───秘密。お兄ちゃんは許せない…


「冬馬いい加減起きたら?」

「昼か…いつもルカに起こされるから気がつかなかったわ」

「ふんっ…相変わらずバカップルね。たまには教室まで呼びにいったら?」

「確かにな。ちょっと行ってくるわ!」

 昼休みに入って10分が過ぎていた。朝はルカと登校したし来ていることに間違いはないんだが…。

友達と昼飯食べてるんだろうな。少し嫌な予感がするな……外れていてくれ。


「このクラスに水瀬ルカっていると思うんだけど合ってるか?」

「水瀬さん……今は近づかない方がいいですよ」

「は…どういう…」

 女子生徒の後ろから教室を覗き込むとルカの席の周りに女子生徒が囲うようにして立っていた。

ルカは下に俯き、俺たちといる元気な表情は嘘だったかのように暗い顔をしている。

「胸糞悪いな…ごめん。ありがとう」

「あんたいい加減自白したらどうなの?私は先輩に色目を使うアバズレですって!」

「わ…私そんなことしてません!」

「水瀬…あんたねぇ!」

「ルカに何してるんだお前ら…」

 俺自身でも驚いた。状況から察するにいじめの現場で間違いはないだろう。

天真爛漫で迷惑こそかけるが人を貶す真似はルカに限って絶対にありえない。

咄嗟に出た冬馬の声は低く冷たいものだった。


「お兄ちゃん…!」

「ルカ行くぞ。お腹すいた」

「あ…待ってくださいよ!」

 強引にルカをその場から連れ去り空き教室で弁当を食べる。

「あれは何だったんだ?」

「私嫌われてるんですよね。どうやら彼女たちの間に触るようでして…」

「でもお兄ちゃんがいれば大丈夫ですからっ…!」

「ルカ、今は強がらなくていいんだ。コトの顛末を聞かせてくれないか?」

「力になりたい」


「分かりました。6月の頭くらいですかね?」

「私、名前も分からない先輩に告白されたんです!勿論、お断りしました」

「その先輩の事を彼女──花崎さんが好きだったようで…流れるままにって感じです」

 全く気づくことができなかった。友達はいいのかなんて残酷な質問していた自分を心底恨んだ。

俺達と笑い合ってる裏でルカはずっと耐えていたんだな。助けを求めずに……。

きっと俺が今日行かなければこの先も気づかずに過ごしていただろう。


「ルカ…悪い」

「お兄ちゃん!謝らないでください!お兄ちゃんは何も…」

「近くにいながらも気づけなかった。ルカに辛い思いさせてたんだって思うとな」

「花崎たちの嫉妬やら個人的な感情でルカを傷つけて良い理由にはならない。ルカ、俺に任せてくれないか?」

「私は平気です!誰にも傷ついて欲しくありません!」

「良い子すぎるんだよ。少しは自分を大切にしてもバチは当たらないぜ?」

「例え嫉妬でも…花崎さん達に痛い思いはして欲しくありません!」

「大丈夫だ。復讐をするんじゃない…悪魔でも自分のした事を見直してもらうだけだ」

「ルカはどうしたいんだ?」


「私は仲直りしたいです!一緒にお喋りもしたいです!」

「ルカらしい回答だな。任せとけ」

 俺一人で改心させるなんて不可能だろう。一人ならば……な?俺には最強の魔王系幼馴染がいるんだ。



**



「そういうことで協力してくれ…風花!」

「私の可愛いルカにそんな事をしてくれるなんていい度胸じゃない!」

「よし!兄と姉によるいじめ対策本部設立だ!」

「あんたはお兄ちゃんじゃないでしょ?」

「ルカからお兄ちゃんって言われてるもん!」

「具体的にどうするのよ?言っとくけど女子の嫉妬は怖いわよ」

「プランなら考えてある!まずは───」


「へぇ…面白いじゃない」

「悪魔でも反省を促すためのものだからな?暴走するなよお姉ちゃん!」

「保証はできないけど任せて」

「ルカの被害を最小限にするために昼になったら俺は速攻でルカの所へ行く」

「私は情報収集に徹するわ。冬馬が尾行してたらただのストーカーかロリコンだもの」

「ロリコンは言い過ぎじゃない?ルカと付き合ったらどうするの?」

「ロリコン童貞に名前を変えなさい」

「年上と付き合ったら?」

「鼻で笑ってやるわよ!」


「ゲートオープン?」

「開放!って言わせるんじゃないわよ!」

 バトスピはしてません。

俺は「ショットガンシャッフルはカードを傷めるぜ」の方が好きです。

カッコよくて真似してたら切り札のカードに折り目付いたのは嫌な思い出。


「もう入っていいですか?」

「いいぞ!ルカ明日から俺が教室まで迎えに行くからな」

「あの365日寝てそうなお兄ちゃんがですか!?」

「人のことナマケモノの王だと思ってる?2ターンに1回は行動しますよ?」

「私は1ターンに3回行動です!」

「魔王越え!?この現状をどう思いますか?大魔王様」

「誰が魔王よ!あんたなんて1ターンで充分よ!」

 魔王様から痛烈な一言いただきました!俺RPGとか冒険が楽し過ぎてドンドン進んでどこかで躓くタイプなんだよね。

6のムドー…お前だけは絶対にゆるさねぇ


「はい!私は武道家がいいです!」

「俺は戦士だな」

「私は……」

「魔王フルスイング様」

「ごめんって!謝るからその手を下げて!虎雷砲の構えをとらないで!」

「おぉ…!見事な紅葉です!私にもできますかね?」

「あなたにもできるわよ。だって私の妹だもの。さぁ冬馬で練習したらいいわ!」

「連打はやめろ!やめるんだ…話せばわかる。俺たち幼馴染だろ?」

「台詞が悪役に寝返って命乞いをする奴よ?」

「的確すぎ!じゃなくてルカちゃん!今度パフェ奢るから!」

「パフェ!?やめます!私フルーツパフェがいいです!」

「私はチョコでお願いするわ」



 魔王様と妹はパフェが好きらしいってラノベ書こうかな。

モデルが風花だってバレたら世界より先に俺が滅ぼされそうだけど

 



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