地続きの今
大希がドアを閉じているのを呆然と見ていた。…私は何が出来たのだろう。…本来ならこんな蟠りを消して普通に話せるのに……。もう前の大希はいないだろう。…だって……。つい苦笑が出る。だってあんなにボロクソ言った挙句にまだ完全には嫌いに慣れていないから。…あれこうだっけ対義語。……まあ良いやもう忘れているだろう。だからまあ日芳理さんといるのだろうな。今朝ああ言っていたが実際には違うだろう。
…はあ何やってるのかな私は。…何であの時自分の気持ちを曝け出さなかったのだろう。そうしていれば良かったものの。…多分あっちも私に愛想ついてるだろう。だってさ二度も狂ったように怒ってさ自分の言いたいことだけ言って、相手の話なんて聞かなかったから。そう考えるとまた優鬱になってくる。……もう辞めよう。そうして前のことをねちっこく考えるのを辞めようとした。そうすると後悔が生まれる。戻りたいけど戻れない。まさしくいつかに言われていた生き地獄みたいなものだ。どれくらい続くのか分からないのでますます怖くなる。…不安になるといつも助けてくれたな。そんなことを考えてまた不安や後悔などが襲いかかる。
地続きの今を生きてみて、初めて当たり前がどれだけ大切なものかを知る。
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