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「口の利き方に気を付けた方が利口だせ? 王子様」


 肩越しに見た男はいやらしい笑みを浮かべながら再度、鞭を振るう。ヒュンッ、パシッ、パシッ。ヒュッ……バシッ。風を切る音が聞こえる度に歯を食いしばり、不規則に弾ける音を耳にしながら全身に力を入れて背面――肩甲骨近辺を重点的に狙う――衝撃に耐え忍ぶ。


「いい声を聞かせろよ」

「くっ……誰が、お前なんかに――」


 胴の側面を狙われ、言葉を詰まらせた。


「生意気な王子だ。身体によぉおおく教え込まないとな!」


 激しくなっていく行為にやがて着衣が破れ、素肌が冷えた空気に触れる。踊り狂った鞭が、パシンッ。バシンッ。不規則に小気味よい音を立てながらランダムに素肌を打つ度に青紫の牡丹が咲き乱れ、やがて皮膚が弾け、肉が割れ、あたたかな蜜を垂れ流す。


「王子は強情だなぁ?」

「……っ――」


 痛みに震えはじめる足腰。傷口から流れる血液がぐっしょりと身体を濡らしていく。


「休憩だ」


 男はそう言って、腕を下ろす。キールドは肩越しに其の背が離れていくのを見て一息吐いた。不意にブンッ! と重たい音が空を切った数秒後、バシンッ! と重たい一撃が腰を一文字に広い範囲襲う。


「っ――」


 ブルブルと震える膝が、ガクッと折れ、ハァ、ハァ。と息を荒げた。じわじわと股間から広がるぬくもりは素足を伝い落ち、あっという間に水溜まりを作りだす。


「ガハハハッ! いい歳こいてお漏らしかぁ? 王子様!」

「…………」

「おーおー、臭せぇ、臭せぇ。小便臭せぇ! こりゃあ、綺麗に流さねぇといけねえよなぁ? いけねぇなぁ?」


 コツ、コツ。と重そうな足音を立てながら牢内を歩き、十数秒後に真後ろまで戻ってきた。キュポンと音を立てて何かの栓が抜かれ――。


「……っ!」


 トプトプトプトプ頭上から注がれた冷えた液体が頭皮を、髪先を、額を、頬を、首を、濡らしながら落ちていく。鼻孔に届く香りからアルコール類である事を悟るも成す術もなく皮膚を撫でる液体が傷に触れ、ピリッと痛みが走り一斉にジンジンと疼きだす。カーッと焼けるように患部が熱をもつのを実感した。


「なぁ? 王子。殺す以外、何をしてもイイってお達しだ。精々楽しもうや」


 独特なニオイを纏った息が耳元で言われながら鞭で裂けたカ所からビリビリとズボンが破かれていく音が聞こえる。チロチロと舌先が耳珠を撫でながらグッと腰を掴まれピタッと股間を押し付けられた。反射的に顔が引き攣ってしまうほどに硬いモノがグリグリと尻の割れ目に押し当てられ……――。


「ひぃっ――」


 頭の中が白くなる。


「いだっ、痛いっ、やめっ――」


 無理矢理後孔にモノを詰め込まれ、ズボスボ、スボスボと穿たれる度に腹のナカでユサユサと腸が揺れ動き、孔の入り口が擦れ、切れて、不快な痛みを与えると共に排便感を生み出していく。


「とっとと勃たせろよ!」


 伸ばされた片手で萎え縮んだモノを乱雑に扱かれたところで摩擦による痛みが生じるだけで、突然の行為によって混乱している思考が快楽を得る事はなく。


「くそっ。メスだったら勝手に濡れて楽なのによぉ!」


 男がねっとりと自分の片掌を撫で、唾液を吐き出し再度刺激を与えてみるも、直ぐに乾いてしまい不快な痛みと熱を生むだけだ。


「おら喘げよ! メス豚のように腰を振れ!」

「っ――」


 ヌチョ。クチャ。鞭により生まれた傷を指先が抉り、息が詰まる。


「おっ。いい締まりじゃねぇか」

「くそっ……殺してやるっ、絶対にお前を殺して――」


 グッと金の髪を引っ張られてガクッと首が仰け反った。


「お前はバカか? 自分の立場ってもんを弁えねぇとダメだろうが」


 ペッと吐き出された悪臭を放つ唾が整った顔を汚す。


「だらしねぇなぁ……。王子。何だよ其の顔は。捨てられた子犬みてぇでもぉっとイジメたくなってくるだろ?」


 男がグッと腰を打ち付けると、直腸に侵入しているモノがズズッと内壁を引き摺りながら前進する。其の際にゴリッと先端が惜し撫でたカ所がジンと疼き、ムクッと男の手の中で起き上がる。


「はっ。何だよお前、童貞か! そんなんだと嫁さんに嫌われちまうぜ。セックスの切れ目が縁の切れ目って言うだろ? おらとっとと腰を振れよ! 男のマグロはメスに嫌われんぞ!」


 小刻みに腰を緩く動かされて執拗に同じ個所を穿たれる度に其処から芽生える甘い痺れ。苦しいほどの熱が背筋を駆けあがり、ムラムラ、ムラムラと疼き出す。


「ひぃっ、ぁっ、ァぁァッ――」


 自分でも吃驚するほどに色を含んだ声が漏れ出し、一度溢れた喘ぎは忙しなく口から零れ、ペチャ。ピチャ。と背中中の傷を舌先が抉り舐める刺激さえも快楽に呑み込まれていく感覚に恐怖が芽生えた。


「ぁ、ぁ、ァァッ――」


 すっかり膝から力が抜けて、男の支え無しでは自力で立っていることが不可能となる。やがて内側から引き出されるのではないかと錯覚するほどにユサユサと引き摺られながら揺れ動く腸がギュルギュルと全体的が動き出し暫くして耐えがたい排尿感に襲われ意図せずして、ドプッ、ドプッ。と白濁職の液体を外尿道口から吐き出した。男はキールドが意識を手放すまで傷口を抉る痛みと悦楽を同時に与え続け、数回に亘りナカに射精を繰り返す。

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