第10話 たまには夜の散歩でもしよう
今回は、主人公の思考回路編となっております。
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赤髪の女が家に乗り込んだ翌日…。
俺は予定通り、12時に出勤し…21時に仕事を終えた。
今更だが、1週間前に急に休んだ事だが、アルバイト先からは特に何も言われなかった。
恐らくだが、あの赤髪の女が何かしたんだろう。
そんな事を考えながら…家から近い地下鉄を降り、コンビニに入り、あったかいココアを買った。
冷たい風が吹く、夜にはこれが1番だ。
いつもなら、直ぐに家に帰るのだが…今日は少し外で考えたい事があった。
「お〜この公園も懐かしいな」
子供の頃に、よく遊んだ公園を中身が入っているココアの缶を片手に、2つある内の1つのブランコに座った。
そして、ココアを一口飲み、白い息を吐き出し、夜空を見上げた。
「何が起きてんだろうな…」
いや、有る程度予想はつく。
赤髪か、黒髪ショートの女性が好きとまではいかないが…俺に興味を持っているんだと思う。
それでも、俺の頭には『ありえない』や『自惚れるな』と浮かびあがる。
正直、俺の考えも同じだ。俺を好きになる何てありえない事だ。
何故なら、かつての彼女さえ付き合っていたのにも関わらず…俺を好きだと思えないくらいに、俺に興味を示さなかった。
俺から連絡を取らなければ…話す事もなかった。
もちろん、問題は俺に多いにあったのだと理解している。初めての彼女ということもあり…どうしていいのか、どれくらいの距離感で接すればいいのか分からなかった。
その結果、俺は彼女に手を繋ぐ時は、毎回彼女に許可を求めた。
要は、責任を彼女に押し付け、俺は彼女から嫌われる事を恐れ、責任を持とうとしなかった。
そんな関係が長く続くわけもなく…1年位で彼女と別れた。
当然な結果だ。
ましてや、容姿がいいわけでもなく、誰かを安定して養えるほどの金銭に余裕があるわけでもない。
将来の事を考えれば、最低でも毎月35万以上は必要だろう。
貯金はある程度あるが…その内底を尽くのは眼に見えている。
そう考えれば、俺を選ぶ何てことは『ありえない』と思うは当然な事だと思う。
仮に容姿が良くなかったとしても、それ以上の魅力が別にあれば関係ないんだと…俺は知っている。
俺には…魅力がない。
それは、1番自分がよく知っている。
だから、間違いなくあの2人も、直ぐに興味を無くして姿を見せなくなるだろう。
ショックではない。
誰かを好きになる事は、来世に頼る事にしたからだ。
今世では、もう諦めた。
叶いもしない希望に、俺は本気になる事が出来ない。
だからこそ、夢を諦めずに頑張っている人を、眩しくて見る事ができない。
公園の前を通るカップルが眼に入り…ココアを飲み、足を曲げて前に突き出し、ブランコを揺らす。
キィ…と、小さくブランコの音が鳴り、気がついたカップルが俺に指を差しているのが見えた。
きっと、こんな所に1人でいる俺を笑っているんだろう。
まぁ、あっちからしたら、そう思うのも仕方のない事だろう。
去っていく、カップルの後ろ姿を横目に、冷めてしまったココアを飲み干し…ブランコから立ち上がった。
もし…もしだが…どっちかが俺に好意を抱くようなら、嫌われるように接しよう。
俺と付き合っても、幸せになれないのだから…。
「ん…雪か」
そんな事を考えていると、頬に雪が触れ…1段と気温が下がったように感じられた。
「帰るか」
冷えた手をズボンのポケットに入れ…寒さを凌ぎながら家に続く、雪がチラホラ降る夜空の下を歩き続けるのだった…。
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