オーパーツ
オーパーツ
国家情報調査隊と呼ばれる組織や一攫千金を目指して探すトレジャーハンター、数多の考古学者たちが血眼になって探している古代の失われた技術の結晶
手に入れたものには強大な力を与えて、物によっては世界を支配できるなんて話のある代物だ
ゆえに過去には戦争の引き金にもなった呪物でもある
エルたちは祭壇に置かれているものに目を奪われておた
長さは60センチほどの棒に4分の1の長さのあたりにまた棒の重なった奇妙な形の道具だ
トンファーのようなそれは今も少し放電をしているのか、たびたび近くに電流を飛ばしている
「これってオーパーツだよね?」
アンジュが口を開いた
目の前にあるオーパーツは専門家が調査しないとなんの道具かはわからないが、ただ二人にわかっているのはこの道具には電気を操る力があるということだ
「すごい…過去の人たちはあんな電気を制御できていたんだ…」
アンジュは驚きが隠せないようだった
さっきまで死に直面して震えていた足が少し力を取り戻して、肩にかかる負担が減ったことにエルは気づいた
「そうだね…すごい力だね」
エルも感心してしまった
「ねえエルこれも持って帰って報告しよう!」
アンジュはエルの目を見ていった
「これを持って帰って、寄贈すればお金になる、そのお金でオリバーくんを探そうよ!」
オーパーツを寄贈すれば国から感謝として破格の贈与がある
その金があればこの世界の隅々までオリバーを探すことができるだろう
「でも…大丈夫かな」
エルは心配だった
この道具がまた混沌をもたらすんじゃないかと
ならいっそこの遺跡に埋めてしまってもと
「心配なんだね、この道具がまた戦争の引き金になるんじゃないかって」
エルは驚いた
「顔に書いてあるよ、心配で不安ですって」
アンジュは笑いながら指でエルのエクボをついた
「でもさ誰とも知らない悪党に渡るより、ミコット様に渡しておいた方がいいんじゃない」
アンジュは指でエルのエクボを上げ笑顔にさせた
「そう思わない?」
しばらくエルは考えた
少しの間だろうアンジュが答えを待つ間、遺跡はまるで時が止まったかのような静かな時間が流れた
そして
「そうだね」
そう返事をしたエルはオーパーツに恐る恐る手を伸ばした
手に触れた瞬間なんとも言えない金属の冷たさが手に伝わった
2本のオーパーツをしっかりと握って抱き寄せた
貴重な過去の遺産、落としてしまわないようにと言うプレッシャーもあったせいか少しぎこちない
「よっ!歴史的発見者!」
アンジュはエルの緊張を解こうと少し軽くじょうだんを言った
その腕にはペルセウスがくつろいでいた
「さぁ村に帰ろう」
エルは声も震えていて緊張しているのがつたわる
「だいじょうぶ?さっきの私より足が震えているよ」
アンジュは心配そうにエルの足を見た
「だいじょうぶ!」
親指を立ててアピールはしているがだいじょうぶではなさそうだ
二人がそんなふうに話しているとさっきまで穏やかだったペルセウスの様子が少し変わる
「ヴー」
低く唸るような鳴き方は猫が何かに対して警戒をしている時だ
そして
コツ…コツ…
エルの耳にもその音は届いた
先ほどまでの緊張とは違った身の危険を感じる緊張が全身に走る
「どうしたのエル?ペルセウス?」
突然顔つきの変わったエルとペルセウスを見てアンジュは不安になった
「静かに…誰かがここにくる」
エルは口元に人差し指を当てて静かにするように促した
「もしかしたら調査隊の人たちかもしれないよ?」
アンジュは緊張するエルに聞いてみた
「だとしてもおかしいの…足音は一つ、遺跡調査は基本5人1組のはず」
アンジュはなぜエルが警戒をしているのかすぐにわかった
今ここの部屋に向かっている足音の主は公的機関の者ではないからだ
トレジャーハンターだったら命をとられる危険がある
「アンジュ隠れよう!」
二人は急いで出口に近い物陰に隠れた
足音を立てず素早く
ここに隠れられれば入れ違いに逃げることができる二人は息を潜めた
コツコツコツ
足音の主が部屋に入り、光に晒されてその正体があらわになった
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