食事

「何でこっちに来てるんですか。ゆっくりとしていいって言いましたよね。」

日芳理はそう言って作業をしている。いやなんだろう何かしていないと気が済まないというのは建前で嫌な事を考えてしまうから。

「今だけは何かさせてくれ。でないと嫌な事考えてしまうから。」

日芳理は少しだけ考えた様子だった。しばらくして笑って。

「仕方ないですね…本当はご馳走したかったんですけど。」

と言って手伝わせてくれた。

「あ、これ切ってください。」

「はいよ。」

まあ明らかに日芳理の方が作業が多かったが無理矢理手伝っているのだから仕方ないだろう。

「さてと食べましょうか。」

数分後美味しそうな和風料理が並ぶがひとつだけツッコミどころがあった。

「これってさ、朝ごはんじゃない。」

再度見るとシャケと味噌汁があった。すると日芳理は顔を赤らめた。

「…仕方ないじゃないですか。だってだってこれしか冷蔵庫に無かったんですから。何ですかそんなに嫌なら私が全部食べます。」

そしてシャケを取られる。

「悪かった。ジョークだよ。取らないでくれ。それに美味しいよ。普通に。」

「全くもう。素直じゃないんだから。」

そしてシャケを戻してくれる。

「そう言えば。もう大丈夫ですか。」

「うん何に。」

「もう忘れましたか。」

その言葉について考えたく無かったので沈黙してしまう。楽しい空気が重くなる。

「…そうですよね。こんな短時間で忘れられませんよね。」

「嗚呼。悪い本当に。」

僕はため息がついてしまう何でわすれられないのか。もうあの時は終わりそこには誰もいない。

「こんな話持ってきて。ごめんなさい。でも少しだけ気になっていたんです。」

多分日芳理は嫌なんだろう。早めに忘れるべきなのだろう。しかし忘れようとするとへばりついて離れなくなる。こんなに楽しい時間をくれている日芳理に申し訳なくなる。

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