第31話 デジャブ…?
「お疲れ様でした〜」
そう言って、冷たい風が吹く夜の街に姿を現した。
初音と付き合う(仮)になってから、1週間後…俺はアルバイト先である、レストランにアルバイトをしていた。
付き合ったからと言って、特に大きく変わった事はなく、軽く◯INEを交わす程度だ。
そして、アルバイト先では他の従業員には、しっかりと謝罪をし、今日はいつも以上に気合を入れて働いた結果…。
「あぁ〜疲れたぁぁ」
喉も渇いた…自動販売機で何か買おう。
「やめて下さい!!」
「……マジか」
もう…本当になんなの? 何で俺がいる時に限って、こんなイベントが起きるの?
ゲームじゃねぇんだからさ…。
上の人間よ…もう少し、治安を良くしろよ。
気分が重くなる中…こっそりと、路地裏を覗くと、ガタイがいい男3人が女性1人を逃げられないように、囲んでいるのが見えた。
さっきの感じからして、完全に黒なのは間違いないと…判断した俺は、直ぐに警察に電話した。
「ーはい。そうです。はい、はい」
よし…これで暫くしたら警察が来るはず。
正直な話…これ以上面倒ごとには関わりたくない。
とりあえず、警察が来るまでここで待ってーー「おい、ここで何してんだテメェ!」
あっ…。
「ちょっとこっち来いオラァ!!」
あ…あ…。
首の後ろを掴まれ、引きずられるように連れて行かれ…女性の前で投げられた。
「イッタ…」
思わず擦りむいた腕を擦っていると…男達は腹が立ったのか、俺の胸ぐらを掴み、持ち上げた。
うわぁお…力が強い。
これ…間違いなくボコられるパターンだよね?
「ここで何をしていたかって、聞いてんだよオラァアアア!!」
いや、お前がそれを言うの?
「いや、別になにも?」
ここで、警察に電話したとバレたら…男達が暴走をしかねないからな。言わない方がいいだろう。
「アアア!! テメェ嘘ついてるんじゃねぇだろうな!?」
「オイ、そんな陰キャ置いといて、さっさと行こうぜ?」
「そうだ。こっちは焦らされてもう限界なんだ。ソイツが邪魔するようなら殺しちまおうぜ」
コイツ等…完全に犯罪者じゃねぇか。
警察はまだ来ないのか?
焦る気持ちがだんだん、大きくなり…心臓の音が意識せずに、聞こえるようになってきた。
「なぁ…早くしろよ!」
「それもそうだなっと!!」
「ウグッ!!」
「キャッ!」
胸ぐらを掴んでいた男は空いている左手を使い…安曇の腹を勢いよく殴り、床に転がり女性の足元に転がった。
痛ぇ…息が出来ない…。
これ、絶対にみぞおちに入っただろ…。
だから、面倒ごとに関わりたくなかったんだ。
「大丈夫ですか!?」
薄らと、眼を開くと…心配そうに見下ろす女性の姿が眼に入った。
隙を突いて、逃げてほしかったけど…他に2人の男がいたからそれも無理か。
「よし、行くぞ」
「ヘッヘッヘ…今夜は長いぞ〜!!」
「車を後輩に持って来させるか」
「は、離して下さい!!」
男の1人が女性の腕を掴み…諦めかけたその時、サイレンが辺りに響き渡った。
「なっ! 何で警察が!!」
「オ、オイ! 次捕まったら、本当にヤバいぞ!?」
「俺は逃げるからな!!」
女性の腕を掴んでいた、男1人を残し…2人は視界から消えていった。
「まさか…テメェか!!」
「ガッ!!!!」
顔に衝撃を受け…だんだん、意識が遠のいていくのを感じた。
最後に眼に映ったのは、女性が小さく笑う所だった
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