第11話 通話
ピロン…と、俺のLINEに1つの通知が届いた。
特に気にすることもなく、LINEを開くと
何だ知らない人か。
そう思い…無視していると、また通知が届いた。
ピロン………ピロン……ピロン…ピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロン
それも大量に…。
「うぜぇ…」
もう、ブロックしようか思い始めていると…急にスマホが鳴り出した。
携帯の電源を切ろうとも考えたが…もし、俺の脳裏に浮かび上がっている人物ならば、間違いなく家にやってくるだろう。
俺はため息を吐き…大人しく電話に出ると、その瞬間。
大音量の音楽が、俺の耳に入り込み、ダメージを受けた。
「うるさっ!! てか、耳が痛え…」
右耳に添えていた、携帯を離し…音量を小さくして、スピーカーにすると、予想と違った人物の声が聞こえた。
「コラァァ! 琴音ー! 私が歌っている途中に携帯に触れるなんて、人生の半分は損してるよ!!」
「アハハハ〜ごめんねぇ〜、通知がきてたから気になったんだ〜大丈夫。ちゃんと優衣の歌声を聴いてるよぉ〜」
そんな会話の後に、「コト…」と携帯をテーブルに置く音が聞こえた。
…カラオケか?
琴音って名前が聞こえた事から、察するに…俺に電話をかけてきたのは、間違いなく、あの
何故、俺のLINE IDや、電話番号を知っているのかと思うのは、今更だろう。
俺の家の住所を知っている時点で、そこまで驚きはない。
今、考える事はアイツがどうゆう意図があって…俺に電話をかけたのにも関わらず、話もしないで携帯を置いたのか…だ。
その答えは、曲が終わるとともに、出た。
「あっ…そうだ、優衣ちゃんが、だぁい好きな人の情報を集めてきたよ!」
「な! 別に彼の事なんて、大好きでもなんでもないんだけど!!」
「おやおやぁ〜? どうやら優衣ちゃんの頭の中にはだぁい好きな彼がいるみたいだねぇ〜、私は彼なんて一言も言ってないんだけど?」
「ッ〜〜〜〜!! 琴音何か嫌い!! それに…まだ、好きかなんて私も分からないし…」
「あぁ、もう優衣ちゃん可愛い!! 怒らないで? ほら、クッキー食べな?」
「むぐッ………美味しいから、食べる」
「チョロイ…ボソッ」
「琴音ー? 何か言った?」
「んーんー何でも?」
あぁ…何となくだが、赤髪の女性の意図が読めた。
恐らくだが、俺に黒髪ショートの女性の気持ちを知っていてほしいんだろう。
確かに、相手が俺に好意があれば、こっちから告白する男も多いだろう普通なら。
悪いが、例え相手が好きだと分かっても…俺は動く事はない。
付き合っても、幸せにする事はできないのだから…。
「ぶっちゃけの話ー優衣はどうしたいの?」
「…分からない。でも…彼の事をもっと知りたい」
「そっか、そっかぁ〜じゃあ、この琴音ちゃんに任せなさい!! 琴音ちゃんが、優衣と彼を結ぶ愛のキューピットになろうではないかー!!」
コイツ、何て恐ろしい事を考えやがる…。
「じゃあ、まずは彼と何回か会って、普通に喋れるようにしないといけないよね…。どれくらいかかるんだろ?」
「ああ、それなら大丈夫だよ!!」
「へ?」
「だって、優衣の気持ちはバッチリ彼に届いたから…さ!!!!」
携帯を持ち上げるような、音がすると…次に聞こえたのは、音量を小さくしたのにも関わらず、最初に負けないような大声が響いた。
「琴音ーーーー!!!!!!」
「あははは〜〜!」
赤髪の女性が笑う声が聞こえたと思ったら、電話が切れ…俺はゆっくりと携帯を置いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます