第14話 新たな精霊を求めて、目指すはエルフの森!?
あれから3日、俺達は野営地の近くの洞窟で過ごしていた。
・・・・・・サファイアはまだ目覚めていない
「サファイアは大丈夫なのか?」
「大丈夫ですわ。その証拠に見える傷はもうないでしょう。目覚めるのは時間の問題ですわ」
ヴァイオレットはそう言ってくれたが俺は心配でしょうがなかった。
その時だった。
炎の聖剣が淡く輝いたと思ったらサファイアの姿に戻っていた。
「サファイア!、サファイア!!」
俺が呼びかけるとうっすらと瞼が動いた。
「おはよう、響也」
そう言って響也に抱きついてまた眠ってしまった。
その時ゴチンッと鈍い音がした。
サファイアの脳天をヴァイオレットの拳がぶち抜いた音だった。
「い、いったー!!何するのよ」
「あなたがいつまでも起きないからですわ」
サファイアは頭をさすりながら
「そうか、私、魔剣と戦って・・・・・・負けちゃったのね」
「痛み分けだよ。魔剣もサファイアほどじゃないにしても罅が入ってたからすぐに直ることもないと思うよ」
「それでも響也とやったのに・・・・・・」
しょんぼりしてるサファイアを見かねてヴァイオレットが俺の背中を押した。
(慰めろってことね)
「大丈夫だよサファイア。魔剣にもダメージを与えたんだから、それにサファイアがいてくれたからここまでこれたんだ。じゃないと、俺はあの時に死んでるよ。サファイアを手にしたからヴァイオレットやティオにも会えたんだし、それに、俺の力不足でもあるんだ。だから俺達で強くなって次は勝てるようになればいいよ。俺を信じろ!ユニゾンは婚約したのといっしょなんだろ?・・・・・・だったらパートナーを信じろ!」
そう言いながら頭を撫でてたらみるみる表情が和らいでいた。
「そうよね、私達パートナーだもんね」
「私とティオもパートナーですわよ。それにこれからも精霊は増えると思いますわ」
「アアー、聞こえない」
サファイアは耳をふさいでいた。
俺はヴァイオレットの方を見れば「良くできました」と言う顔で見てきたので、恥ずかしさのあまり顔を逸らした。
サファイアが落ち着くと
「あれ、そういえばティオはどこかしら?」
「ハァー今頃気付いたんですの。いい加減呆れますわ」
サファイアは顔を真っ赤にしながら
「う、うるさいわね!いいから教えなさいよ?」
「ティオは、コイルの町に様子を見に行ってるよ」
「・・・・・・それって大丈夫なの?早くこの場所から離れた方がいいんじゃないの」
「あなたね~!!あなたが治るのを待ってたからですわ」
「!?・・・・・・ごめんなさい」
珍しくしょんぼりしているサファイアを見て、ヴァイオレットはたじろいだ。
「まぁ、サファイアが元気になったんだからいいんじゃないか。それにサファイアが回復するのと同じくらい向こうの魔剣の治療もかかるはずだ。万が一回復したとしてもアレキサンダーは相手の弱ってるところを攻めてくることはないよ。敵になってもそこは信用してるんだ」
「・・・・・・でも、アレキサンダーが来なくても他の者がせめてきたら」
「その時はその時だけど周りにはいないから大丈夫だよ」
サファイアが考え込んでいるとはっとして顔を上げた。
「だからヴァイオレットがいるのね」
「珍しく頭を使いましたわね」
「てっきり響也と一緒にいたいからティオ一人に行かしたと思ってたわ」
ピキッと音がしたと思ってたらヴァイオレットの堪忍袋の緒が切れていた。
「いい加減一発殴っていいかしら!!」
「ぼ、暴力反対!!!!!」
俺は落ち着くようにヴァイオレットを宥めた。
「ハァ~、響也に免じて許してあげますけど次はありませんからね!」
サファイアはコクコクと頷くしかなかった。
・・・・・・ヴァイオレット、コワー
と、俺も一歩退いてしまった。
「響也~、私が恐いですか?」
「いや、そんなことは・・・・・・」
俺が言いよどんでいると向こうからティオが帰ってくるのが見えた。
「おーい、ティオ!」
「私の話がまだ・・・・・・ハァ~しょうがないですわね」
ティオが合流した。
「いいタイミングで助かったよ」
「ん、何のこと?」
「いや、こっちの話」
ティオは首を傾げてたが思い出したように言ってきた。
「そうそう、町をみてきたら響也の言ったとおりだったよ」
「どういうことよ?」
サファイアが聞いてきた。
「俺達が敵が攻めてきてるのに気づいてすぐに地下道を抜けてきたのにアレキサンダーたちが待ち伏せしてたろう。いくら何でも対応が速すぎると思ったんだ」
「それは、コイルの町に内通者がいたんじゃないの?」
「サファイア、僕の町の人達を悪く言うのは許さないよ」
ティオが憤慨していた。
「普通はそう考えますわよね」
「珍しく意見があったわね」
「そんな~、ヴァイオレットもそんなことを言うなんて・・・・・・」
ティオはまさかのヴァイオレットにも言われてショックを受けていた。
「話を進めるぞ。俺も最初はサファイアが言ったようなことも考えた。密偵などを潜らせることもな・・・・・・だが、どう考えてもばれるリスクがある。そこで思ったんだ。確か、四天王の一人にはエルフがいたはずだってさ。エルフは自然界の妖精の声を聞くことができる。とくに得意なのは風だ」
「それにしても、対応が早くなかった」
サファイアが当然な用に聞いてきた。
「それは、簡単だ。俺達がコイルの町にいることは分かってたはずだ。それなら近くまで進軍しといて、風の妖精を飛ばして俺達とティオの会話を聞いてたんじゃないかな。だから出口にアレキサンダーたちを待機させた上で町に攻撃を仕掛けたんだ。俺達が地下道から脱出すると踏んで」
そこまで聞いてヴァイオレットが拍手していた。
「さすがは響也ですわね。相変わらず頭の回転は早いようですし、私が主と認めただけはありますわね。そこの馬鹿とは作りが違いますわね・・・・・・そこのバカに譲るつもりでしたけど私が第一夫人に立候補しようかしら」
「・・・・・・いつもいつも、どうして私のことをバカバカと言うのよ。それに響也の一番の座は誰にも譲らないんだから!!!!!!!」
サファイアが涙声で訴えていた。
「さてっと、次の目的地はエルフの里だ」
「ぐっすん、エルフの里って、結界が張ってあってエルフ以外は見つけられないらしいけどどうやって行くの?」
サファイアの情状不安定大丈夫なのか気になるけどヴァイオレットもティオも気にしてないし、俺も気にしないようにしよう
俺は心に誓って、サファイアの質問に答えた。
「それは、ヴァイオレットが見つけてくれるよ」
「ええ、お任せくださいな。ティオ、町にあった風の攻撃された場所へ案内してくださいます?」
「うん、こっちだよ」
歩くほど数分後、俺達はその場所へ着いた。
「大丈夫そうか?」
「ええ、風の残滓が残ってますから、これとにたような力が集まってる所がエルフがいるところだと思いますわ」
「それじゃあ、さっさと行って四天王の一人、エルフの情報でも聞き出すわよ」
いつの間にかサファイアが復活していた。
「全くこの子は、他人事だと思って・・・・・・」
そういうヴァイオレットもサファイアが元気になって口元がゆるんでいた。ティオも笑っていた。
俺はサファイアの頭に手を置いて
「やっぱりサファイアはいつも元気がある方がいいよ。こっちの不安も吹き飛ぶぐらいだしな」
「きょ、響也!?」
手をおいたからか、サファイアの顔をおいたからか顔が真っ赤だった。
「今回は大目にみてあげますわ」
「や~、焼けるね」
ふたりともサファイアが元気を取り戻してうれしそうだ
こうして次の目的地、エルフの里に向かうのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます