もしもの話である。琥珀の気持ちが変わっていなかったら…。何で自分勝手な事を考えてるのだろう。もしもそうだとしたら嬉しいが日芳理を突き放す事は出来ない。なぜなら孤独を紛らわしてくれたから。…そんなわけないよな。あるわけ無い不可能事を考える。再確認すべく自分の行いを振り返る。…誰もが嫌うだろう。

「私さ貴方に甘えていたのかもね。この程度だったら許してくれるって我がまま言ってさ。そして関係を終わらしても…いや何でもない忘れて。…嫌われるべきなのは私なのにあたかも貴方に非があるように印象操作してさ。」

しばらく無言になる。聞こえてくる音は冷たい北風の音だけだ。この蟠りを出来るならば雪で埋めてくれ。

「ごめんね。もう終わってる事なのにいつまでもずっと引きずり込んで。」

「こっちが全て悪かった。知らず知らずに傷つけていた。そんなに考えてくれているのに……。」

今の僕には何が出来るのだろうか。…いやきっと何もできないだろう。きっとこの先も琥珀と関わってしまうと深く傷が出来るだろう。

「…もう良いの。さてと風邪引くから帰ったら。私は帰るからね。」

「最後に何で名前で呼んでくれないの。」

「……思い出してしまうから。…また今度には多分名前で呼べると思うから。」

琥珀は泣きながら去って行った。…これで良かったのだろうか。もっと最適な答えがあるのではないかと考える。今だけは全てを雪に隠してくれ。


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