雪が溶ける頃

私は沢山過ちを犯した。正直言ってもう終わりにしていた。今あるのはどう思われるかという恐怖だった。…謝らないと。もう途方もない間違い探しをするのはごめんだ。だから今日は全てを真っ新にして自分がしてきた間違いに向き合おうとする。…例えどうなったとしても……。

遅いな思わずそう思ってしまった。もう本は読んでしまった。もう雪が溶けていて桜が咲いていた。…本当に色々とあり過ぎたな。僕は思わず苦笑を漏らしてしまった。…もう今となってはどうでも良い。そう考えていた時…聴き慣れた声がする。僕は怖かった…一旦深呼吸をして恐る恐ると振り返る。そこにいたのは琥珀だった。…何でここに。

「あ…何だろうね。久しぶりだねこうやって話すの大希。」

「うん。……なあ正直なところ怒ってるよな。…だって許されない事をしたから。」

こんな事を言っても償えないだろう。それぐらいの過失をしてしまった。

「違うよ。それは私だよ。…そのね。……ごめんね。色々と感情のままに自分勝手言って。」

僕は許されたのだろうか…今の自分には分からなかった。

「だから僕の事は忘れてくれ。…この先色々な人に出会うだろうから忘れてくれ。」

僕は後退りをした。琥珀は幸せになって欲しいからもう傷つけてしまうのが嫌だから…さようならをする。


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