第12話 魔王の娘は魔剣!?
俺達はひたすらに走っていた。
「そういえば、二人とはユニゾンしたの?」
ティオが聞いてきた。
「したけどそれがどうかしたのか?」
「もしかして二人から何も聞いてないの?」
俺は後ろを振り返り二人を見た。
「・・・・・・いずれ言うつもりでしたわ」
「・・・・・・響也の重荷になりたくなくて」
ヴァイオレットとサファイアは気まずそうに答えた。
「何かまずいことでもあるのか?」
俺が不安がっているとティオが答えてくれた。
「あのね、ユニゾンすると精霊とシンクロするでしょ。それわね、人間でいう婚約なんだよね。だから響也は二人と結婚したようなものなんだよね」
「だ、誰でもいいわけじゃないんだからね!」
サファイアは顔を真っ赤にしながら勢いよくいった。
「私は響也の人となりは理解してるので問題ないですわ」
ヴァイオレットは堂々としていた。
「よかったね。相手は精霊だけどハーレムだ。ちなみに僕もユニゾンしていいからね」
ティオがおちゃらけたように言ってきたので、俺は内心でよっしゃー!と思いながら「善処する」としか言えなかった。ヴァイオレットには内心を見透かされてるようだけど・・・・・・
「あ、でも他の精霊は会ったこともないから油断しないでね?」
◆
俺達はキャンプ地に出た。
「やっと外か」
俺が一息ついたとききらめく物があった。
「あ、あぶない!」
サファイアが咄嗟に炎の壁で防いだ。
「どうやら囲まれてますわね」
「・・・・・・ごめんね。脱出できたと思ったんだけどこのルートも筒抜けみたいだ」
いつも明るいティオが落ち込むのを見て
「気にしないでくれ。こんなのは日常茶飯事だ」
そのときサファイアが動いた。
「そこにいる者たち出てきなさい。でないと消し炭にするわよ」
サファイアが掌に炎を出してるのを見てヴァイオレットは頭が痛いと頭を抱えて呆れていた。俺はそれを横目で見ながら、
「そこにいるんだろう。アレキサンダー?」
暫くすると
「フ、気づいていたか」
木に囲まれた岩肌の上からアレキサンダーが歩み出てきた。それに合わせて茂みの中から兵士がわんさか出てきた。
「分かった。でも精霊の知り合いなら一人だけいるけどな」
言ったことに三人は驚いたようだがサファイアが一番あわてていた。
「そ、そんな、私が初めての精霊じゃなかったの?」
「フ、残念でしたわね。響也の一番じゃなくて!」
ムキーとサファイアとヴァイオレットが争っている。
こんな時でも普段通りの二人に感心しながら、
「そろそろ出口だよ」
ティオの言葉で前を見ると光が漏れていた。
「二人とも油断するなよ?」
「分かってるわ」
「ええ」
「よし、いくぞ!!」
俺達は先行するティオの後を駆けていった。
◆
地下道を抜けたら野営地だった。
俺達が外にでたその時、
「危ない!」
サファイアが炎の壁で防いでくれた。
「サンキュー、助かったよ」
「あなたはこういうときだけ反応が速いですわね」
「ヴァイオレットには言いたいことが山ほどあるけど後にしてあげる」
二人はどんなときも平常運転だな
「さて、そこにいるのは分かっているぞ、アレキサンダー」
その時木に囲まれた崖の上から人影が現れた。
「・・・・・・さすがに気づいていたか」
アレキサンダーが現れると同時に囲むように兵士が現れた。
「どうやら囲まれてるようだね。このルートは知られてないはずなんだけど・・・・・・ごめんね?」
「気にしなくていいよティオ」
俺も攻撃されるまで気配も感じなかったから油断してた。こういうときほど仲間が頼もしく思ったことはないな
俺はちょっとでもティオが気にしないようにアレキサンダーに聞いた。
「どうしてここから抜け出ることを知ってるんだ。前もって知ってないとこの布陣は組めないはずだ?」
「簡単なことだ。町の者に教えてもらったのだ」
「そんなはずないよ。このルートを知ってるのはごくわずかで・・・・・・」
ティオが何かに気づいたようで顔が青ざめていた。
「気づいたか?教えてくれたのはお前に最も信頼されてる者といえば分かるな?」
「・・・・・・まさか、そんな・・・・・・」
俺はティオの肩に手を置いて
「おい、アレキサンダー、お前はいつから相手の精神を揺さぶるなんてせこい真似をするようになったんだ。聖騎士だったら真っ向からきたらどうだ?」
「その通りだな。もう何も言うまい。いくぞ、響也と精霊たちよ」
アレキサンダーが刀を構える。
「ティオ、あいつの言うことはここを切り抜けてから確かめたらいい。お前には俺もサファイアもヴァイオレットもついてるんだからな」
「その通りだわ」
「ええ、全くですわ」
ティオは二人を見て
「響也の言う通りだね。まずはここをきりぬけることを第一に考えるよ」
俺達もかまえたことで臨戦態勢に入った。
「ちょっと先に始めないでもらいます」
「!?」
アレキサンダーの横から絢爛豪華な少女が現れた。
「これは姫様、お下がりください。姫様の手を借りるわけには・・・・・・」
あれが姫様だって・・・・・・俺が昔見かけたときとはオーラが全く違う、まるで別人だ。
「サファイア、王が魔王てことはその姫も?」
「ええ、その通りよ。姫も魔族」
「おい、アレキサンダー、そこにいる姫は・・・・・・」
「黙れ!姫が魔族だと言いたいんだろう」
「・・・・・・お前、知ってたのか」
「ああ、お前と再開した後で徹底的に調べたからな」
「なら、どうして」
その時に肩に手を置かれ振り向くとヴァイオレットだった。
「いくら言っても無駄ですわ。彼の決心は堅いようですわ」
「その通りだ。今更語るまい。いくぞ、エリーゼ!」
「ハイ!!その言葉を待っていましたわ」
姫の周りから漆黒の炎が辺り一面に吹き荒れ、禍々しい魔力が解き放たれていた。
「待たせたな。覚悟はいいか」
『私達魔族にたてついたこと後悔なさい』
アレキサンダーの手には漆黒の剣が納められていた。
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