第15話 久々の親友


 結局、3時間くらい家に居座れ続け、休日が台無しになってから数日…。


 自分の中では、初音に結構冷たくできたんじゃないか? と思ってる。


 これで、俺に興味を無くしてくれればいいんだがな…。


 あの様子からして、また来そうな気もしなくもない。


 俺は、また来る事を想像して…自然とため息が漏れる。


 「おい〜す」


 「お、久しぶり」


 最近遊べてなかった、友人 赤谷あかや光輝こうきが手を上げ…こっちに向かってやって来るのを見て、おもわず笑みが溢れる。


 容姿はイケメンだが、世の中にも珍しい性格のいいイケメンだ。


 「よし、行くか」


 「あいよ」


 俺達は並ぶように、歩き…徒歩5分くらいのカラオケ店に入り…店員から料金が書かれた紙が留めてある板を貰い、407番の部屋に入る。


 「おし、とりあえず飲みもん持ってくるけど何飲む?」


 「あ〜じゃあお任せで」


 「いいんだな?」


 俺が悪い笑みを浮かべながらそう言うと、赤谷は慌てたように立ち上がった。


 「うそうそうそ! 普通にリ◯ルゴールドで」


 「おけ、ついでに俺のもログインしといて」


 「あいよ」


 俺が財布から取り出し、赤谷の方にサピ◯を投げ…受け取った事を確認して、部屋から退出した。


 ドリンクバーコーナーで、要望通りに、リ◯ルゴールドを入れ…その中に、バレない程度にガムシロップを入れる。


 クククク…アイツ気づくかな?


 自分のドリンクには、普通のオレンジジュースを入れ…ドアの前に着くと、両手持ちから、1つのコップを片腕で挟んだ。


 「持ってきたぞー」


 「うい、サンキュ」


 ガムシロップが少量入った、リ◯ルゴールドを赤谷の前に置くと…何の躊躇も無く口を付けた。


 「うん? …うん。うん? リ◯ルゴールドってよく味わうと微妙に甘味があるんだな」


 クククク…腹が痛ぇ。


 赤谷にバレないように、後ろを向きプルプルと肩を揺らしていると…様子がおかしい安曇を不審に思い…もう1度コップを見た。


 「安曇…何かやったな?」


 「さ、さぁ? 気のせいじゃない? クククク…」


 「いや、お前絶対なんかやっただろ!!」


 「そんな事より、早く歌おぜ。入れないなら先に入れるわ」


 「いや、誤魔化すなし」


 「〜♪」



 **********



 「ふぅ〜少し疲れたし、小休憩取るわ」


 「んじゃあ、俺も」


 「確か4時間だったよな?」


 「そうだな」


 んじゃあ、後1時間か。5分〜10分くらい休憩したらまた歌うか。


 「そういえば、安曇…お前2週間くらい前に、梅1.00ホーチュンスちゃんの配信で、◯カチュウを使ってボコボコにしてたろ」


 「お、赤谷も見てたのか」


 コクン…と、赤谷が頷き、自分で持ってきたカルピスを飲んだ。


 「ああ、二次元は最高だからな。現実の女なんかより、数倍…いや、数十倍もな!!」


 「まぁ、二次元は理想の塊だからな」


 「そう!! 安曇…やっぱり、お前とは話が合うな!! うっしゃあ! じゃあダン◯ちの主題歌を歌うか!!」


 そう言って、気分が良くなった赤谷は、曲を入れて歌い出した。


 赤谷って、女声上手いんだよなぁ…。


 俺は、そんな事を思いながら…次に歌う曲を入力したのだった。

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