捜索
走りながら考えていた。何であんなに悲しげに泣いていたのだろう。…全ての発端は僕にあるのだろう。今の僕には何ができるのだろうか。…一人にしてあげることも出来たがそんな考えとうの昔に捨ててきた。だから探し回っている。…しかしもし会えたなら何を話すのかは分からなかった。
街灯をたどり居そうな所を探し回った。全く見当たらない。…時計を見た。もう居ないだろう時間になってしまった。
…いやまだ行っていないどころがあった。しかしあんな遠くに行ってるのだろうか。そんな事はどうだって良い。とにかく探さないと。息切れしている体を休む事なく鞭を打っているので疲労がどっと来ている。しかし急ぐ足を止める事はできない。雪が降ってきた。北風も吹き荒れる。
目的の枝垂れ桜が一本ある山の頂上についた。
「…いた。琥珀。」
「……。来ないで。もう嫌なの。」
再び泣いていた琥珀がいた。
「じゃあ何であんなに泣いて逃げたの。」
僕は距離を取って言った。
「……う、それは…大体ね貴方に話す義理は無いと思う。それに何のメリットが私にあるの。」
そう言い返されると反論が出来ない。またこの嫌な雰囲気。あと一歩で喧嘩する雰囲気が嫌いだ。少しの間があってから琥珀は口に出した。
「もう一つのさよならの意味は分かっていた。」
「え……。」
僕は素っ頓狂な声を出した。もしもの話であるが未だに琥珀の気持ちは変わらなかったのだったら。何で自分勝手な思考なんだろうと思ってしまう。そんな思考を遮るように言った。
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