騙し

「ねえ何でさずっと引きずり込んでいるの。もう忘れてよ。時間経ったよねだいぶ。」

日芳理はそういつものように敬語を使わずに怒り出した。

「ごめん…自分を騙し騙していたけど……思い出してしまう時があるから。」

清々しいくらいの責任転換をとってしまった。…本当は僕が全て悪い。蟠りを作ってしまうのは僕だろう。

「違うんだ…日芳理。」

「ねえ大希。…もういい帰ってよ。そういう人だったんだ。私が振ったところでまたいるもんね…今日は本当に無理だから。」

だいぶ堪忍袋が破裂したらしい。そんな日芳理にかける言葉を探したが案の定なかったのでそのまま帰ってしまった。さっきの僕は何ができるのだろうか。……ああうんざりするよ。自分に。…蟠りの一つも解決していないのにまた作り出す。…こんな事をやってると待ち受けるのは地獄だろう。もう戻れないのか。………僕はどこで間違えたのだろうか。誰でもいいからその答えを教えてくれ。こんなはずではなかった。道路の雪はまだ残っていて寒空の下で一人放浪をした。…途方にもないな。思わず僕は苦笑した。

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