魔王に姫がさらわれて勇者が助ける物語ができるまで9

渋谷かな

第1話 王道9

「やったー! 遂に本物の国家騎士に会える!」

「憧れの国家騎士様だ!」

 イースとフレッドは国家騎士の日曜剣術教室にやって来た。

「こら! おまえら! はしゃぐな! 子供か!?」

「子供ですが、何か?」

 イースとフレッドは孤児院の子供であった。

「来たぞ! 国家騎士様だ!」

 そこに一人の国家騎士が現れる。

「私は国家騎士のアスガル。今日はみんなに剣術を教えに来たよ。」

「わ~い! やったー!」

 子供たちは大喜び。それだけ国家騎士の人気は高いのであった。

「なんだか弱そうな国家騎士様だな。」

「きっと雑用の国家騎士様なんだよ。だから日曜剣術教室なんかに回されてるんだぜ。」

 アルガスのニタニタ笑顔を振りまいている感じが、二人の強い国家騎士のイメージと合わなかった。

「それでは上段の構えから。」

「はい。」

 国家騎士の指導の元、剣術の稽古が始まる。

「えい! やあ!」

 イースとフレッドも剣を振って稽古に参加した。

「いいよ! いいよ! みんな将来は国家騎士になって、世界の平和のために戦おうね!」

「はい!」

 国家騎士アルガスは子供たちにも大人気の優しい性格だった。

「ガオー!」

 その時だった。突然モンスターの群れが現れる。

「モンスターだ!?」

「どうして魔物が!?」

「キャアー! 怖い!?」

 子供たちはモンスターに恐怖した。

「みんな! 逃げるんだ! ここは私が引き受ける!」

 国家騎士のアルガスは子供たちを守るために自分が魔物と戦うと覚悟を決めた。

「さすが国家騎士様だ。」

「だな。俺たちもつきあおうぜ。」

 イースとフレッドも、その場に残ってモンスターたちと戦うことにした。

「んん? 何をやっている。子供は早く逃げなさい。」

「大丈夫です。僕たちは強いので。」

「そうそう。俺たち強いので。」

「はあ? 君たち、どうなっても知らないよ?」

 イースとフレッドに困惑しながらもモンスターの群れを迎え撃つアルガスであった。

「くるぞ!」

「おお!」

 そして戦いが始まった。

 つづく。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

魔王に姫がさらわれて勇者が助ける物語ができるまで9 渋谷かな @yahoogle

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る