第45話 解決?


 「琴音先輩! 初音先輩! 助けて下さい!! 私…この人に襲われそうだったんです!!」


 あ? 何言ってんだお前?


 先程の歪んだ顔は何処へいったのか…今では、涙を浮かべ、さながら女優みたいな変わりように、怒りを通り越して呆れる。


 「は? 何を言ってるの? 私はアンタが安曇を誘惑する所から聞いていたんだけど?」


 「チッ! 入り口で止めておけと言ったのに、使えない!」


 演技が通じないと分かったのか…忌々しそうに唾を吐いた。


 「とりあえず、安曇はこっちに来なさい!! どうして頭から血が流れてるのよ!!」


 「いや、理性を保つ為にだな…『言い訳しない!!』はい…」


 どうしろと?


 「ねぇ、君ぃ〜ボイスレコーダーもってるよね?」


 初音がバックから、包帯と消毒液を取り出し…治療をしている所に、杠に耳元でそう言われ、勢いよく振り返ると…それはそれは悪い笑みを浮かべており、俺は少し考え無言で頷いた。


 それを見た杠は満足そうに頷き…金髪ギャルの方に歩いて行った。


 あの女に、任せていいのか? と…思わなくもないが、初音と電話をしている時に、杠の事を1番の信頼できる友達と言っていたからな。


 ここは8割信じてみていいと思う。


 …やっぱり、念の為にコピーしておくか。


 杠が万が一失敗した時の為にな…。


 初音に包帯で、頭をぐるぐる巻きにされている中…横目で2人の方を見てみると、杠を悔しそうに睨みつけている金髪ギャルの姿が見えた。


 「ーー!! ##〆※!!」


 金髪ギャルは、唾を吐く勢いで杠に食ってかかり…近くに置いてあった、ペットボトルを力一杯、床に投げ捨てドアに向かい歩いてきた。


 「ブ男…覚えてなさいよ。近い内に、絶対に豚小屋に入れてやるから!!」


 通り際に、そう言い放ち…勢いよく、扉から出て行った。


 あの様子からして、ボイスレコーダーの事言ってないのか…?


 てか、初音…? いつまで包帯を巻いているんだ? されるがままだった俺も俺だけど、こんなバウムクーヘンみたいになるまで、巻かなくてもいいだろ!


 「あははー! 凄く分厚く包帯が巻かれてるねー!」


 「なぁ…あの金髪ギャルに、ボイスレコーダーの事言わなかったのか?」


 「ん〜? 今それを言ったら、杏奈が何をしてくるのか分からないでしょ? だから、気づかれない内にサクッと…殺るよ?」


 怖…絶対、最後のやるよにの文字が入ってだろ。

 まぁ、でも大切な友人を傷つけようとしたんだ…キレるのも当たり前か。


 「それにしても…」


 「うお! って…イタタタタタタタタ!!」


 突然、近くづいた杠の顔に、同様するが…初音に横腹をつねられ、初音に文句を言おうと振り返るが、初音は頬を大きく膨らませていた。


 お前…どうした…?


 らしくない可愛らしい初音の行動に、思考が止まるが…それは直ぐに動き出した。


 「アハハハ! 優衣ったら、もう君にぃ〜メロメロじゃない! 本当は優衣を泣かせた罪で君を1発殴ろうと思ったけど…それは許してあげる。

 君が浮気をしない人間だって、分かった事だし…お姉さんはもう帰ろうかな? 後は2人で存分に話し合うといいよぉ?」


 …もしかして、俺が浮気をする人間かを見極める為に、わざと金髪ギャルを泳がせたのか…?


 いや、それは考えすぎか…。


 今はとりあえず…。


 「いい加減に頭を撫でるのはやめてくれ…」


 さっきから、俺の頭を撫で続けている初音と向かい合うと…彼女は突然、自分の頭を俺の胸に預けた。

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