第6話
翌日の月曜日。どんよりと曇る空が広がる。
登校すると、彼女はまだ来ていないようだった。しばらくしてホームルームが始まっても彼女は姿を現さなかった。先生は、彼女は体調を崩したので休んでいると言っていた。
翌日も、翌々日も、彼女は学校を休んだ。
帰宅し、ご飯が喉を通らず部屋へ戻る僕に両親は心配そうに声をかけてくれたが何を言われたかよく覚えていない。考えがまとまらず思考がぼやける。
僕は携帯を握りしめ家を出た。
玄関ドアを開けると蒸した熱気が家の中へ一気に吹き込む。不快感に目を細めて見上げると、下弦の月が僕を見下ろしていた。
近くの公園に向かう途中で甘い缶コーヒーを買った。公園のベンチに座り缶コーヒーを飲むと、少しだけ気持ちが落ち着いた。
携帯のディスプレイには、彼女の名前が表示されている。あとは発信ボタンをタップするだけだ。それだけなのに、それが、とても怖かった。
コール音が鳴り始め、繰り返す度に緊張が高まる。もうすぐ留守電に切り替わるのではないかと頭を過った瞬間、少しだけ安堵している自分に気づき、自己嫌悪が体に広がる。
そしてその瞬間は訪れる。
「もしもし……」
酷く懐かしく感じる声を聞いた。
その声は、元気がなくて、悲しそうで、僕の心を締め付けた。
僕は、彼女のこんな声を聞きたい訳じゃなかった――。
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