第21話 空から参上!?

 俺達が空を移動して数分後、


「すごいわね。空を飛ぶのがこんなに気持ちいいなんて知らなかったわ。響也と契約してくれたウインディーネには感謝しかないわね」


「そんな」


 サファイアは空を飛べて興奮していた。


 そんな時、ウインディーネが思い出したように


「でも、私達から離れすぎると風の魔力が届かなくなって飛べなくなるので気をつけてくださいね」


「分かった、分かった」


「コラ!!人の話はちゃんと聞きなさいな」


 素っ気ない返事を返すサファイアをヴァイオレットが戒めてるときだった。


「サファイア、離れすぎだよ」


「え~、ティオ、何か言っ・・・・・・キャァァァァ!!!」


 サファイアが真っ逆様に墜ちていった。


「ほら、いわんこっちゃない」


「急いで追いかけるぞ」


 俺の言葉に三人は頷いて、サファイアの墜ちた場所に向かうのだった。




 サファイアが墜ちていった数分前、とある村が盗賊に襲われていた。


「この村にある財宝と若い女をよこしな」


「へへへ、親方の言うことを聞くことだな。・・・・・・でないと、命を落とすことになるぜ」


 一人の盗賊が言うと、村の人垣から屈強な男が出てきた。


「俺がお前たちを壊滅させる」


 男が両手剣を構えた。


「ハハハ、ここまで命知らずがいるとわな・・・・・・いいぜ、俺自らやってやる」


 盗賊の親方が前にでて両手にナイフを構えた時だった。


「キャァァァァ!!!」


 何か上の方から悲鳴みたいなのが聞こえた。


「なんだ!? グェッ!」


 何かが墜ちてきて親方に直撃した。


「「お、親方~!!」」


 土煙が晴れると、紅い髪の少女がお尻をさすっていた。


「イタタタタ、びっくりした」


「サファイア、大丈夫か?」


 空から数人の人が現れた。


「あ~、大丈夫。今、立つから」


「全く、人の言うことを聞かないからそう言うことになるのです」


「もう悪かったわよ・・・・・・あれ、下に何かあるような」


 サファイアは今気づいたように下に敷いてしまった人がいることが分かった。


「ちょっと、ごめんなさい。大丈夫」


 サファイアは急いで下に敷いてしまった人を揺するが運とも寸とも言わなかった。


「よ、よくも親方をやりやがったな。生きて帰れると思うなよ」


 我に変えた盗賊達がサファイア達を囲んだ。


「何よ、あんた達」


「なるほど、あなたがお尻に敷いてしまったその方はこの方達の主らしいですわね」


 ヴァイオレットが冷静に分析していた。


「え、そうなの。ご、ごめんなさい」


「あ、謝っても許す訳ないだろう」


 さらに、怒らせてしまったようだ。


「謝ることねえぞ。そいつ等は盗賊だからな」


 村の中からそんな声が聞こえた。


「え、盗賊!?」


「なんだ、ビビったのか。今頃気づいたところでもう遅いがな」


 盗賊達が威嚇するようにジリジリ寄ってきた。


「それ、早く言ってよね。謝って存しちゃったじゃない」


「サファイア、手、貸そうか」


 俺が言うと


「いいわ。こんな奴らに響也の手をわずらすことないわ。それに、久々に暴れてみたかったのよね」


「くそーこいつら、なめ腐りやがって。おまえら、やっちまうぞ。親方の仇!」


 盗賊達が一斉にサファイアに飛びかかった。


 サファイアは自分の周りに炎の壁を出して盗賊達を弾き飛ばした。


「な、なんだ、それは?」


「まさか、噂に聞く精霊なのか」


 サファイア達の戦闘を見ていた屈強な男が小さな声で


(・・・・・・精霊)


と、呟いていた。


「次はこっちから行くわよ」


《フレイムアロー》


 サファイアが放った炎の矢が数人の盗賊の尻に当たり、アチチチとのたうち回り、それを見てティオが笑っている。


「サファイアばかりするい! 僕も混ぜてよ」


そう言うとかけずりだし


《サンダーボルト》


 先ほどまでのたうち回って火を消していた盗賊にとどめとばかり雷が落ちて「ギャァァァァァァッ!!」と悲鳴を上げてバタバタと倒れていった。




 離れたところで見ていた響也達は


「どうやら俺たちの出番はないようだな」


「ええ、そのようですわね」


「あの方達と一緒だと思われたくないです」


「何言ってんだ、ウインディーネ? 精霊の森にいたお前もあんな感じだったぞ」


「そ、そそそんなことありません。あれは長として振る舞っていたわけです。決して! あちらが地ではありません」


 そんなに強く否定するのは認めてるのではと思ったけど、あえてつっこんで地雷を踏むこともないだろうと思いとどまった。




 一方、サファイア達は


「どうやら残るのは貴方だけのようね」


「何かあっけなかったね~」


 盗賊も残るは頭領しか残ってないようだ。もう大人しく投降するしかないだろう。


「どいつもこいつもなさけね~、こうなったら俺と差しで勝負しろ?」


 頭領がいきなり提案をしてきた。本来聞く筋合いは無いんだけどサファイアは、


「そんなの聞く筋合いは無いんだけど、その男気に免じてつきあってあげる・・・・・・さあ、どこからでもかかってきなさい!」


「お前じゃねえよ」


 頭領の物言いにサファイアは、前の利にずっこけた。


 顔に砂が着いたのもお構いなしに顔を上げたサファイアは、


「じゃあ、誰とやりたいのよ?」


「・・・・・・あいつだ」


 頭領が指さしたのは俺だった。


「お、おれ!!」


 頭領はこちらに歩きながら答えた。


「そうだ。女達に戦わせて高みの見物とはいいご身分だな」


「うわ~、コイツ、雑魚キャラみたいなセリフを吐いちゃってるよ」


「う、うるせー」


 (頭領がティオに馬鹿にされてるよ。まぁ、ここで時間を食うわけにいかないしさっさと終わらせよう)


 俺は前にでると、頭領がオノを構えていきなり仕掛けてきた。


 俺は前に突進するとすれ違いざまに刀の柄で鳩尾にいっぱつかました。


「コ、コノヤロウ・・・・・・」


 頭領は口から泡を吹き、仰向けに倒れた。


「悪いな、盗賊に手加減をする筋合いもないしな」


 何とも、あっけない幕切れだった。

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