おい!どうした?」
「少し寒いの!私がくっついてたら嫌かしら?」
「そんな事はない!ただビックリしてな」
「しばらくこのままでもいい?」
冬馬は私から顔を背けるとコクリと頷いてくれた。
強がっちゃって、耳が真っ赤だからバラバラなのにね。
って私も顔熱いんだけどね。
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