第15話 二人のエルフ
俺達はあれから、風の魔力をたどってコイルの町から東に行った森の奥にやってきていた。
「風の魔力がこのあたりに集中してますわね」
「本当だ。なんか生き返る気分だよ!」
「確かに気分が落ち着くわね」
俺は得に感じないことから、精霊特有のことだろう
「ヴァイオレット、エルフの森はこのあたりか?」
「ええ、このあたりに結界が張ってあるはずですわ」
そう言って辺りを探ったら
「見つけました。ここですわ」
ヴァイオレットの方に行くと何かその場所だけ景色がぼやけてるような空間があった。
「ここを通ればいいのか?」
「いいえ、闇雲に通っても違う場所に出るだけですわ」
「ならどおすればいいんだ?」
「結界の綻びを見つけてそこを切ればいけるはずですわ。私達と契約した響也ならきっと見つけられますわ」
ヴァイオレットに言われて目を凝らしてみたら僅かな歪みを見つけた。
「・・・・・・ここか、サファイア」
「ええ、任せて」
サファイアが炎の剣になったときだった。
「危ない!」
俺はティオの叫びに咄嗟に反応して聖剣を振り抜いて飛んできた矢を払いのけた。
矢の飛んできた方をみると木の上で弓を構える一人のエルフがいた。
「お前たち、そこで何をしている?」
気付いたらエルフたちに囲まれているようだ。
「俺達はエルフの森にいるという精霊に会いに来たんだ」
「何だと!?」
木の上にいたエルフが答えた。どうやらこの集団のリーダーのようだ。
「俺達はとある理由で精霊を探している。そして城にいる四天王のエルフのことについて聞きたいんだ」
「・・・・・・なるほど。確かに精霊の力を持つエルフはいる。しかも、城にいるというエルフはおそらく数年前に里を抜けたエルフだろう。どこで何をしてるのかっと思ってたら・・・・・・だが、ただで会わすわけにはいかんな」
「じゃぁ、どうすればいいんだ」
エルフのリーダーが不適に微笑むと
「な~に、簡単のことだ。これから私達の攻撃を10分間しのぐか、全員を戦闘不能にしてみろ。それぐらいできないようならあわすわけにはいかん。精霊達と協力していいぞ。一緒にいるのは精霊だろう(もしかしたら、夫婦になるのかもしれんからな)」
「何か、最後言ったか?」
「な、何でもない!」
何か顔が真っ赤だか・・・・・・
他のエルフも「また乙女モードになってるよ」「普段は凛々しいのに油断するとこれだよ」「「「本当にね~」」」と何か聞こえるが気にしないことにした。
「なあ、どうする?」
「何か舐められてるのがしゃくね」
「そうだね。僕達の実力を思い知らせてやろうよ」
「そうですわね。エルフ達がどんな声で泣くか楽しみですわね。ウフフフッ」
「な、なんかヴァイオレットが怖いんだけど」
ティオがサファイアと抱きついてブルブルしてる。
味方をビビらせてどうするんだよ。ヴァイオレット、内心怒ってるな
「俺達はそれでいいぞ」
「覚悟はできたようだな。では、始めるぞ」
俺達は互いに構えた。俺達とエルフ達の戦いの火蓋が切って落とされた。
一方その頃、場内では
「エリーゼ、済まないな。響也の力を見誤ったばかりに大怪我をさせてしまって」
「気にしないでくださいな、アレキサンダー。あれは痛み分けですわ。向こうの被害も甚大なはず。それに私は全快したのですから」
「だが、俺がちゃんと魔剣を扱えていたら」
「そう思うのでしたら次に戦うときは負けないようにすればいいのですわ」
その時後ろから足音が響いてきた。
「・・・・・・シルフィードか」
「今回は災難だったわね、アレキサンダー。あなたの元同僚があそこまでやるなんて・・・・・・」
「あいつをなめない方がいい。それに、次にやるときは私が勝つ」
「違いますわ。私とあなたで勝つのですわ」
「ああ、そうだな」
ご立腹な顔でエリーゼが言ってくるものだから気がゆるんでしまった。
「まぁ、中のよろしいことで。でも今回は譲ってもらうわよ」
「お前がそこまでやる気なのは珍しいな?」
「ええ、響也達がエルフの森に向かったという情報が入ってるの」
「エルフの森ってお前の故郷じゃないのか」
「ですから、今回は地の利がある私が行くのよ」
確かエルフの森は常人ではたどり着くのも至難の業。出来れば同行したいところだが、エリーゼも病み上がりだからまだ魔剣の力をフルに使うのはきついだろう・・・・・・
「顔に一緒に行きたいと書いてあるわよ」
「フフッ、アレキサンダーは分かりやすいですから」
エリーゼにまで言われて内心ショックだった。
「ま、今回はおとなしくしときなさい。それに、姫様も万全じゃないでしょう?」
「私は大丈夫ですわ」
と、その時ふらついたエリーゼを咄嗟に受け止めた。
「シルフィードの言う通りだ。傷は癒えても体力が回復してない。今回は療養するべきだ」
「ハァ~、アレキサンダーが言うなら従いますわ。頼みましたよ、シルフィード」
「はい、任されました。では、もうそろそろ行くわね。私が倒しても恨みっこ無しだからね」
シルフィードは身を翻して歩き去っていった。
「もう直ぐ会えるわね。お姉様!」
顔に不適な笑みを浮かべながら・・・・・・
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