騙し合い
僕は真剣な顔になって日芳理と話すところだ。…もうあの時の僕には戻らない。半年ぐらい悩み続けた。もうあんな事になるのは嫌だ。だから僕は間違えを直す為に歩み出す。…そう決意した。
「何なんですか。そんな真顔になって。」
「悪い…僕は自分と日芳理を騙していた。…本当は…頭の中で琥珀を想い続けた。…ごめんなさい。許して貰わなくてもいい。…だって僕がここまで屑なのだから。…僕が一緒にいたのは孤独を紛らわしたかったから。その口実として。一緒にいた。」
多分日芳理は失望して怒るだろう。…当然だ。もう二度と口を合わせたり、話すことができないだろう。
「とりあえず、顔をあげてください。私怒ってませんから。」
いつもの優しい声色で話してくれている。顔を上げたら日芳理はいつものように優しい顔をしていた。
「私も大希を騙していました。それも現在進行形です。…それはこんな性格ではないのにそれっぽく偽っていました。だから私も非があります。お互いに騙し合っていたんだね。」
日芳理はそう敬語を辞めて話した。…そう言うことか。偶に敬語を使わないのは。
「ねえ大希私の事失望したでしょ。琥珀さんから大希を取った挙句自分を偽って好かれようとした事。馬鹿らしいよね。そういえば全て終わったら話すって言ったよね。もう今なのかもね。」
そう言って夕焼けが広がる中、日芳理は重そうな口を開けようとしていた。
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