葛藤

「楽しかったですね。言ってる割には弾けてるじゃ無いですか。」

「え…そうか。結構やらかしたと思うんだけど。」

日芳理はそう言って笑ってくれた。こんな人生でやらかした人間と笑ってくれるのか。

「…ありがとう。」

「えと、何がですか。私は何もしてませんが。」

「…いやこんなに屑の人間といてくれて笑ってくれるなんてさ。…ありがとう孤独を紛らわしてくれて。」

「いえ、私はやりたい事をしているだけですから。」

「えっともう日が暮れるから帰るよ。」

「あっそうですね。じゃあまた今度です。」

そう笑顔で見送ってくれた。僕は寄り道を途中に見慣れた人がいた。

「…もう普通にしたいよう。」

そう口にして決めたが向こうは如何なのだろうか散々傷ついた挙句、普通に話しかけるというのはいかがなものだろうか。もしかしてまだ怒っている可能性だってある…僕の名前を呼んでくれないだろう。それだけ僕は悪い事をし続けて来た。こちらに気づいてしまったのは琥珀の妹だった。小春はこっちに来て話しかける。

「あ、大希さん久しぶり。」

小春は琥珀とは性格が逆転していて、無邪気に話していた。相変わらずか。

「あ…えっと。うん。こっちに来ないで。」

「え、何で何で良いじゃん。お姉さまもいるんだから。」

それが問題なんだよ。しかしそんな事も言えずに黙り込んでいた。

「…どうしたの。大希さん。」

「悪いね。琥珀には黙っていて。」

多分この選択肢で間違っていないだろう。…もう間違えるのはうんざりだ。


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