第2話 超のんびり異世界生活
俺は国王に家と布団と友達とメイドを要求したら、豪邸とダブルベッドと近辺の若者とメイドを手配してくれた。最高かよ。
若者って言うのは、全員初対面だけど、どうやら「勇者と友達になりたい人〜」って国王が募集してくれたらしい。そうしたらまぁ、男女比率がめっちゃ丁度良い人達が集まってくれた。年齢は見た目からしては十八〜二〇代前半。一部、二〇代後半が混ざってる感じかな。そういえば俺は十八歳ね。
そしてメイドも多数。豪邸を管理してくれる人や掃除係り、俺の身辺サポートに、まさかのシェフまで来ちまった。多分アレだ。友達のせいだ。大勢=豪邸にみんなで住むとか解釈したんだろうな王様は。
そうして、俺の身辺サポートであるメイドは早速名乗ってくれた。
「私の名前はフェアリス・アドレッドと申します。勇者様の身の回りをサポートさせて頂く、専属メイドでございます」
さっすがめっちゃ可愛い。ストレートに綺麗に整えられた茶髪に色白の肌と整った童顔。スタイルは極普通で別に狙ったような不自然さも無く、正に清楚を象った様な雰囲気で、すぐに仲良くなれそう。
あぁ、良かった。王様がむっつりじゃなくて。正に自然体を選んでくれて安心したよ。もしこれが艶かしい雰囲気を漂わせるやべぇ女だったり、『勇者様ぁ〜』とか言って積極的過ぎるロリだったらきっとどれだけ最悪な生活だったのだろう。
よくこう言う生活に限ってハーレムと求める人居るけど、何が良いんだろう。ただ単に邪魔くね?
そりゃあ、可愛い女の子に囲まれてウキウキするのは分からなくも無いけど、それじゃあいつか精神がやられる。幸福因子の多量摂取によって、キャパシティオーバーすると、最早人格が変わってしまうと恐れられているからな。俺はいつでも気怠く生きたいんだ。変態野郎になんかになる気は無い。
さてと、早速何しようかな? 魔王討伐は絶対に無理だとして、まだ時間は真昼間だし寝るのは早すぎる。まぁ、どんなに早くてもぐっすり眠れるのは俺の体質だけどね。とりあえず、来てくれた友達(初対面)の自己紹介でもしようかな?
俺は、無駄に広い豪邸のリビングに皆を集めて自己紹介しようと呼びかけた。やっぱり勇者だから? それとも初日だから? 直ぐに集まってくれた。全員で俺を含めずに、五名。これから楽しくわいわいする人数として最適だと思う。みんな個性豊かで性格もそれぞれ。これはきっと飽きなさそうだ。横に一列に並んでもらって一人一人自己紹介始める。
「じゃあ、最初は俺だな! 俺はアルクス。二十一歳! 街の一角にある雑貨屋でバイトしてるぜ。趣味は……これが趣味ってどうなのか分からないけど、力仕事だ!」
とても元気が良く、趣味が力仕事って正に仕事を趣味にしてるすげぇ奴じゃねぇか。すぐに仲良くなれそうだ。髪色は赤髪、キリッとした目に自信に満ち溢れた赤い瞳。イメージぴったりだ。
「次は僕ですね。僕の名前はテミッド。今年二〇歳になったばかりです。特にこれと言った仕事もしていませんが、強いて言えば、家でお爺ちゃんの世話……ですかね。
だから必ず毎日勇者様と一緒に居る訳じゃあ無いんですが、なにかお役に立てる事があればいつでも言って下さい。ちなみに趣味は読書です」
超真面目君来たよコレ。いや、優しい系の真面目君かな? 茶髪で髪も染めてないし、丸メガネで読書が趣味というテンプレイケメン。しかも常に笑顔ときた。こんな人も仲良くなれたらもっと楽しいだろうなぁ。あぁ、テミッド君の眩しくも優しい笑顔が脳裏に浮かぶねぇ。多分瞳も茶色。
「じゃあ、次は私ね。私はラフィネ。二十八歳。この中では最年長じゃない? 別に、勇者ってどんな人なのかなーって気になって友達応募を見たんだけど……なんだか拍子抜けだね。
魔王討伐はどうでもいいとか言ってるし、私たちの国いつか魔族に潰されるのかなって、さっきまで不安だったけど、こんな勇者見てたら私までどうでも良くなってきちゃった。まぁ、よろしくね勇者様っ」
おぉ、すげぇ脱力系女子来た。俺と同類じゃん。綺麗に整えられた金髪でポニーテール。見た目は切れ長の目と栗色の瞳。服は無地の白Tシャツ一枚とジーパン。基本は裸足か。しかも高身長でスラリとしたスタイル。
イメージとしては、隣のかっこやさしいお姉さんみたいな感じかな。分かりやすく言えばショタ好きのお姉さん。これは完全に偏見である。人付き合いも近すぎず離れすぎずって感じで絶対いい友達になれそうだ。
「じゃあ次は僕かな? 僕の名前はツイスト。二十二歳。そこまで有名って程でも無いけど、小規模の貴族育ちさ。だから自分で言うのも難だけど、庶民に対する理解はそこそこあるつもりさ。貴族だからって忌み嫌ったり、遠慮しないで欲しい。と言っても性格に少し難有とも良く言われるがね。何のことか知らないけど。趣味は、そうだなぁ……とりあえず人間観察ってところかな?」
ツイスト君かぁ。貴族育ちだってことは分かったけど、俺たちに気を遣ってる感じも良く分かる。
しかし、自己紹介の時点でここに居る全員を示しているか知らんけど、「庶民」だと思ってる所が貴族感が抜けないなぁ……。それも、趣味は人間観察と来た。周りから性格が悪いと言われても本人は自覚なしっと。
そして見た目は、漆のように真っ黒な髪と、切長の目に黒い虚な瞳。ただし言動や性格は見た目に反する感じかな。
「最後は私だねぇ。名前はルアナだよぉ~。えへへ。歳は十九歳! 私もツイ君と同じ貴族でお嬢様? 育ちなんだけど、お父さんに良く『お前は、次期皇女なんだぞ!』って立場を考えろ~とか言われて居たんだけど、立場とか良く分かんないしどうでも良くないかな? 私は私なんだしっ。
だからまた怒られるのも嫌だし今回の勇者友達応募はお父さんの内緒で来ちゃった。えへへ」
えええぇ……? 次期皇女とか。さらっととんでもないこと言ってるけど、一番内緒に来ちゃいけない案件だよね?? あぁ、いまさらお父さん娘のこと探してるだろうなぁ。 俺、見つかったら誘拐犯扱いにならなければ良いけど……。
えっと見た目は、金髪のロングストレートで、まん丸でぱっちりとした目で金色の瞳、そして身分を隠しているつもりなのだろうが、村娘のような素朴な服装。
「ってことは最後は家主である俺だな。俺の名前は、寝巻裕也。十八歳。ここでは何という事か最年少だ。俺は勇者だが勇者では無い。だって魔王とか倒す気無いもん。そこは、俺の護衛にでも任せようかなって思ってる。護衛には流石に無理とは思うが、誰だって鍛えれば強くなれるだろ?
それは勇者である俺も同じだが、戦闘経験の無い奴が一から魔王を倒すために訓練とか馬鹿らしく無いか? だからあえて俺は、戦闘経験のある護衛に頼むことにした。以上だ。因みに趣味は、日向ぼっこや、寝ること。単純だろ?」
こうして俺は、個性の濃いメンバーに囲まれながら、この五人をこれからの友達枠として自己紹介を終え、共に過ごすことになった。さぁ、勇者なんか諦めて、異世界生活が楽しみだ! 全力で遊んでやるぜ!
「っおいいいいい!? 女神である私を置いて終わらせようとしてんじゃねええぇぇぇ!!」
あ、忘れてた。女神のアスタル。以上。
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