第13話 聖剣VS魔剣

 アレキサンダーの手には禍々しい漆黒の剣があった。


「な、何だあれは?」


「あれは魔剣よ」


と、サファイアが言った。


「魔剣!?」


「魔剣はね私達精霊と表裏一体なんだよね」


とティオ、


「簡単に言いますと精霊が悪の心に染まると魔剣になってしまうのですわ。ですから私達の取り扱いは慎重に」


と、ヴァイオレット


「分かったよ。とりあえず今は目の前のことに集中する」


 まずはアレキサンダーの元に行くまでに邪魔な兵士をどうにかしないと


「ここは僕に任せてよ。僕の能力も知っといてもらいたいしね」


 ティオが全身に雷を纏いながら前にでた。


《イカヅチよ、穿て!!》


 ズカズカ!!!!!!


 ティオが呪文を唱えると空から稲妻が降り注いでいた。


「ぐあ、」


「グッ!」


「グアアアア」


 土煙が晴れると兵士達が全身が痺れて動けないでいた。


「フ~、これが僕の力だよ」


 ティオは晴れやかな顔で言った。


「流石に精霊なだけあってやるな。・・・・・・俺も魔剣になったエリーゼを装備してなかったら危なかったかもしれん」


 アレキサンダーがそう言うと魔剣が光り輝いた。


「こんどは、こちらから行くぞ!」


 アレキサンダーが魔剣を一閃させると、黒い斬撃が響也たちの横をすり抜けていったと思ったら背後で爆音が轟いていた。背後を見ると先程まで木が生い茂っていた森が木が切り倒されて見通しがよくなっていた。


「な、何て威力だ」


「響也、魔剣と勝負するには精霊の力を使うしかないわ。ユニゾンするわよ」


「確かにそれしか手はないですわね」


 サファイアとヴァイオレットが話していると


「今のは外したが、次は当てるぞ。魔剣の扱い方も解ったからな」


《流石、アレキサンダーですわ。それでこそ私が認めた殿方ですわ》


 さっきのは食らったらやばい。ユニゾンしてどこまでやれるか・・・・・・


「響也、迷ってる暇はないわよ、私とヴァイオレットとユニゾンするわよ」


「その手しかないみたいですわね。不本意ですけど」


「こういうときまでそんな事言わないでよ」


 二人の平常運転を見て体の緊張がほぐれた。


「よし、やるぞ」


「ちょっと待って」


 ティオから声がかかった。


「二人とも、ここは僕が響也とユニゾンさせてくれないかな。それに今の響也だと精霊二人以上のユニゾンは体に負担が掛かるはず・・・・・・今はまだ無理をするときじゃないよ」


「それはそうですが・・・・・・」


「でも、相手は魔剣なのよ。それに扱ってるのがアレキサンダーだったら悠長なこと言ってる場合じゃ・・・・・・」


 二人の言い分を聞いた上でティオは


「まぁ、見ててよ」


そう言って響也の横に歩いていった。


「響也、僕とユニゾンしてよ?」


「大丈夫か?」


「平気だよ。僕たちの相性はいいはずだからね」


「わかった。二人はサポートを頼む」


 サファイアとヴァイオレットがうなずいたのを見て


《ユニゾン》


 すると、髪が金色に染まり服装も肩が剥き出しになり、武器が稲妻の形をした剣になっていた。


「これは・・・・・・」


 手をニギニギしてたら全身から電気がほとばしってるみたいだった。


《うまく言ったみたいだね。ちなみにその刀はサンダーブレードって言うんだ》


「サンダーブレードか・・・・・・これならやれそうだ」


 俺は足に力を入れて地面を蹴った。


「は、速い!?」


「おとと・・・・・・」


 俺は一瞬でアレキサンダーの背後をとったが、勢い余って行きすぎてしまった。


「今のは速かったが二度と背後をとれると思うなよ」


《その通りですわ。やりますわよ、アレキサンダー》


 この力を使いこなすまでやってやる。


 その時だった。突然この力の使い方が頭の中に流れ込んできた。


「よし!」


 俺が意気込むと周りに電気の球体がいくつも現れた。


《響也、もう僕の扱い方が解ったのかい》


「頭の中に突然流れ込んできたんだ」


《それは、ユニゾンした相性が良いからだよ。相性がいいと手に取るように分かるから技の練習なんかしなくてもいいことがメリットだね》


「そうなのか・・・・・・あれ、サファイアとは練習したぞ」


《それは・・・・・・》


 サファイアを見ると、


「あの努力はいったい・・・・・・」


とショックを受けているようだった。


「だからあなたは単細胞のアホなのですわ」


 後ろはなんか揉めてるようだがそれを気にしてる暇はなかった。


 黒い炎のうずにかこまれるのを迅速でよけた。


「雷の精霊と契約しただけあって速いな。だがこれはどうかな、やるぞエリーゼ」


《黒魔法、炎蜃気楼》


 アレキサンダーが魔剣をかがげたと思うとアレキサンダーが何人も現れた。


 俺は雷の球体をランダムに撃ったがすり抜けるだけだった。


「当たらない!?」


《動揺しないで、本物は一つだよ》


「分かってる!これが幻影魔法だってんならヴァイオレット、力をかしてくれ」


「ええ、そうくるだろうと思って準備してましたわ。ただ、もう少し時間がかかりますわ」


 俺は頷くとサファイアにヴァイオレットを護るように指示した。


「わかったわよ。不本意だけど私が護ってあげるわ。不本意だけど!」


「・・・・・・ちょっと集中してるんだから静かにしてくださらないかしら」


 あいつは相変わらず仲が悪いな・・・・・・


《ハハハ、あの二人を観てる緊張知るのも馬鹿馬鹿しくなるね》


「そうだな。俺達も時間稼ぎするぞ」


 その時四方八方から黒い炎が迫ってきた。俺はいの一番跳躍で避けた。


 避けた炎は中心でぶつかって黒い渦ができていた。


「避けてるだけだど体力が消耗するだけだぞ。果たして魔剣の力を打ち破れるかな」


「知ってるだろ!あきらめの悪さを」


 俺はサンダーブレードを下段に構えた。


「うぉおおおおおおお!!」


 サンダーブレードにエネルギーを集中した。すると光が集まって昼間かと思うほど辺りを照らしていた。


『響也、こんなにエネルギーを集めると長く持たないよ』


「分かってる。だが、これぐらいやらないとアレキサンダーは倒せない」


 俺は背後にいる二人の精霊と目があった。なんかかんずいてくれたのか頷いていた。


「いくぞ!!」


 俺がサンダーブレードを一閃すると黒い渦を切り裂いてアレキサンダーに光の刃が飛んでいた。


「無駄だ。本物が分からない限りいくら攻撃したところで体力が無くなるだけだ」


「響也、本物は右から二体目ですわ」


「分かった。やるぞティオ」


『任せて!!』


 俺とユニゾンしているティオが右手を翳すと右に一閃させた。


「な、何だと!?」


 攻撃が当たって爆音が轟いた。


「やったか」


 俺は片膝をつくとユニゾンも解けてしまった。


「はぁはぁ、ティオ、大丈夫か?」


「あー、しんどい。精霊使いが粗いよ、全く・・・・・・」


「悪いな、これぐらいしないと魔剣を手にしたアレキサンダーには届かないと思ってな」


「何が届かないって?」


『私とアレキサンダーをなめないでほしいですわね』


土煙が晴れると無傷なアレキサンダーが立っていた。


 何とか分身は消えているようだったがピンチには変わりなかった。


「・・・・・・全くそうくるだろうと思ってたよ。いくぞ、サファイア」


「ええ、そうくるだろうと思ったわ」


 俺はサファイアとユニゾンして迅速でアレキサンダーに肉迫した。


「き、貴様、まだ体力が!?」


「俺の全力を受けてみろ!」


 俺は跳躍して全体重を乗せて炎の剣を振り下ろした。


 アレキサンダーの魔剣とぶつかって鍔競り合いが起こった。


「うぉおおおおおおお!!」


「小癪な!」


 その時だった。


『きゃぁぁぁぁ・・・・・・』


『きゃぁぁぁぁ・・・・・・』


 二つの刀から悲鳴が聞こえたと思ったら、罅が入っていた。


「サファイア、サファイアしっかりしてくれ」


 返事がない。


「どうやら勝負はここまでのようだな。次に逢うときまでに精霊を使いこなせるようにしておけ」


 アレキサンダーは去っていったが、それどころではなかった。


「ヴァイオレット、ティオ、サファイアが、サファイアが」


「ちょっとは落ち着きなさい」


 そう言ってヴァイオレットはサファイアを観察すると


「これぐらいだったら自動修復しますわ。刀から戻らないのは眠って治癒力を高めてるからですわ」


 ヴァイオレットがそう言ってくれたが不安がっていると


『きょ、響也、心配しないで。この傷も響也との勲章だとしたら嬉しいわ・・・・・・直ぐに直るのがもったいないわね』


 サファイアがそう言うとうんともすんとも言わなくなった。どうやら眠ったようだ。


「相変わらずこの子はどんなときもぶれないですわね」


「アハハハ、そうだね、さっきの戦いに疲れてるはず何だけど疲れも吹っ飛びそうだよ」


 どうやらサファイアは大丈夫そうだな


 俺は、安心したのと同時にアレキサンダーと魔剣の力を思い知らされたのだった。

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