馴染んだ日常

カーテンから優しい朝日が差し込む

ベッドに横たわった少女の瞼がゆっくり開く

起きた少女は目尻に乾いた涙の跡があることに気づいた

(また…あの日の夢を見ていた…)

少女にとって忘れることのできない日


少女は起き上がるとシャワーを浴びにバスルームに向かった

少女にとって今日は憂鬱な日になる

なれたとは言え、弟を失ってしまった不安は今でも拭いきれず尾を引いている

こんな日は一日中、頭の片隅に居なくなった弟の存在オリバーが気掛かりになる

熱いお湯で気分を落ち着かせる、今では欠かせない彼女の日課になっている


不思議だった

時折、熱くしたシャワーがあの日の雨のように冷たく感じる

少女は顔を懸命に洗った

あの日流した涙が今でも顔にあるような気がするのだ

「…ふぅ」

思わず小さなため息が出た

蛇口の栓を閉めてバスルームから出る

タオルで優しく、黄金色に輝く髪の湿気を拭き取った

長く伸ばした髪を両サイドでまとめたら彼女のお気に入りの髪型ツインテールの完成だ


コンコンコン

乾いた木を叩く音が部屋に響いた

少女は玄関の扉を開けた

「おはようエル」


扉の向こうにいたのは褐色肌に癖のある髪をした少女がいた

「おはようアンジュ?どうしたのこんな早くから?」

まだ日が昇って少ししか時間が経っていない

多くの人が朝食を取り始めるといった時の訪問だった

「ごめんねこんな朝早くから…実はお願いがあって」

アンジュはうつむきながら言った

普段とは違う不安そうアンジュにエルも不安になった

「森に入って何をしてたの?」

エルはアンジュのスニーカーをみて言った

アンジュのスニーカーは泥だらけだった

それもつい数時間前からのものだ

「実はペルセウスがいなくなっちゃって探しに行ってたの」

エルはその言葉でなんとなく察しがついた

「わかった、じゃあ探しに行こう!」

エルがそういうとアンジュは顔を上げた

「ありがとう!」

アンジュはお礼を言った

「じゃあ準備するから少し部屋の椅子に座って待ってて」

エルはそういうと準備を始めた

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