第26話 優衣視点⑥


 「私の事…覚えてる?」


 「ぅん」


 そ、それはそうだよね! 何をいってるんだろう。私は!


 1回深呼吸をして、落ち着こう!


 スゥーハァ〜スゥーハァ〜


 よし…、覚悟は決めた。後は言葉にするだけ。


 「アンタは私…の事嫌いなの…?」


 眼を瞑り、恐る恐る尋ねると…少しの間が開き、それは返ってきた。


 「ぅぅん、好き」


 「え…?」


 待って…待って…待って!! 彼がおかしい!! 変になってる!!


 彼が幼児退行になってる!!??


 普段とのギャップが凄い!!


 でも! でもでもでも、彼が私を好きって言った!!


 それなら!!


 「じゃあ、付き合ってくれる?」


 「それはダメェ」


 どうゆうこと!? 


 「僕じゃ幸せにできない」


 「え…?」


 「僕には、誰かを養える程のお金がない。それに…顔だって良くないし、僕じゃ君と釣り合わない」


 「…」


 「それに…また、誰かを好きになって…期待して…努力して、付き合って、それでも向き合ってくれなくて…もう、あんな苦しみは嫌だよ…」


 彼から出た言葉で、思い出した。


 彼には、1度付き合っていた女性がいたという事を。


 きっと、今のが彼の心の奥に閉まっていた本音なのだろう。


 「君も…どうせ、時間が経てば離れていく…それなら、最初から付き合わない方がーー「勝手に私の気持ちを決めないで!!」」


 思わず、テーブルを強く叩き…周りが騒がしくなったのは知らない!


 「私がどれだけ、アンタに惹かれていると思ってるのよ!! 最初から何もかも諦めて、傷つく事を恐れて!! 私から逃げるんじゃないわよ!!」


 「知らない! その気持ちも、どうせ直ぐに違う人に心がいくんだ!! 僕に惹かれるなら、そこら辺にいる男を好きになる決まってる!!」


 「何ですってー!!」


 彼の言葉に腹が立った、私は思わず頬にビンタを食らわせた。


 「いい!? 私は子供の頃から可愛かったの!! そんな私が今まで付き合って人は誰一人としていないの!! 近づいてくる男は皆、下心がある奴ばかりなの!! でも、アンタは違ったでしょ!! アンタは下心何てなくて、自分から離れようとして…純粋に人を心配する、優しいアンタが好きなったのよ!!」


 「嘘だ!!」


 「嘘じゃないわよ!!」


 全く信じようとしない、彼に…2発目のビンタを食らわせてしまった。


 「嘘だ! 嘘だ嘘だ嘘だ!!」


 「じゃあ、どうすれば信じるのよ!!」


 「僕が言って、それをしても信じられない!!」


 「めんどくさいわね!!」


 本当に何なの!! これが彼の素なの!?


 もう、わけが分からない!!


 「はいは〜い、2人とも落ち着いてね」


 「安曇って、酔っぱらったら幼児退行になると、ククク…いいネタが手に入った」


 「琴音? どうかした? 今ちょっと忙しいんだけど」


 そう言うと、琴音と男の人が苦笑いを浮かべた。


 なによ。


 「優衣…少し騒ぎすぎだよ? 周りを見てごらん?」


 「周り?」


 琴音に言われるがまま、視線を周りに向けると…店員や他のお客さんまで、私達の方に眼が向いていた。


 大きな声を出しすぎた…。


 「じゃぁ、ちょっと移動しようか?」


 少し恥ずかしくなった、私は琴音の言葉に頷き…外に出た。


 どうやら、もう1人の男の人がお金を払ったみたい。


 「んじゃあ、自分は帰りますけど…くれぐれも安曇を犯罪者にしないでくださいよ?」


 「そんな事しないから、安心していいよー! 彼は優衣が面倒を見るからさ!!」


 「え…?」


 男の人は、担いでいた彼を、琴音の車の後ろの席に寝かせた。


 「よし! じゃあ彼を優衣と一緒に下ろすから、彼の世話を宜しくね!!」


 「ええええ!! 無理無理無理!! 部屋掃除してから綺麗じゃないし! それに…ベットだって1つしかないんだからぁ!!」


 「フフフ…一緒に寝ちゃいなよ」


 「ば…馬鹿言わないで! まだそうゆうのは早いわよ!」


 「フフフ…?」


 「〜〜〜!! 琴音!!」


 「アハハハハ!!」


 「全く!!」


 結局、その後は私の家まで彼を2人で運び…自分のベットに、置くと…敷布団を押し入れから取り出して、眠りについた。


 安曇…絶対に逃さないから覚悟しておいてね。




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お知らせ


 すみません。最近忙しくて2話投稿が難しくなってきました…(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)


 明日からは昼頃に毎日1話を、投稿します

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