第4話 のんびり生活1日目 全員の身体能力

 俺はツイストと身体能力の測定をしに行く事で尚更魔王討伐には向いていない事が分かった。また、家に帰ってから女神に気になる事を聞いた。この世界の言語はどうなっているのかと。


「あぁ、それね。所謂主人公補正ってやつよ。貴方には見慣れた言語に見えるけど、こちらの世界にとっては何時もの使い慣れた言語。だから貴方がオーケーやイェス! って言うだけでも本来は伝わらない言語でも相手に伝わる様になっているのよ。だから、別に気にしなくても良いわよ」


「なるほどな!」


 どうやらそう言う事らしい。という訳で、俺はこの後、ツイストに能力値を家の全員に暴露されてめっちゃ笑われた。

 ツイストめ、分かったぞ。お前が性格悪いと言われる理由が……共有とか言いながら暴露しやがって許さねぇからな。


「じゃあ、共有だよ共有。みんな、俺に見せろ。俺と同等が居たら盛大に笑ってやる」


 俺だって仕返してやると言って、どうせ俺の予想だとルアナ辺りが同じな筈だ。あそこまで天然だと笑ってやるのも気が引けるが、容赦はしねぇからな。


 そういうと全員、それぞれ広い机の上に身体能力測定結果のカードをバラバラに置いていく。俺はそれをまじまじと見つめて確認する。


Name:Arkusアルクス

Age:21

Total Rank:B


Strength筋力:B

Durability耐久力:C

Reagent反応力:C

Magic魔力:G

Quality素質:E


 ほうほう。まぁ、妥当だな。力仕事してたらこんなもんか。素質がEランクでこの身体能力か……。一体いつからやってんだ?


 ──────────────────


Name:Temidテミッド

Age:20

Total Rank:A


Strength筋力:F

Durability耐久力:F

Reagent反応力:A

Magic魔力:B

Quality素質:D


 流石。筋力と耐久力は低いが、読者好きって言ってたからな。それで反応力Aランクって、どんだけ本読んでる間に警戒してんだ……? コイツ、真面目な雰囲気漂わせながら意外と神経質なのか?


 ──────────────────


Name:Rafineラフィネ

Age:28

Total Rank:C


Strength筋力:D

Durability耐久力:C

Reagent反応力:E

Magic魔力:E

Quality素質:C


 すっげぇ普通。筋力と耐久力は体格の影響か? 結構高身長だからなぁ……。反応力Eランクって、マジで周囲の事興味無いのな。


 ──────────────────


Name:Luanaルアナ

Age:22

Total Rank:S


Strength筋力:G

Durability耐久力:G

Reagent反応力:B

Magic魔力:S

Quality素質:B


 は……? 魔力だけSランクって何だよそれ。天然でもやっぱりお嬢様かよぉ! てめぇは! 予想大外れじゃないか! もう駄目だ。俺ってどんだけ弱いんだ……。


 ──────────────────


Name:Farisフェアリス

Age:24(Forgery)

Total Rank:S


Strength筋力:S

Durability耐久力:A

Reagent反応力:S

Magic魔力:A

Quality素質:A


 いや、優秀すぎぃ! 長年メイドやってたらきっと色んな人と関わるからなぁ……。メイドなのに筋力Aですかい。怒らせたらヤバそう。ってか年齢に偽造って書かれてるのどう言う意味なんだ? 年齢を偽っている?


 ──────────────────


「んな……馬鹿な……何故俺だけ、俺だけこんな能力なんだよおおおおおぉ!!」


 俺は膝をつき絶望する。アルクスはゲラゲラと笑い、テミッドは苦笑い、ラフィネは何故ニヤついていて、ルアナは恐らく俺の事は眼中に無いだろう。なんかすげぇ、にこやかな顔してるけど何考えてんだ?


 所で俺は皆んなの身体能力を見て、一人だけ気になった点を質問する。フェアリスの事だ。女性に年齢を聞くなんざご法度だが、何故偽造するのかめっちゃ気になる。


「まぁ、良い。時にフェアリス。お前のこの年齢は何なんだ? なんで隠す必要が?」


 それを聴くとフェアリスは珍しく口籠る。ほとんど普段から無表情を貫いているので分かりにくいが、年齢に関しては視線を何故か横に逸らす。


「いえ、それに関しては……、私が仕えることに変に思われない様にと思いまして、実際は一〇〇を超えているなんて知ったら……」


 一〇〇!? この見た目でそんなに歳いってんの? いや待て、そもそも人間という種族では無いかも知れん。って事はもしかして……?


「もしかして、エルフってやつ?」


 まさかと思い俺が聞いた質問に対し、フェアリスは予想外な答えなのかキョトンとした表情で俺を見つめる。あれ?


「いいえ。私はエルフではなく、ハイエルフです。エルフより更に長寿で、遺伝子により更に強力になったものがハイエルフです」


 あぁ、そっち! でもエルフじゃあん!? 間違っても無くない?


「って事は本当の年齢は?」


「二十四は下桁として使っていたので、実際は千二二十四歳です……」


 千超え!! なるほどね。あくまで隠す理由は、ババアだと思われたくないからか。て事は若く見られたいって事? ふむ、フェアリスも無表情だけと可愛いところあるんだな……。

 っていいつつも、外見は全くババアでは無いからこれについては黙っておこう。


「大丈夫! 俺は気にしないから! 年齢より見た目重視でしょ!」


 女性は顔か、見た目か、中身かって良く言うけど、その三つから今見た目選んだ訳じゃないからね!? そんな事考えていると、さっからずっと俺の事をにやけ顔でみるラフィネは、表情を更に歪める。


「そっかぁ、勇者様ってそうだったんだぁ」


「え……。いや、年齢気にしてるフェアリスに年齢は関係ないって言っただけだから」


「いや良いよw正直な事はいい事だから」


 えぇ……? 絶対俺今、変態だと思われた? ラフィネめぇ。貴様、なんか脱力してんなぁって思ってたけど、歳上の特権ってやつか? おい。俺がまだ二〇行ってないだけで舐めやがって。


 そんな他愛も無い話をしていると、アルクスは突然声を上げて、時間だと言って外へ走っていく。


「っしゃあ! バイトの時間だぜえぇ!」


「お、いってらー。皆んなはこれから予定ないの?」


 そこでツイストは人間観察として外の息を吸ってくると言い、テミッドはお爺さんのお世話は、朝から昼前までだから今は自由時間だと。ラフィネは自室に篭ってると言い、ルアナも自室に居ると言う。


「私は此処に住み込みになったからねぇ、お父さんに怒られる日々から解放だぁ〜」


「私もどうせ帰る場所無いし、ずっと此処にいようかな。勇者様ならいつでも部屋に来て良いよ」


 なにを言っているんだろう? まさか、俺が夜這いするとでも思ってんの? あくまでも潔白を主張するけど、ラフィネのスタイルの良さに下心がある事は認めよう。ただ実行する勇気は塵一つもない。


 全く。本当にみんな個性が濃すぎる。まぁ、まだ一日目だしなぁ。慣れりゃあ良いんだけど。


 さてじゃあ俺も夜まで寝ようかねぇ。まぁ、夜何しようかも考えてねぇけど……。


「フェアリス。夜まで俺寝てるから、大体七時くらいになったら起こしてくれ」


「七時ですか……? 昼に寝て夜に起きて、夜はそれでまた眠れるのでしょうか?」


「自慢じゃあないが、俺はこの世界に飛ばされる前から丸一日寝た事だってあるからね。そん時は休みの日丸ごと使ったから、滅茶苦茶後悔したけど」


「畏まりました。夜七時に起こさせていただきます」


 いやぁ、こんな可愛いメイドに起こされるって現実世界じゃあり得ない展開だよなぁ。……。俺異世界生活満喫してるなぁ……。


 そうして俺は何の為の大きさなのか、ダブルベッドの中央辺りで、めっちゃデカい布団を被って眠りに入った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る