───成長。貧乳は卒業です……!
風花との一件から時は経ち季節は一気に夏になった。
ジリジリと肌を焼く暑さが俺の精神力を容赦なく削ってくる。
──が、今は水瀬家にお邪魔しているのでクーラーの効いた涼しい部屋の中で過ごしている。
「藪から棒に俺を呼び出して…一体何の用事なんだ?」
「突然ですが問題です!私とお姉ちゃん違うところはどこでしょうか!」
「性格」
「全然違います!もっと私をよく見てください!」
「えぇ……」
実を言うと答えは何となく分かっているが口に出し難い。
正解しても外しても文句を言われそうだからだ。
俺をまだ犯罪者にしないでくれ。
俺は数分間考える素振りをすると白旗をあげる。
「分からない、降参だ」
「正解は…おっぱいです!」
「お姉ちゃんは見ての通りボインボインの悩殺ボディです!」
「それに比べて私は中学一年生からブラのサイズが変わりません!」
ルカは自分の胸に手を当てて虚しそうな表情を浮かべる。
「俺にどうしろって?悪いけど0に何を掛けても0なのは小学生でも知ってるぞ」
「諦めろってことですか!?そんな残酷な世界嫌です!テーゼです!」
「良いだろ、ATフィールド常時展開だぞ?」
「壁じゃありません!証拠として触りますか?」
否…ここで触れば風花からロンギヌスの槍が飛んでくるに決まっている。
俺は死んでも変わりはいないのでね…。
ルカは「さぁ!さぁ!」と鼻息を荒くして俺に迫ってくる。
ここで触れてしまった事が風花にバレでもしたら出禁どころか一生ゴミ屑扱いされるに決まっている。
落ち着け…冬馬17歳童貞。
お前ならできるはずだ…頑張れもう1人の僕。
「絶対に触らない!」
「ハッキリ拒絶されると私の魅力が無いみたいじゃないですか…!ちょっと傷付きます」
「充分魅力はあるぞ!その笑顔とか、料理上手とか、小動物みたいなところとか!」
「えへへ〜お兄ちゃんが私を褒めてます!録音したいのでもう一度!」
「断じて断る!」
「ではお兄ちゃんに聞きます」
ルカはいつになく真剣な顔で俺の顔をジッと見つめてくる。
「好きな人におっぱいは揉まれると大きくなるって知ってますか?」
耳打ち程度の小さな声でボソボソっと俺に言ってくる。
部屋に2人きりなんだから気遣う必要ないのにな。
「ルカちゃん?それは迷信だよ」
「本当だからこの言葉ができたんです!私は乳神様を信じます!」
「待て待て!早まるな!整形して豊胸すれば良いじゃないか」
「嫌です!私は天然のたわわが欲しいのです!ビバ巨乳!」
確かに俺が言ったのは虚乳だな。
あ…今の上手くない?巨乳と虚乳を掛けたんだぜ。
「私はこの前知ってしまったのです…お姉ちゃんとお風呂に入っている時でした…」
「2人で入ってるのな…百合百合しい」
「手に吸い付くようなあの柔らかさ…押すと跳ね返ってくる弾力…同じ遺伝子なのに不公平です!」
思い出してみれば風花も中学生の時は小さかったよな。
高校生になってからどんどん大きくなって…ルカにも可能性は充分あるんじゃないか?
「風花に聞くのが1番早いんじゃないのか?」
「確かに!盲目でした!」
**
「これより第一回ルカちゃん巨乳会議を始めたいと思います!」
「何で私が呼び出されたの?」
「それより俺がここにいることの方が不思議で仕方ないだろ?」
「お姉ちゃんはどうやったらおっぱいが大きくなったのですか!」
「えぇ…特に何もしてないわよ」
「嘘です!お兄ちゃんに揉んでもらったんじゃないんですか?」
「何で私がこいつに揉ませなきゃいけないのよ!」
「いてぇっ…!!」
理不尽にも俺の頬にビンタが飛んできた。流石フルスイングマシン…容赦ないな──てか俺今の関係なくね?被害者じゃね?
「揉めば大きくなるって言うのは聞いた事があるわね」
「お姉ちゃん!お願いします!」
ルカは薄い胸を風花の前に突き出し早く触れろと言わんばかりの積極性をだす。
「本当にやるのか?風花」
「この子一度言ったら聞かないから…仕方ないわ」
風花はルカの後ろに周り膝の上にルカを乗せる。
脇の下から胸に手を伸ばし虚無顔で胸を揉んでいく。
「ん…ぁっ…!」
んん!?なんですか今の甘い声は!
ルカなのか?ルカなのか!?
「どう?実際に触られてる感じは」
「お姉…ちゃんっ…!フワフワします…っ…」
「そう」
風花は辞める素振りを見せずにての動きを更に加速させていく。
ルカから漏れる恍惚な声は更に大きくなり…俺は生殺し状態になっていた。
「これっ…以上は…ダメっ…!」
ルカの身体がビクビクと小刻みに震え身体を捩らせる。
ルカの様子が落ち着くと風花はその場を離れ俺の隣に座る。
「今のって……」
「言ったら殺すわよ?わからせないとあの子は止まらないし」
「これで…私も…巨乳です…!えへへ…」
「それはそうとお姉ちゃん…なんだか股の間がムズムズしてきて…」
「冬馬!自制心があるうちに帰りなさい!」
「わ…分かってるよ!じゃあな2人とも!」
見てはいけないものを見た感覚だな。
生殺しされたせいで悶々とする…これはひさしぶりに……。
男子諸君皆まで言うな…気持ちは一つだ。
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